Spotifyを導入して以来、生活がガラリと変わってしまった。毎日音楽は聴いていたんだが、好きな曲やアルバムを何度もリピートすることがめっきり少なくなってしまった。今は毎日、新作旧作を含めて知らないアルバムを聴きまくっている。寝る暇なんてあるわけがない。これ実は凄いことだと感じている。個人的には、伊藤政則氏のライナーをどうしても読みたいので、日本盤を買うことがある。あとはDJする時に必要な盤さえあればいいわけで、CDも効率良く購入する時代になったということなのだろう。

Spotifyは洋楽に関しては最高のポテンシャルを発揮してくれるのだが、アニソンが少ない。アニソンを聴くなら定額アニソン聴き放題「ANiUTa（アニュータ）」が良さそうだ。

だがしかし、「ANiUTa」はキングレコードとソニーミュージックが参加していないようである。ラブライバーである自分はμ’sとAqoursの音源は全部持っているので、定額聴き放題の意味が少々薄く感じられる。でも最終的は入ってしまいそう。定額聴き放題というのは、それくらい便利なサービスなのである。

もしやと思い、Spotifyで“田村ゆかり”で検索してみた。すると『天使は瞳の中に』（2001年）、『花降り月夜と恋曜日。』（2002年）、『蒼空に揺れる蜜月の小舟。』（2003年）、『琥珀の詩、ひとひら』（2005年）、『銀の旋律、記憶の水音。』（2006年）が入っているではないか。1stから5thまでと、さらにKONAMI時代のベスト・アルバム『Sincerely Dears…』があったのだ。全部CDを所持していてもSpotifyで聴いてしまうのは、CDを引っ張り出すのが面倒だからだったりするのだが、そんな細かい個人の事情はともかく。声優田村ゆかり、通称“ゆかりん”のアルバムはどれも凄まじいクオリティを誇っているので、アニソン好きなら是非一度聴いていただきたい。5th『銀の旋律、記憶の水音。』に収録の「fancy baby doll」は、“世界一可愛い”彼女を象徴する一曲である。

とはいえ、このコラムはメタル系アニソンを紹介しているわけだ。田村ゆかりにメタル曲はないのだが、実は別名義“ゆかり姫”でメタルが一曲だけ存在する。「†メタウサ姫 ～黒ゆかり王国ミサ～†」。2009年2月14日にキングレコードから発売された会場限定シングルである。このCDの表題曲は完全にメタルで、ネオクラ的楽曲となっている。ゆかりんが、6歳の設定で舌っ足らずで歌っているかなりモンドな楽曲。ここに拒否反応を示す人もいるんだろうが、ギタリストはなんとANTHEMの清水昭であるから聴き逃がせない。Spotifyには入っていないが、ファンなら聴いて損はないだろう。

ちなみにキングレコードもう一方の雄、というかヒロインの堀江由衣はどうかというと、アルバムは『秘密』と『ワールドエンドの庭』、あといくつかのシングルが入っていた。こちらも高品質の作品なので是非チェックを。眠ってる場合じゃないんだってば。

†メタウサ姫 ～黒ゆかり王国ミサ～†

2009年2月14日発売。

01. †メタウサ姫〜黒ゆかり王国ミサ〜†
作詞：わたなべみか、作曲・編曲：おおたまさとも
うた：ゆかり姫
02. シュガー・チューン
作詞：羽月美久、作曲・編曲：小松一也

5/8、BABYMETALの新曲「Distortion」のミュージック・ビデオが公開され、各配信サイトでもデジタル・リリースが開始された。すでに聴いた方も多いだろう。今週、大きな話題となることは間違いないはず。実に2年ぶりの新曲である。

“アイドル”と呼ぶにはあまりにも大きくなりすぎたグループだが、それでも個人的には、純日本的アイドルの要素があってこそのBABYMETALだと思い続けている派である。ま、その辺の話を書くと長くなるので、とにかく新曲を聴いてみよう。

サビで一気に盛り上げるタイプの楽曲は、すぐにアニソン的だと感じた。サビ以外は何でもアリという意味で、きわめてアニソン的な楽曲構造だ。カラッとしたサウンド、爽快な疾走感に、かつてのI’veサウンド（特に『灼眼のシャナ』の頃）を思い出したりもした。メタル系アニソンの格好良さがこの曲に凝縮されているような気がするのだがどうだろう。それでも久々の新曲は直球のベビメタソングだとしか言い様がない。アニソン的とはいえ、BABYMETALが2012年以降のアニソンに与えた影響は計り知れないものがあることは間違いないわけで、この新曲からはBABYMETALのオリジナリティがビンビンに感じられるのだ。それはきわめて中毒性の高い楽曲ということ。情報が少なすぎてこれ以上書くことはできないが、とにかくこの曲、大好きだ。

