【クリアレビュー】『DAVE THE DIVER』2週間で売上100万本を突破した傑作インディー。たった2400円で無限に遊べる。

ジャンルRPG,アドべンチャー,経営シミュレーション
対応機種PC
クリア時間20~35時間(メインストーリークリアまで)
開発元MINTROCKET(NEXON)
発売元MINTROCKET(NEXON)
発売日2023/6/28
総評

「DAVE THE DIVER(デイブ・ザ・ダイバー)」はアドベンチャーRPG×経営シミュレーションといった異色の組み合わせが売りの作品。緻密に書き込まれたドットによるグラフィックがとにかく綺麗。ダイビングアクションや経営シムに留まらず、謎解き、農業や養殖、さらには音ゲーまで、様々な要素がとにかくパンパンに詰め込まれたゲームになっている。しかしそのせいか少し取っ散らかったゲーム、という印象も少なからずあり、随所に挟まるミニゲームの数々はテンポの良さを台無しにしてしまっているとも感じた。ただ、基本ゲームシステムからグラフィックやサウンド、そしてシナリオやエンドコンテンツまで、全ての要素の作りこみを考えると、2400円という価格は破格中の破格で、コストパフォーマンスにおいては他の追随を許さないレベル。

ひらさわ

控えめに言って、定価の倍は取ってもいいレベル!

圧倒的コストパフォーマンス

『DAVE THE DIVER』というゲームを一言で表すのなら『破壊的コスパ』この一言に尽きる。メインの要素となるダイビングアクションと経営シムに加え、ファーム、養殖、アドベンチャー、etc…。「とにかくできること何でも詰め込みました!」と言わんばかりのボリュームだ。メインストーリークリア自体は20時間ほどで達成できるが、ここまで要素の豊富なゲームで寄り道しないわけがないので、一般的なクリアまでの時間は30~35時間程度と見てもよいだろう。
ストーリークリア後のエンドコンテンツも申し分なく、作りこまれたダイビングアクションと経営シムを時間の許すまま、遊びつくすことが可能になっている。またメインストーリークリアの前後問わず、常にイベントが発生している状態が続くのも素晴らしい。飽きない工夫が隅々まで施されているこの圧倒的なボリュームが、この『破壊的コスパ』を実現しているのだろう。

ミニゲームの音ゲー。サブカルの海にダイビング。

ドットで描かれる美麗なグラフィック

洗練されたドット絵

このゲームの最大の特徴は、なんといってもそのグラフィックだろう。フィールド、ムービー、カットインのアニメーションまで、抜かるところなくハイクオリティ。特に海中フィールドの作り込みは圧巻で、彩り鮮やかな熱帯魚から、クジラの親子、さらには凶暴なクラーケンまで。またこのような海の原生生物だけでなく、グラフィックによる世界観の作りこみも際立っており、メインストーリーの核となる魚人族の文明までもが緻密に描かれている。

深海に沈むクジラの死骸。海の神秘感じちゃう…。

また『DAVE THE DIVER』ならではのグラフィックの特徴として、2Dを基調とするドット絵(ピクセル)のクオリティのみならず、3Dドット(ボクセル)との融合も非常にレベルが高い。さしずめ『ドットにおける2Dと3Dの調和』といったところか。昨今のインディーゲームにありがちな、ただドット絵がきれいなゲームとは一線を画す完成度なのが伺える。

寿司のゲームなので当然飯も!…スシ?

グラフィックだけで2400円の価値があると言っても過言ではない。

サウンドとグラフィックの親和性◎

『DAVE THE DIVER』を鮮やかに彩るのは、なにもグラフィックだけではない。グラフィックが醸す穏やかで雄大な海の雰囲気、これを相乗効果でより強く演出してくれるのがサウンドだ。また『海中フィールドBGM』などの普段使いの多い曲が良いのはもちろんのこと、特徴的なキャラクターがたくさん登場するこのゲームにおいて、サウンドによるキャラクターの演出は特に目立つもので、その点の作りこみに関しては流石といったところ。

ひらさわ

ゲーム内にサントラが内蔵されてる点もGOOD!

