ジャンル | オープンワールド, RPG,アドベンチャー |
対応機種 | PC,XBOX SERIES X|S,XBOX GANE PASS |
クリア時間 | 50 ~ ∞ 時間 |
開発元 | Bethesda Game Studios |
発売元 | Bethesda Softworks |
発売日 | 2023年9月6日 |

『Starfield(スターフィールド)』は『The Elder Scrolls V: Skyrim』や『Fallout4』を手掛けたBethesda Game Studios(以下ベセスダ)が開発する25年ぶりの新規IPだ。上記の作品らのような、自由度の高すぎるオープンワールドRPGという金字塔を打ち立てたベセスダの完全新作という事もあり、全てのクオリティが業界最高水準で製作されている。そんな本作は、従来のシリーズをそのままスケールアップしたような内容に仕上がっており、シリーズのファンを絶対に裏切らない完成度となっている。一方で斬新さはあまりなく、良くも悪くも正統な進化を遂げた期待通りの作品、といった印象も受ける。
とはいえ圧巻のボリュームは健在で、ヘビーなゲーマーであればあるほどのめり込んでしまう、コアゲーマー向けの王道RPG 。

言わずもがな、2023年の最多GOTY候補の一本ですね!
業界最高水準のグラフィック
大躍進を遂げたグラフィック
『Skyrim』『Fallout4』『Fallout76』と三作品のベセスダゲーを通ってきた筆者だが、お世辞にもこれまでのベセスダゲーがグラフィックに秀でた作品群であるという印象はなかった。しかし『Starfield』がそのグラフィックの壁を一枚も二枚も突き破ったことは間違いない。MODを利用してグラフィックの最適化を図るのが通例であったベセスダゲーが、バニラでも十分な満足度を得ているところを見ても、これはユーザーの総意と考えても問題なさそうだ。
また恒例であったかわいいキャラクターが作れない問題も、今作では解決済みと思われる。売りの一つでもある自由なキャラクタークリエイトが、グラフィックの進化との相乗効果で更にモチベーションの上がるものになった。

要求スペックと独占販売は、敷居の高さに
推奨スペック以上でプレイを強くオススメ
業界最高水準のグラフィックを楽しめるゲーム、となるとやはり要求スペックが気になってくる。そんな『Starfield』のシステム要件がこちら。

最低スペックはあてにならないので推奨スペックを見ていきたいと思うが、最低でもミドルスペック程度のPCを用意しないと十分なクオリティでプレイすることは難しいだろう。このためにPCを新調する人も多そうだ。
筆者は推奨スペックより少し性能の高いPCで70時間ほどプレイしているが、グラフィックのプリセットが『高』でそれなりに安定してプレイできている。プリセットを『ウルトラ』にするとフレームレートの低下を顕著に感じるため、最高クオリティでのプレイは、推奨スペックを大きく上回る性能でなければならないようだ。
CS版も視野に入るが、XBOX独占…
またコンシューマー版での購入を考えている方も多いと思うが、本作はXBOXシリーズの独占販売であるため、PSユーザーの多い国内CSゲーマーにとって敷居は少し高いように思える。しかしXbox Cloud Gamingでのプレイが快適という報告も多数あり、Xbox Game Pass Ultimateへの加入も、どうしてもプレイしたい方にとっては一つ選択肢になるだろう。

クラウド版めっちゃ快適らしいです!新時代を感じますね!
カメラには少し難あり
カメラに関しては、いつも通りと言ってしまえばそうではあるのだが、相変わらずのガタガタ具合である。人によっては気にならないかもしれないが、少なくとも優れたカメラではないことは断言できる。特に三人称視点は酷く、射撃時の遮蔽物との距離感や狭所での挙動に少し不満が残る。
またその怪しいカメラワークに、暗所と狭所というスパイスが加わることで地獄のようなプレイ体験が完成する。ゲームで酔いやすい人は特に要注意だ。

壮大なメインシナリオに、膨大なサイドストーリー
宇宙スケールを誇る、哲学的メインシナリオ
無論、優れたシナリオはベセスダゲーの醍醐味の一つである。『Starfield』は宇宙が舞台という事もあり、物語のスケールも宇宙規模だ。特にメインシナリオはあまりにも壮大過ぎて、こちらが少し置いて行かれるレベルである。ネタバレを避けているので多くは語れないが『宇宙での栄華を極めた人類』という設定をうまく落とし込んだ、体感したことのない不思議なシナリオに仕上がっている。正直なことを言うと最終盤は人智超えすぎてて、通すぎて美味いんかよく分からない懐石食べてるときと同じ気持ちでした。
一度ハマると抜け出せないサイドストーリーの沼
魅力的なサイドストーリーの数々
メインシナリオはコンステレーションというコミュニティでのイベントとして進行していくが、その他にも主人公の手を引くコミュニティは多数存在する。それらがサイドストーリーとしてプレイできるわけだが、なんせバラエティ豊富。公安として人々の安全を守るも良し、海賊として略奪の限りを尽くすも良し、大企業の工作員として社内政治を引っ掻き回すもよし、と様々なサイドストーリーが用意されており、これらコミュニティに重複して属することが可能なことも考えると、組み合わせ次第で遊び方は無限大。寄り道なしでこのゲームを遊ぶ人間は、恐らく存在しないだろう。