しかし、残念ながらYUI＆MOAの存在感がこの曲からは見えてこなかった。MVにもメンバーは誰一人登場していないので、現時点ではSU-METALの声だけが聞こえている状態である。はやく3人のパフォーマンスが見てみたい。やはりBABYMETALは3人のグループだし、YUI＆MOAの存在は非常に重要だと感じているのは僕だけではないはず。広島公演の件もあって、今、ファンは不安な気持ちでいっぱいだろう。本日から始まる米国ツアーは一体、どんなものになるのか。やはりBABYMETALは刺激的なグループであると、今あらためて感じている次第。

BABYMETAL – Distortion

コミケで作品をリリースしていくバンドはここ数年で随分と増えたようだ。個人的にその手法にまったく抵抗はない。CDショップにこのタイプのCDが入荷することもよくあったし、秋葉原にもよく行っているので、以前からジャケットを目にはしていた。ただ滅多に手に取ることはなかった。その頃、僕は堀江由衣や田村ゆかりのCDを漁る事の方が多く、自分はアニソンにメタルを求めていなかった。転機となったのはBABYMETAL x キバオブアキバのスプリットEP「君とアニメが見たい ～ Answer for Animation With You」を聴いた2012年以降となるのだが、そんな個人史はどうでもいい。

先日、Unlucky MorpheusとGYZEのライヴを観てきた。独自にメタルを追求している2つのバンドによる興味深いパッケージ・ギグである。これは絶対に面白いと直感し、西川口まで足を運んだ。

北海道産3ピース・メロディック・デスメタル・バンド、GYZEは何度か観た中でも過去最高のパフォーマンスだった。以前はバトル・ビーストのオープニング・アクトだったのだが、あの時よりも音が厚くなっており、演奏も荒々しく突進しつつも細かいところに気を使っているという印象を受けた。さらに海外での場数を踏んだせいなのか、ステージ上での風格もますます上がっている。飾り気がないようで実は華やかな魅力があるバンドだと、あらためて感じた。未体験の方は是非一度観ていただきたい。

しかし、このコラムで取り上げるべきは、やはり初めて観た“あんきも”の方だろう。Unlucky Morpheus、通称“あんきも”は、LIGHT BRINGERやソロシンガーFuki Communeなどの活動で知られる女性ヴォーカリストの天外冬黄（テンゲフユキ）ことFukiが、妖精帝國や電気式華憐音楽集団にも参加しているギタリストの紫煉（シレン）と出会って始めたバンドだ。この2つの才能、個性がぶつかり合ってUnlucky Morpheusのサウンド生まれている。

コミケやM3（※音系・メディアミックス同人即売会）を中心にリリースを重ねていくという、独特かつ現代的な手法で活動しているバンド。音楽的には欧州のメロディック・スピード・メタルをベースに、ダークな雰囲気やネオクラシカルな楽曲など、その枠の中で様々なタイプの楽曲を発表し続けている。アニメタイアップがあるわけではないけれども、元々アニソンや“東方Project”のBGMをメタルアレンジしていたバンドだから、僕のような趣味の人間にはピッタリとハマった。

以前から音源は聴いていたけれどもライヴは初体験だ。このバンドの音楽性に見えた、自分がアニソン×メタルに感じた時と似たメタルの新しいカタチをどう見せてくれるのかが気になった。この日、ステージに上がっていたのは6名。もうひとり男性ヴォーカリストが入る場合もあるらしい。紫煉は腱鞘炎により、ギタリストとしての活動を休止中のため、この日はヴォイスで参加していた。よってギターは一本となり、音のバランスが良くなった的なことを紫煉がMCで言っていた。ギターが二本だとバイオリンの音が埋もれてしまいがちということのようだ。

もの凄くいい演奏をするバンドだった。各パートが非常にテクニカルでありつつ、しっかりとロック・バンドとしての音を出しているところが嬉しい。当たり前の話だが、アニソン系のライヴはオケだったり音が小さめだったりして、もの足りなさを感じることもあるにはある。これは子供が来場することもあるので仕方ないのだろう。その辺についていちいち文句を言うつもりもない。とにかく、あんきもはロック・バンドの音を出していたのが嬉しかった。

