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 契約に反して再生骨材を含むアスファルト合材が舗装に使われた問題で、契約違反の工事が全国で72件あることが国土交通省の調査で分かった。工事の受注者は17社に上る。既にNIPPOと鹿島道路が公表している工事に加え、前田道路の工場が日本道路に合材を出荷した工事でも再生骨材の混入が確認された。国交省が2024年7月17日に調査結果を公表した。

契約違反が確認された72工事の受注者と合材工場(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
契約違反が確認された72工事の受注者と合材工場(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 この問題はNIPPOが24年4月、契約に反した合材の使用を発表したことで明るみに出た。同社の子会社が、再生骨材を含む合材を新規骨材使用と偽って出荷していた。鹿島道路も5月に同様の契約違反があったと発表。この問題を重く見た国交省は、同省や高速道路会社などが新規骨材の使用を指定して発注した工事を対象に全国調査を実施した。

 調査では、(1)工事の受注者から合材工場への注文伝票(2)合材工場から受注者への出荷伝票(3)合材工場の製造データ――の3点で、再生骨材の混入の記録を確認した。

舗装工事に関わる発注の流れと確認書類(出所:国土交通省)
舗装工事に関わる発注の流れと確認書類(出所:国土交通省)
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 契約違反があった工事のうち70件では、再生骨材を使用しながら、出荷伝票では新規骨材を使用したと偽って現場に納入していた。合材を出荷したのは、いずれもNIPPO子会社か鹿島道路の工場だ。これらの工事はNIPPOと鹿島道路の他、ガイアート、世紀東急工業、大成ロテック、東亜道路工業、戸田道路、フジタ道路などが受注した。

 その他、受注者の鹿島道路が再生骨材使用の合材を日本道路とNIPPO子会社の工場に注文していた工事が1件あった。残り1件では、日本道路が工事を受注し、前田道路の工場が合材を製造した。日本道路は新規骨材使用の合材を注文したが、前田道路の工場が再生骨材使用の合材を出荷。出荷伝票には再生骨材を使用した旨が記載されていたものの、日本道路は誤りに気付かず施工した。