前述で述べた家族性アルツハイマー病原因遺伝子の中で、APP遺伝子における変異は、βセクレターゼ切断部位およびγセクレターゼ切断部位の付近に存在するものがほとんどです、Aβ1‐40およびAβ1‐42の産生量を増加させ、後者はAβ1‐42の産生量を増加させます。その他の変異は、Aβの凝縮を促進する作用や、分解を抑制する作用が知られています。
またプレセリン1とプレセリン2は、γセクレターゼの構成成分があり、いずれも遺伝子の変異は相対的にAβ1‐42産生量を増加させます。このことからも、Aβ1‐42(あるいはAβx_42)が、第一義的な病原性ペプチドと考えられます。Aβ1-42は前述したとおり悪玉Aβですが
若い人から高齢者まで、脳内で常に合成されています。しかし、正常な若い脳では、合成された後に速やかに分解されるため凝縮・蓄積することはありません。言い換えれば、Aβの存在量は、合成と分解のバランスによって規定されるということです、