なんといっても、力強く、果てしなく伸びていくFukiの歌声が素晴らしい。MCで垣間みえる彼女のトーク力、キャラクターは、現代のオタク少年たちのハートをガッチリ掴むであろうキュートな魅力に溢れていた。他のメンバーも実力者揃いで、女性バイオリニストもいるので、見栄えも華やか。メタルコアを最初に聴いたときに感じた広がりのようなものを、この日のステージからも感じることが出来た。彼らの音楽とパフォーマンスから見えてきたのは、メロディック・スピードメタルの向こう側なのかもしれない。

そんな彼らのニューシングルは「CADAVER / REVADAC」。トラック1「CADAVER」の楽譜を逆から読むと2曲目「REVADAC」の楽譜になるという仕掛けが施されている。それを抜きしても高品質なあんきも流のメロスピが心地よく響くので、是非ともチェクしていただきたい。僕が現在のメタル的なアニソンに感じている可能性がここにもある。

MVはこちら。

Unlucky Morpheus / CADAVER / REVADAC (キャダヴァー / レヴァダック)

◆収録曲

01. CADAVER 
02. REVADAC 
03. La voix du sang (Live 2017.9.14)

本とコミックの情報雑誌である『ダ・ヴィンチ』4月号を、やや遅れ気味だが購入した。お目当ては『ラブライブ!サンシャイン!!』特集で、この号で22頁にわたって写真やインタビューが掲載されている。

Aqours9人の撮り下ろし＆全員個別インタビュー、すべての作詞を担当している畑亜貴のインタビューも興味深く読ませていただいたのだが、この特集でいちばん目を引くのは、Saint Snowのインタビュー。なんといってもメディア初登場、目の付けどころが実に素晴らしい企画である。そして、この特集内の取材＆文担当として“清水大輔”という名前がクレジットされているのもポイントであった。この名前に見覚えのあるラブライバーもいるはずで、それもそのはず清水氏は以前に雑誌『CUT』の「ラブライブ!」特集を担当していた人物である。μ’s東京ドーム2Days後、泣きながらインタビューを読んだライバーが続出したという、あの奇跡のような特集号で、もう“アレをやった人”というだけで信用できてしまう。だからなのかなんなのか、各頁から吹き出る熱が凄まじいことになっている。少し前に発売された声優に特化したムック『VOICE BRODY』のAqours特集64頁からも強烈なエナジーが渦巻いていたが、こちらは『ダ・ヴィンチ』だけにアニメも声優もあまり関係のない本。それでこのハンパない熱量で、さらにSaint Snowという変化球を使ってきたわけだから、『VOICE BRODY』に続けて購入するのは当然の流れだった。今、ラブライバーは情報に飢えているのだ。

Saint Snowはアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場する函館出身のスクールアイドルで、頂点を目指すAqoursのライバル的存在の2人組の姉妹。インタビューは鹿角聖良を演じた田野アサミと鹿角理亞役の佐藤日向が答えている。初めて見たんだがこの2人、たいへん可愛らしい。Saint Snowの楽曲は激しく重く、時に速い。嬉しいことに、その部分をインタビュアーの清水氏は訊いている。

田野は、家業を手伝っている2人を「きっとたくさん我慢すること覚えてる子たち」だとしながら、「歌って踊ることに輝きを見つけて、そこで気持ちを爆発させて、その気持ちをぶつけた激しい楽曲が出来上がっていった」と解説。そして佐藤は、「理亞ちゃんは自分から友達を作れなくて、どこでも強がりが出ちゃう子」であり、「ほんとは泣き虫で、だからこその激しい曲調」であると説明。この声優2人のキャラ分析があまりにも素晴らしいので感激してしまった。これだけでもう十分だ。いや、もちろんこれだけではないので、Aqoursも含めて是非とも全頁全文読んでいただきたい。やっぱり声優って凄いんだな、と感じられる内容である。そして清水氏に感謝の気持ちとともに拍手を贈らせていただきたい。