細かいクエストは充実しているが、コンパニオン関連は…
また小規模な依頼、いわゆるフリークエストも充実しており、街をボーっと探索するだけで勝手に会話に巻き込まれ、気が付けば手元に大量のクエストが溜まっていることも珍しくない。従来のベセスダゲーらしさも感じつつ、こういった小さなクエストの存在は宇宙という広大過ぎるマップにおいて特に、冒険の動機になり得るものなので地味ながらも必要不可欠な要素と感じた。
ただ全体的なボリュームアップを感じるのと共に、コンパニオン関連のNPC数やその関連のサイドストーリーは従来のボリューム通り、といった印象を受けた。今作のこの規模ならさぞかしコンパニオンも…と期待していた自分がいたのは事実で、少し寂しく感じた点だった。

だってベセスダですもの。期待してもいいじゃない。
何者にでもなれる自由度、これぞ真のRPG
ロールプレイは無限大、超王道RPG
自由度 = ロールプレイの幅
ベセスダの十八番ともいえる自由度限界突破型オープンワールドRPG、これは当然『Starfield』にも当てはまることで、その圧倒的な自由度でRPG(ロールプレイングゲーム)の真髄を味わえることだろう。そのスケールはベセスダ史上No.1といっても過言ではない。それほどまっすぐに正統な進化を遂げた『Starfield』も、また一つの金字塔になったと言える。
豊富なスキルと研究
重要なゲーム性の一つでもあるスキルビルドや研究の要素も安心安全の怪物的ボリュームでお送りしている。明らか一周では網羅できない量になっていて、何周もして何度でも何者かを目指すことができる。プレイスタイル次第ではコンプリートも可能となっており、コンプ勢にとっては先の見えない長い旅路が待ち受けているだろう。

オープンワールド史上最大のマップの広さ
宇宙がテーマという事もあり、もちろん探索できるマップはオープンワールド史上最大クラスである。冒険の終わりが一切見えないほどに広すぎるマップは、人によっては最早やる気を削がれてしまうレベル。
高層ビルの立ち並ぶ大規模な都市から、宇宙の隅っこでひっそりと暮らす小規模なコロニーまで、個性にあふれる街を隅々まで探索するのはオープンワールドならではの至極の体験である。また平穏を望むのであれば、気に入った街に住居を購入し腰を下ろすこともできる。
もちろん惑星探索も楽しい。特に、設定上人類に見限られつつある太陽系の探索はグッとくるものがあり、月や地球に上陸し探索した際には、心の底からSFらしいロマンを感じた。

しかし特に何もない荒れ地の星や、歴史的なバックボーンのない星の探索には単調さを感じた。基本的にやることが変わらないのと、洞窟等ダンジョンも代り映えなく、なぜか移動手段も徒歩のみ、と惑星探索の物足りなさは拭えない。

宇宙船を改造、戦闘、そして果てない航海へ
宇宙船改造の沼
宇宙船の改造に関しては、間違いなくStarfield沼の一角だろう。破綻さえなければ自由自在に組み替えられることができ、実際にその宇宙船の内部を歩き回ることもできる。この宇宙船の改造をモチベーションにして、日々クレジット稼ぎに勤しむプレイヤーも多いのではないだろうか。ただ宇宙船の改造はスキルもクレジットもそれなり必要になってくるので、かなりのリソースを割く行為になっている。沼にハマって抜け出せなくならないように注意しよう。

戦闘はクセあり、星間飛行は最早無い
宇宙船での戦闘はべらぼうに難しい。独特の操作感にプラスして、同時に操作しなければならない要素が多いためシングルタスク勢にとっては決して優しい難易度ではない。少なくとも慣れるまでは悪戦苦闘を強いられることとなるだろう。

一方、主にマップ移動の際に行う星間飛行にゲーム性のようなものは一切無いと考えてよい。つまり、気ままに宇宙を漂って旅をするなどといった要素は『Starfield』には無い。この点に関しては後述しているが、惑星間の移動がシームレスでないことが原因として挙げられる。宇宙を自由自在に飛び回ることを期待していたプレイヤーも多いだろうに、個人的に少し残念に感じた点になる。
ベセスダの真骨頂はコスパにあり
メインストーリーはチュートリアル
メインストーリーはチュートリアル、これは従来のベセスダゲー全てに当てはまる言葉で、当然『Starfield』も例外ではない。周回前提のスキルツリー、改造しだすと止まらない宇宙船ビルド、さらには惑星を植民地としたコロニーシミュレーション、とエンドコンテンツの量は相変わらず凄まじい。本気で全て遊ぶとなると数百時間で収まるのかすら怪しい。確実に追加されるDLCや、有志によって今後大量に投下されるであろうMODでの遊びの幅も考えると、¥10,000近いこのゲームも不思議と安く見えてくる。それほどベセスダのゲームはボリュームオバケなのだ。

