【連載】脅かされる信教の自由⑮ 第2部 地方議会への波紋 宗教法人迫害は歴史に残る 

参議院議員 浜田聡氏

はまだ・さとし 1977年京都市生まれ。東京大学大学院(教育学)修了後、2011年に京都大学医学部卒業。放射線医勤務などを経て19年7月参院選比例区に「NHKから国民を守る党」から出馬。落選するも同年10月、党首である立花孝志参院議員の参院埼玉選挙区補選出馬による自動失職に伴い繰り上げ当選した。

今年3月20日、千葉市で開かれた世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者が主催した信教の自由をテーマにしたシンポジウムに、国会議員の姿があった。「NHKから国民を守る党(NHK党)」の浜田聡(さとし)参院議員だ。

浜田氏はこれに先立つ同月12日、参議院総務委員会で「自民党が関係断絶宣言をした団体(家庭連合)の集会に国会議員が参加することが不適切か」と尋ねた。文科省の本田顕子政務官は、「個々の議員の活動や個別の団体への会合への参加について見解を申し上げる立場にない」と回答。浜田氏は、関係を持つことに政府のお墨付きが与えられたと判断した。

自民党の岸田文雄総裁(首相)が2022年8月に家庭連合との関係断絶を宣言すると、地方組織にもそれが通知された。その影響は大きく、地方議会でも請願を断られる状況を懸念した家庭連合信者が、藁(わら)にもすがる思いで接触したのが浜田氏だった。日ごろから政府や地方議会における政策のおかしさについてユーチューブなどで発信している浜田氏に目が留まったのだ。連絡を受けた浜田氏は面会を快諾した。

その後も、浜田氏は複数の信者に会って話を聞き、信者が主催する会合にも出席する中で、政府・自民党の判断があまりにも一方的ではないかと疑問を持ち始めた。

浜田氏が「目からうろこだった」と言うのは、これまで4000人以上の家庭連合信者がプロの“脱会屋”などに拉致監禁され、強制的に棄教を迫られた事実だ。家庭連合については「いろいろと問題がある団体」と漠然と思っていたが、加害者よりもむしろ被害者の側面の方が大きいことに気付いたのだ。

こうした事実がありながらも、家庭連合を擁護する国会議員がいないことを浜田氏は疑問視する。22日、東京で開かれた「国際宗教自由(IRF)サミット・アジア」に出席し、来賓あいさつで「家庭連合だけが弾圧をされるというのは私は不公平だと考えている。700人もの国会議員がいて、一人として家庭連合について取り上げないのはおかしい」と述べた。

浜田氏は本紙のインタビューに「政治関係者が一斉に距離を置くことによって信教の自由が不当に脅かされる可能性を考慮すると、政治家は今こそ家庭連合の信者の声に耳を傾けるべきだと思い、行動に移すことにした」と話した。同氏が所属するNHK党の立花孝志党首も、政府・自民党の決定は憲法に保障されている信教の自由に抵触するという認識で一致する。

解散命令請求の手続きの不透明さについても国会で追及している。第213回通常国会(1月26日~6月23日)では、解散命令請求の適法性や拉致監禁問題など家庭連合に関する複数の質問主意書を参議院に提出したが、いずれも実質ゼロ回答だ。

浜田氏は6月18日に都内で開催された岸田政権を検証するシンポジウムにビデオメッセージを寄せ、「解散命令請求に関しては、力技みたいなところは感じたし、いくらでも踏みとどまることができたとは思うが、岸田さんがメディアに負けてしまったと感じる」と率直な印象を語った。それでも、浜田氏は引き下がるつもりはない。

「政府の態度はもう決まっているので、私にできることとしては、国会で取り上げられたという事実を作っておくこと。国会でのやりとりは議事録に残るので、後に歴史的に検証する人が見て、この政権ではおかしなことが宗教法人に対して行われてきたことが分かるだろう。そういう思いでやっている」

 (信教の自由取材班)

 =第2部終わり=

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