Saint Snowが1期8話で披露したパフォーマンスはほんの少しだったのだが、『ラブライブ!サンシャイン!!』のオリジナルサウンドトラック盤『Sailing to the Sunshine』に、このとき歌った「SELF CONTROL!!」がフルで収録されている。筆者は現在、Saint Aqours Snowのシングルに収録された2曲とこの曲をプレイリストに加えてリピートしまくっている。作編曲は河田貴央。μ’sの「ススメ→トゥモロウ」や「Wonderful Rush」、「No brand girls」といった傑作を連発しているラブライバーにはお馴染みの作家である。「SELF CONTROL!!」を最初に聴いた時、すぐにトラックがLimp Bizkitっぽいと感じたのだが、フルで聴くと実はLinkin Parkの「Runaway」という曲にきわめて近い感触であった。そんなトラックの上で、勢いのある聖良と理亞のラップ、美しく絡み合うハーモニーが躍動している見事な楽曲で、アニメを見ただけでは絶対にわからない凄い曲でもあったのだ。

シングルをすべて所有しているライバーが、はたしてこれ一曲のために2枚組CDを買うのかどうか悩むだろう。でも、アニメを観た人ならサントラは絶対に楽しめると思うし、それだけの価値のある楽曲だと感じる。ちなみにサンシャイン!!』2期のサントラには「CRASH MIND」と「DROPOUT!?」のショートサイズが収録されており、こちらも持っておきたいところだ。

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』オリジナルサウンドトラック Sailing to the Sunshine』

※「SELF CONTROL!! [第8話挿入歌(フルサイズ)]」収録

2016/11/30発売
レーベル: ランティス

東スポ読者で『みこすり半劇場』のようなネタを好む筆者は、『ラブライブ!』のような泣ける作品と同じくらいに下ネタが大好物である。最近の作品だと『銀魂』や『おそ松さん』で展開される軽めの下ネタが心地よい。毎回下ネタというわけではないのだが、人気作だけに内容のレベルは高い。深夜に缶チューハイを飲みながら観るのが楽しいひとときとなっている。

『おそ松さん』を観始めたきっかけは、遠藤綾という声優さんが出演しているからだった。筆者はなぜかこの人の演じるキャラがいつも大好きになってしまう。『らき☆すた』の高良みゆき、『マクロスF』のシェリル・ノーム辺りは有名だが、『ガンダムビルドファイターズトライ』のカミキミライも良かった。他にも数多く出演しており、最近では『おそ松さん』の“トト子ちゃん”の中の人として強烈な存在感を放っている。

そんな遠藤綾さんの歌が好きだ。歌が上手いというわけでもないのだが、くせになる味を持っている。たまにCDがリリースされたりすると必ず聴いてしまう。『らき☆すた キャラクターソング Vol.004』収録の高良みゆきの歌う「萌え要素ってなんですか?」は、一時期ヘビロテだったし、1期のトト子 feat.六つ子で歌うEDテーマ「SIX SHAME FACES 〜今夜も最高!!!!!!〜」も楽しい楽曲だった。遠藤さんは独特の声質をした人で、例えば“七色の声”を持つと言われている山寺宏一タイプの声優さんではない。何を歌っても遠藤綾の歌になるという点では釘宮理恵さんと同系列にあるだろう。だがそこがいいのである。彼女の声を聴くと実に安心するのだ。

なぜここで声優・遠藤綾を紹介するのかというと、そんな彼女の歌に一曲だけメタルがあるから。『夢喰いメリー』（2011年）という作品のキャラソンで、遠藤さんはヒロイン・メリーの好敵手、エンギを演じていた。このCDに収録されている「月下の仇刃花」がメタル曲だった。楽曲を制作したのは有名な音楽サークルとのこと。曲は普通のネオクラシカル・メタルであり、特筆すべき点はない。だからメタルヘッズには強くオススメしたりしない。あくまでも“メタルっぽい”曲を見つけてはニヤッとするのが筆者の趣味であり、この曲の場合、メタルというよりも大好きな遠藤さんの声がメタルのトラックに乗っているというだけで非常に嬉しく感じたのだ。

夢喰いメリー キャラクターソング エンギ・スリーピース

◆収録曲

01.月下の仇刃花
作詞:龍波しゅういち、作曲・編曲:狐夢想
02.夢で逢いましょう
作詞:天乙准花、作曲・編曲:nyanyannya
03.月下の仇刃花（Instrumental）
04.夢で逢いましょう （Instrumental）

2017年もとっくに過ぎ去ったけれども、個人的に年末は『ラブライブ! サンシャイン!!』2期の最終回というビッグイベントがあった。全13話、短い間だったが夢のような時間を過ごさせていただいた。