長い目で見てコスパは超良好!
XBOX GAMEPASSにも対応
信じられない話だが、月額¥1,000程度で有名タイトルが数百本遊べるサブスクサービスが存在する。それがXBOX GAMEPASSだ。もちろん『Starfield』も遊べてしまう。¥10,000近くするタイトルが数百本の内の一本として、オマケのように遊べてしまうのだ。さらにクラウドでもプレイ可能と…。正直理解が追い付かない。ラインナップを確認してもわかるが、コスパなんて語るのがバカらしくなるくらい、クオリティの高いサブスクサービスだ。こんだけベタ褒めしておいてなんだが、筆者は買い切り厨の懐古おじさんなので加入していません。でも本当にいいサービスだと思うし、近い未来覇権を握るシステムだと思います。
広大な世界と引き換えに、犠牲になったオープンワールド感
シームレスマップではない
オープンワールドゲームの醍醐味といえば、無辺際な世界を旅してまわるアドベンチャー感である。目の前に広がる景色のどこへでも行くことができ、手を伸ばせば触れられる、世界の広さや果てなさを肌で感じてこそのオープンワールドで、そのうえでシームレスなマップという要素は欠かせない。オープンワールドの定義そのものといっても良いだろう。しかし『Starfield』では、星ごとのマップの作りこみは素晴らしいものを感じるが、星と星を移動する際の地形的な繋がりはゼロで、移動には必ずファストトラベルを介する必要がある。

星間距離が光年単位という設定上、仕方のないことだったのかもしれないが、流石にオープンワールド感は薄くなっちゃうね。
言ってしまえば、ポケモンにおける移動手段の全てが「そらをとぶ」に限定されているようなもので、テーマである宇宙における広大な空間をうまく活用できていないように思えた。目の前にある星に着陸するときでさえマップを開かなければならなかったのは、もはや何のために宇宙船を操縦しているのかよく分からなかった。実質、宇宙空間を有効的に活用できている要素は宇宙船でのバトルのみだった、とすら思える。

良くも悪くも、正統派ベセスダ
今更ではあるが、『Starfield』はベセスダのメイン開発チームにおける25年越しの新規IPで、シリーズではないが近い作品として前作の『Fallout4』から8年が経過している。そんなベセスダの新作が期待されないわけもなく、誰もが期待値マックスで発売日を迎えたであろう。もちろん期待通りのクオリティで、2023年を代表する最高のゲームの内の一つであることに違いはない。だが期待以上ではなかった、というのが現時点での感想になる。『Starfield』は従来のFOやTESシリーズの延長線にある正統な進化を遂げた作品で、そこに新規IPならではの斬新さというものはあまり感じられなかった。

『Fallout5』って言われても違和感ないくらいには正統派でした。
無視できない、進行不能バグの数々
多少の不具合や愛されるべきバグが多々あるのは承知の上で、やはり進行不能バグだけは納得いかない。再現性の高い進行不能バグが複数存在し、比較的重要なサイドストーリーにまで干渉しているのが現状だ。いずれパッチで修正されることを考えても、そのために決して安くない料金を支払った早期購入組の不満は無視できないだろう。「まあまあ、ベセスダにしてはバグ少ないから…」といった意見も散見されるが、慣れている人はまだしも一般のユーザーからすれば知ったこっちゃない話だ。初見のプレイヤーの印象やプレイ体験を著しく損ねることは明白なので、素早い対処を期待したい。
また筆者は、初期不良でゲームの評価が下がる風潮はあまり好きではないので、バグに関しては一切考慮せず評価をしています。進行不能バグは流石に不満出るから、なるべくデバッグしといてや~って感じです。
評価まとめ
ベセスダ史上どころかゲーム史上最高クラスのボリュームとスケールを誇るRPG。ベセスダが大好きな人はもちろん、ベセスダに触れたことのない新規ユーザーにも強くお勧めしたい。
アクションRPGにおける、新たなる金字塔。
良い点 | 悪い点 |
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最高峰のグラフィック 真のRPGたらしめる圧倒的自由度の高さ 宇宙のロマン溢れる、壮大で哲学的なストーリー 異常なまでのマップの広さ 豊富なサイドストーリーやクエストの数々 周回必至、ボリューミーな成長要素 終わりの見えないエンドコンテンツ | あらゆる面における敷居の高さ オープンワールド感は薄い 斬新さは感じない 進行不能バグが目立つ |

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