アミノ基のあるアミノ末端、カルボキシ基のある側をカルボキシ末端と呼びます。通常は、アミノ酸を一文字表記し、アミノ末端側を左に、カルボキシ末端を右側に表記します。Aβは役40のアミノ酸が重合したペプチドてすが、Aβ1-40というくらい、表記はアミノ末端側一番目のアミノ酸残基から40番目のカルボキシ末端残基までの40のアミノ酸残基から成ることを意味します。
アミノ酸一文字表記については詳しくは述べませんが、Aβ1-40の場合は、N末端からD(アスパラギン酸)、A(アラニン)、E(グルタミン酸)…ということになります。
さて、Aβにはカルボキシ末端構造と異なるAβ1-40とAβ1-42があります。これが生成されるプロセスは定常的現象ですから、Aβは生理的ペプチドと呼ぶことができます。
ただし、その生理機能は明らかではありません。APP代謝における単なる副産物だと私は考えています。APPやその類人タンパク質は、神経細胞の接着に関与することが示されています。また、APPの細胞外領域はプロテアーゼで切断されて細胞外液に放出されますが、プロテアーゼ阻害活性を有するので、過剰なタンパク質分解を制御する働きがあると考えられます。
Aβの物性は水溶液中で徐々にβシート構造(水素結合をした平面構造)の比率が増加して、きわめて重合・凝集しやすいのが特徴です。Aβ1-42やそのアミノ末端が欠けたAβx-42は、Aβx-40と比較してこの性質が強いことがわかっています。その結果として神経毒性が強く、いわゆる病原性の「Aβ」だということになります。このことは、多くの家族性アルツハイマー病原因遺伝子変異がAβx-42生産を上昇させることとよく一致します。