最高の最終回だった。ラブライブ優勝という目的を達成し、自分達の輝きを見つけたAqoursのメンバーがそれぞれの道を歩んでいくという内容で、いい年して泣きすぎて真っ赤に目を腫らしながら年を越してしまったほど。以後、ぽっかり穴が空いたままの状態で日々過ごしている…。

その辺りの熱い気持ちを再び雑誌『BUBKA』の最新号にて語っているので、チェックしていただければ幸いである。ただ、今月号はももクロ5人の表紙なので売り切れ続出なんだとか。確かにコンビニであまり見かけないのは、まあ仕方ないだろう。有安さん、お疲れ様でした。

『サンシャイン!!』終了によって、心の中にぽっかり穴が空いた状態は今でも続いているのだが、最近少しだけ気持ちの整理がついたので、ようやくこのコラムをアップできることになった。ずいぶん遅くなってしまった感があるが、今回は個人的2017年のメタル系アニソンベスト曲、『ラブライブ! サンシャイン!!』挿入歌、Saint Snow (田野アサミ, 佐藤日向)の「DROPOUT!?」を紹介しよう。

この曲は昨年12月20日にリリースされたSaint Aqours Snowのシングル『Awaken the power』にカップリングとして収録されている。表題曲は、沼津と函館のスクールアイドルがタッグを組むという奇跡から生まれた楽曲で、畑亜貴×河田貴央というμ’sの名曲「No brand girls」を生み出したこれまた奇跡のタッグ・チームによるポップなロック・チューンである。この表題曲も傑作だったのだが、メタル目線で聴くと、やはりカップリング2曲に注目せざるを得ない。Aqoursのライバルとして作中何度も登場した函館のスクールアイドル、Saint Snowの「CRASH MIND」と「DROPOUT!?」の2曲はどちらもメタル・チューンだったのである。

ちなみに1期に登場したSaint Snowが歌っていた「SELF CONTROL!!」も、Limp Bizkitをやや想起させるラップ・メタル・チューンで、サビのハーモニーが最高の1曲だ。こちらは『ラブライブ!サンシャイン!!』オリジナルサウンドトラック盤『Sailing to the Sunshine』にフルサイズのバージョンが収録されている。

その「SELF CONTROL!!」の流れにあるのが「CRASH MIND」。こちらもなかなかの佳曲で、Papa Roach辺りのサウンドが好きな人はイケるんじゃないだろうか。

そして3曲目の「DROPOUT!?」が個人的ナンバーワンとなる。凄まじいメロディック・スピード・メタル曲にラップパートを挿入するという、いまだかつてなかったのではないかと思われる試みがなされていた。作中、Saint Snowが転んで予選を通過出来なかったというエピソードがあるのだが、この曲を聴いたほとんどの人が“そりゃ転ぶだろ！”とツッコミを入れたくなったはず。それほど激しくスピーディな驚愕のメタル・サウンドが展開している。アニメ・ファンだけでなく、広くメタルヘッズの皆さんに聴いていただきたいと願う。

この作編曲を担当した馬渕直純は、6人組アイドルユニット、i☆Risのハードロック・チューン「Re：Call」を担当していた人物なので名前だけは知っていた。基本的にバンドサウンドを得意としているようなので、今後の活躍に期待したい。

Saint Aqours Snow / Awaken the power

◆収録内容

01. Awaken the power／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：河田貴

歌：Saint Aqours Snow

02. CRASH MIND／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：宮崎 誠

歌：Saint Snow

03. DROPOUT!?／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：馬渕直純

歌：Saint Snow

04. Awaken the power(Off Vocal)

■ドラマパート

05. 聖良と理亞をおもてなせ！

06. 聖良と理亞を波打ちぎわで！

07. 聖良と理亞を沼津の味で！

今期のTVアニメは豊作で、『ラブライブ!サンシャイン!!』に『銀魂』に『おそ松さん』というビッグタイトルがズラリと並んでいる。毎週チェックするのが大変で、録画したものがHDDにどんどん溜まっていく、なんて悲鳴をあちこちで耳にする。

そんななかで『Dies irae (ディエス・イレ)』という作品が不気味な光を放っている。作品の持つダークな世界観に加え、2015年当時日本のクラウドファンディング史上最高金額を達成、そこから一気にアニメ化へ向かっていったという劇的なストーリーも背景にあったりするからだろうか。元々はPCゲームとしてスタートした作品で、かなりの人気作だったという。