ただ、曲数が少ないのはお値段相応、といったところか。一曲一曲のクオリティも踏まえると、一切マイナスのポイントになるわけではないが、粒ぞろいの良トラックだからこそ、個人的には寂しく感じる点ではあった。もっとたくさん聞きたかった…。

個性的なキャラクターたちと、スシでぶつかり合う日々

魅力的なキャラが彩る寿司屋の日常

キャラクター抜きにこのゲームは語れない、そう断言できるほどに『DAVE THE DIVER』はキャラクターの魅力に溢れている。経営者のコブラや板前のバンチョなどメインキャラクターをはじめ、モブ中のモブであるバイト店員まで、随所まで徹底されたキャラクターの作りこみは圧巻である。

筆者イチオシ店員・メガネおさげのマキちゃんに…。
某スプラッタ―映画でおなじみ(?)のジェームスくん。もちろん、厨房担当です。

個人的にメインストーリーのシナリオ自体、評価はそこまで高くないのだが、キャラクターとサブストーリーの質が底上げしている分を考えると、十二分に素晴らしいものになっている。

主人公のデイブが、最も薄いキャラなのはご愛嬌。

飽きさせないテンポと工夫

『DAVE THE DIVER』では、基本的に一日進めるごとに、メインストーリーのイベントが進行していく。さらにほぼ毎日発生する、新アクションの追加大き目のサブイベント。これらにより常に状況が変化し、プレイ体験やシナリオの停滞によるマンネリ化が起きづらい。これはテンポがよく飽きが来ない、ということに繋がる。

恒例サブイベントの『チャレンジ◆ザ・シェフ』。どこかで見たことある対戦相手に、どこかで見たことある審査員。

シンプルなアクションゲームだからこそ、プレイ体験に新しい風を吹き込み続ける試みは、高く評価できる点だろう。

ひらさわ

奥深さで勝負するのではなく、表面的なアクションに幅を持たせることでバリューアップを狙う、インディーゲームらしい戦略!

海のロマンあふれる冒険譚

昼はお魚さんと戯れ、夜は気ままに寿司屋で働く。一見穏やかなスローライフを想像する設定だが、実際のデイブはとてつもなく忙しい。寿司屋の商売繁盛を担う傍らで、その人の良さから何をお願いされても頷いてしまうデイブ。何気ないお願い事から始まり、海底に潜むバケモノとの死闘、果てには寿司屋の存続を脅かす海の脅威に立ち向かう。裏には太古に絶滅したとされる魚人族の影があり…と、なんともロマン溢れるシナリオのアドベンチャーゲームに仕上がっている。

ただ、ありきたりと言ってしまえばその言葉の通りで、シナリオ自体に特に驚きがあるわけではない。直線的なシナリオが悪いわけではないが、特に優れたものではない、というのが個人的な感想になる。

少し単調なアクションパートに、影の薄い寿司屋の存在

飽きを感じさせない工夫はあるが…

『DAVE THE DIVER』の一日には『午前』『午後』『夜』の三つのパートがある。三つのセクションを終えて一日が終わる、つまり一ターンが経過する、といった流れで進行していくのだが…。

『午前』『午後』この二つのセクションに取れるターン消費行動が、ダイビングしか存在しないのだ。このダイビングパートに拘束される時間の長さ、そしてアクションやアドベンチャーの豊富さを加味しても感じる単調さ、これらは少し苦痛に感じる要素でもあった。特にアクションに関しては、新しいアクションの供給が絶え間なく行われているものの、結局やること自体は変わらない(ひたすら魚を獲り続ける)ところがネックになっている。

ひらさわ

ダイビングパートの拘束時間は物語後半で1~2時間程度。スキップ機能こそあるが、ストーリーの進行を考えると潜るしかない…。

また、やることがシンプルな分アクションに深みが出づらい。これも前述したように新アクションの追加等、工夫こそは感じるが、問題のマンネリ感をぬぐうには至らないうように思う。