この『Dies irae (ディエス・イレ)』のOP曲「Kadenz（カデンツァ）」は、実にアグレッシヴなメタル曲となっている。PCゲーム1作目の主題歌「Einsatz（アインザッツ）」からすでにネオクラシカルなハードロック楽曲だったので、昔からゲームに接している人にとっては、不思議なことではないだろう。

作曲を担当したのは与猶啓至（よなおけいし）。この人はゲーム音楽を中心に活動している音楽家で、古くは『あすか120％』の音楽を担当していた人物だったりする。アレンジには磯江俊道の名前もクレジットされている。「デモンベイン」の楽曲を担当していた人なので以前から名前は知っていた。ギターは今年のLords Of Black来日公演にゲスト参加していた若井望。この曲のメタル濃度を上げているのは、彼のプレイによるところが大きいのだろう。冒頭から気持ちいいくらいに速弾きしまくり。ソロでも超絶技巧をみせており、ギターキッズも必聴の一曲だ。

楽曲全体の雰囲気はシンフォニック・メタル、ネオクラシカル・メタル的。バイオリン、チェロ、クワイヤ（※教会の聖歌隊）などが幾重にも積まれた、分厚く緻密なアレンジに圧倒される。それでもこの「Kadenz」が、しっかりとアニソンの枠の中に収まっているのは、キャッチーなサビによるところが大きい。そしてここに職業声優の独特な歌が乗っているのである。

“榊原ゆい”という声優さんの存在は以前から知っていた。“ファンタズム fes 榊原ゆい”のCDを持っていたからだ。ちなみに、この名義の楽曲にもメタリックなアニソンが多いのでチェックしておきたい。榊原ゆいの強烈な存在感を放つヴォーカルは力強さと繊細さを兼ね備えている。とくにサビにおける“歪んだ”などの歌い方に独自性を感じる。

さらに、彼女の手による“中二”のど真ん中を行く歌詞がさらにこの独特の世界を築き上げている。アレンジも含め、様々な要素が折り重なって、独自性の高いメタルがここに完成した。これは是非ともフル尺で聴いて欲しい。現在、シングルがリリースされており、続けてフルアルバムもリリースされ、「Kadenz」も収録されている。アルバムはポップでカラフルな曲が並ぶ作品で、やはりこの「Kadenz」は異彩を放っているのだが、榊原ゆいという優秀なシンガーを体感するにはアルバムをオススメしたい。

あとこれは海外でもリリースするべき。絶対にウケると思う。

榊原ゆい / Kadenz/Fanatiker

◆収録曲
01.「Kadenz」(TVアニメ『Dies irae』OPテーマ)/歌唱:榊原ゆい
作詞:榊原ゆい 作曲:与猶啓至 編曲:磯江俊道/与猶啓至/若井望
02.「Fanatiker」(スマホゲーム『Dies irae PANTHEON』OPテーマ)/歌唱:榊原ゆい
作詞:榊原ゆい 作曲:与猶啓至
03.「Kadenz」-Instrumental-
04.「Fanatiker」-Instrumental-

榊原ゆい / Next Door　※2017年12月13日 発売

◆収録曲

アニソン・メタル（何度も言うが、このようなジャンルはない）周辺が活気づいてきたので、今日からこのコラムを連投していこうと思う。要するにネタが溜まったということだ。

まずは12月20日にリリースされるTVアニメ『ラブライブ！サンシャイン!!』2期 第9話挿入歌「Awaken the power」の試聴動画が公開された。とりあえずご覧いただきたい。

M-1「 Awaken the power」は、二人の少女による魂の激突が生んだ奇跡の一曲である。聴いてすぐにμ’sの「No brand girls」的と感じたら、やはり河田貴央の作編曲。姉を想う気持ちで通じ合ったルビィと理亞が、それぞれの自分を見つけ走り出していくという、エモーショナルかつハートウォーミングなストーリーも素晴らしく、この挿入歌も高品質のロック・チューンだった。ライヴ場面のゴージャスな作り込みといい、2期9話放送直後の興奮といったら、それはもう大変な事態であった。筆者もルビィがあまりにも可愛くて頭がおかしくなりそうになった。いや、もうおかしくなっているのだろう。

しかし、ここで注目したいのはAqoursのライバルグループであるSaint Snow名義のカップリング2曲、「CRASH MIND」と「DROPOUT!?」。どちらもモダンな感触のメタル曲でニヤニヤが止まらない。発売日まで試聴動画見まくり決定。

そしてユニット・ライヴの開催も決定した。なんと函館アリーナで2公演が行われるという。ハセガワストアのやきとり弁当とラッキーピエロのハンバーガーは一度食べてみたかった。ここには当然、Guilty Kissも出演するわけで、アニソンメタラーとして大注目しているのだが、チケットは完売必至である。さあどうする。CDにはチケット最速先行抽選申込券が封入されている。4月に函館旅行している場合なのかどうか、現時点ではわからない。しかし、始まる時は終わりのことなど考えないのである。

TVアニメ『ラブライブ！サンシャイン!!』2期 第9話挿入歌「Awaken the power」

2017.12.20発売／LACM-14692／￥2,000 (tax out)

◆収録内容

01. Awaken the power／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：河田貴央 歌：Saint Aqours Snow

02. CRASH MIND／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：宮崎 誠 歌：Saint Snow

03. DROPOUT!?／作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：馬渕直純 歌：Saint Snow

04. Awaken the power(Off Vocal)

◆ドラマパート

05. 聖良と理亞をおもてなせ！

06. 聖良と理亞を波打ちぎわで！

07. 聖良と理亞を沼津の味で！

『ラブライブ!サンシャイン!!』の2期がスタートしてから、毎週大騒ぎである。土曜の夜はリアルタイムで視聴し、終了後はすぐにTwitterのタイムラインをチェックし“うんうん”と頷きながら読んでいく。そしてラブライバー仲間とLINEで感想を送り合い、もう一度録画した番組を観る。その後、BSの放送でまた観たりすることもあったりするから、土曜の夜はとにかく忙しい。

この辺の熱い想いを本日発売の雑誌『BUBKA』で語っているので、よろしければチェックしていただきたい。全国のコンビニで購入可能。

『BUBKA』の座談会でも少し触れているのだが、『サンシャイン!!』第2話で個人的に注目すべき事件が起きた。
それは三年生の小原鞠莉。ユニット、Guilty Kissの1stシングル「Strawberry Trapper」で「ロックオーン！」と叫んでいるブロンド女子だ。彼女はアニメ開始前に公表されたキャラクター設定で「インダストリアル・メタルが好き」とあったのだが、1期ではその設定がまったく出てこなかった。ところが2期の2話でその部分が遂に登場したのだ。

2期2話「雨の音」。新曲が2曲必要になったAqoursが、二手に分かれて曲を作るという展開になった（“スクールアイドル”は作詞作曲編曲、衣装やMVも全部自分たちでまかなっている）。このとき、鞠莉が「前から温めていた、とびっきり斬新でハッピーな曲がありま～す!!」と発表した曲が、メタルだった。そのメタル曲にインダストリアル感はなかったものの、ハードなサウンドが好きな彼女の設定が活かされたことに感激してしまった。キャラ設定が変更されるなんてのは、よくあることなので“ちょっと残念”くらいに思っていたのだが、まさかの“メタル好き”初期設定回収劇だった。個人的には黒澤ルビィのお裁縫が得意なところに萌えまくったのだが、それは別腹である。

インダストリアル・メタルといえば、個人的にはGodfleshとMinistryをすぐに思い出すのだが、多くの人はNine Inch NailsやMarilyn Manson、Rammstein辺りになるんだろう。現時点でAqoursの楽曲にインダストリアル・メタル曲はない。メタル的な曲で言うと、ユニットGuilty Kissの2曲、「Strawberry Trapper」はハードロックンロールで、「コワレヤスキ」はモダンでメタリックな楽曲だった。

Aqours本体の楽曲でハード・ナンバーが一曲ある。それは『ラブライブ!サンシャイン!!』Blu-ray6巻の特装限定版にのみ付属するCDに収録された「スリリング・ワンウェイ」。シングル曲ではないので、TVアニメを観た方でも知らない人は多いだろう。しかし、今年行われた＜Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR＞では、全公演で披露され、大きな盛り上がりをみせていた。SIAM SHADEやACTION!を彷彿させるハードポップなロック・ナンバーである。Bメロのハーモニー～サビの疾走感がたまらない。こんな良い曲が特装限定版の付属CDにしか入っていないのだから、『ラブライブ！』楽曲のレベルの高さに驚くしかないのである。特装限定版はおそらくまだ購入可能と思われるので、この曲が気に入ったら早めに購入することをオススメしておきたい。