経営シムの影の薄さ

三つ目のセクションである『夜』。夜にしか営業しない寿司屋というだけあって、ここにきてようやく経営シムパートが始まるわけだが、なんとびっくり、経営シムパートが異常なほどに短い。ダイビングパートの1~2時間に対して、経営シムパートは脅威の5~10分程度で、さすがにバランスの悪さを感じざるを得ない。さらにメインストーリーのシナリオとの直接的な関与も少ないため、そういった意味でも寿司屋の存在感の薄さが際立ってしまう。
経営シムパート自体、完成度が高く楽しいパートだからこそ、極端に短く一瞬で終わってしまうのがあまりにも寂しい。

忙しそうにも見えるが、難易度はかなり低めに設定されている。

ただ、メインストーリークリア後はストーリーの進捗に囚われず、経営シムパートを心ゆくまで遊べるようになっているので、物足りなさを感じたプレイヤーはメインストーリークリア後、気が済むまでホールを駆け回ろう。

豊富なミニゲームは賛否両論

『DAVE THE DIVER』にはバラエティに富んだミニゲームがたくさんある。どれも非常にシンプルなものとなっていて、ミニゲームというよりはプレイする演出といった印象を受ける。プレイヤーに多種多様なプレイ体験を与える、という意味では良い要素なのかもしれないが、ほぼ毎ターンのように挟まってくるミニゲームの数々は、ゲームのテンポを阻害し、別にやりたくないことをダラダラとさせられる時間と化してしまっている。これに関しては、完全にミニゲームの数が多すぎるのが問題点だろう。ただ、「これは…必要…?」と思ってしまうようなミニゲームだけではなく、明らかに力の入った楽しいミニゲームがあるのも事実で、詰め込めるだけ詰め込んだサービス精神がむしろ仇となってしまっていると感じた。

目を瞑っていてもクリアできるミニゲームの数々が大量に襲い掛かる。演出の一部と考えればわかるが…。

ランダム生成マップ、と見せかけて…

『潜るたびに地形が変わる不思議な海』これは『DAVE THE DIVER』の舞台となるブルーホールの説明文である。そのままの意味通り、潜るたびにマップがガラッと変化するので、飽きさせない工夫として機能している。しかし、完全ランダム生成ではなく、いくつかのパターンをローテーションしているだけなので、同じマップに遭遇することがかなり多い。さらに、単純にパターンが少ないのとメインストーリーの進行具合でマップが固定されることが少なくないため、同じマップに遭遇し続けることも多い。

特に浅瀬から深海までの初期マップでは、同じ景色に出くわしやすい。いつ見ても綺麗なんだけどね…。

ただ、天候によって出現する魚の種類が変化したり、ストーリーの進行テンポが速いため潜水可能な深さがすぐ増えたり(新マップの追加)など、マップに対するマンネリ感への措置は十分に取られているように思えた。稀に遭遇するレアマップや、中盤に解放されるファストトラベルの存在なども、ダイビングパートが億劫にならなくて済んだ、良い仕様だったと思う。

ひらさわ

レアマップは普段見かけない魚が多くスポーンする。敵対モブも見違えて強くなるので、緊張感がグッと高まる良いスパイス。

評価まとめ

ここまで、内容的には賛否両論というようなレビューになっているとは思うが、これだけは強く伝えたい。。本レビューで列挙したこのゲームの問題点のほとんどは、正直普通に楽しくプレイしていれば一切気にならない。総じてこのゲームの完成度は限りなく高い。本来ではあまり気にならないような点が、完成度が高いあまり相対的に劣っているように見えるだけなのだ。お値段を考えると圧倒的なクオリティを誇るゲームなのは間違いない。
また発売されたばかりのゲームということで、アップデートも積極的に行われており、まだまだこれからさらに良いゲームになっていくのは明白である。

気になったら即買いの、素晴らしい一作。

良い点悪い点
グラフィックのクオリティは唯一無二。
キャラクターが魅力的。
プレイ体験にバラエティがあり、満足感が高い。
圧倒的コスパ。
アクションパートが少し単調に感じる。
詰め込みすぎて、テンポを阻害している。
アクションと経営シムパートのバランスが悪い。
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この記事を書いた人

積みゲーだらけの浮気性ゲーマー。作家性の高いシナリオとゲーム音楽をオカズに白飯を食う。座右の銘は「広くちょっと深く。」

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