TVアニメ「ラブライブ！サンシャイン!!」Blu-ray第6巻特装限定版（BCXA-1175）

封入特典　録り下ろしAqoursオリジナルソングCD⑥「スリリング・ワンウェイ」
作詞：畑 亜貴
作曲・編曲：藤井亮太、小高光太郎
歌：Aqours
（高海千歌役 伊波杏樹／桜内梨子役 逢田梨香子／松浦果南役 諏訪ななか／黒澤ダイヤ役 小宮有紗／渡辺 曜役：斉藤朱夏／津島善子役 小林愛香／国木田花丸役 高槻かなこ／小原鞠莉役 鈴木愛奈／黒澤ルビィ役 降幡 愛）

2017年も残り約2ヶ月となった。少々気が早いが、振り返ってみるとメタリックなアニソンが減っていると感じる。明らかに自分の購入するアニソンCDが減ったのである。

メタル系アニソン、本当はそんなジャンルなどないのだが、僕はそれを探してCDを購入し、ここで紹介している。で、メタル系アニソンが多く作られていたのは、おそらく2014年から2016年にかけてのこと。この辺りはBABYMETALの登場によって、一気にメタルが“アリ”になった時期だった。それまでメタルが“ナシ”だっというわけではないと思うし、最近メタルがトレンドではなくなってきたのかどうか、実際のところはよくわからないのであるが、とにかく僕の買うアニソンCDの枚数は去年より確実に減ったのだった。

ある日、深夜にTVアニメを観ていると、突然知っている曲が流れてきた。ほんの数秒だったがすぐにわかった。エンドロールを見ると、それはやはりLAZYの「感じてKnight」。主人公の男子高校生が女子小学生とのデート中に、萌えすぎる気持ちを抑えるため、脳内でハードな楽曲を流して鎮める、という第10話「まるっきりデート」で使用されていた。ちなみにLAZYの「感じてKnight」のオリジナルは1980年のリリースだが、使用されたバージョンは2009年に“ULTIMATE LAZY for MAZINGER”名義でリリースされた『真マジンガー 衝撃! Z編』OPのものだろう。LAZYについては12月に新作のリリースもあるのでいずれまた書きたいと思う。

『天使の3P!』というアニメ作品は、2017年7月より9月までTOKYO MXほかにて放送されていた。3人の女子小学生と引き篭もりの主人公が、音楽を通して成長していくストーリー。僕はJSに萌えはしないのだが、エンディングテーマ「楔」（くさび）という曲が実にハードなエレクトロコア／メタルコア調で爽快な楽曲だったので気に入っていた。僕がよく観ていたTVサイズがランティスの公式チャンネルにアップされている。

この楽曲を聴いて思い出すのは、日本のCrossfaith等のメタルコア・サウンドだ。また、その辺りのテイストを上手く取り入れたBABYMETALの傑作「いいね!」（2012年）も同時に思い出した。海外のバンドだと色々あるのだが、2008年にサード・アルバムがNuclear Blastからリリースされたスウェーデンのツインボーカル・メタル・バンド、Sonic Syndicateや、オーストラリアのスクリーモ・バンド、The Amity Afflictionなども併せて聴くと面白い。

上に貼った動画、1分半のTVサイズではわからない部分がある。それはブレイクダウン後の中間部。実にメタリックな部分で、ここからサビに向けて盛り上がっていくところが、さらに気持ちいいのである。これぞアニソン。やはりサビの爆発力がいちばん重要なんだと思う。

『楔』

アーティスト：Baby’s breath
【五島 潤（CV：大野柚布子）、紅葉谷希美（CV：遠藤ゆりか）、金城そら（CV：古賀 葵）】

発売日：2017年8月23日
品番：LACM-14651
価格：¥1,200（税抜価格）

◆収録曲

01. 楔
作詞：真崎エリカ　作曲・編曲：本多友紀（Arte Refact）
02. Baby’s place
作詞：真崎エリカ　作曲・編曲：廣澤優也
03. 楔（instrumental）
04. Baby’s place（instrumental）

現在発売中の雑誌『BUBKA』で、「トーク・アバウト　ラブライブ!伝説」という記事の座談会に参加させていただいた。『ラブライブ!』にいまさら感はない。事実、様々な場所で伝説として語り継がれているし、この雑誌で僕も語ったばかり。μ’sは今なお輝きを放ち続けているし、Aqoursにはこの先がある。10月7日からは『ラブライブ!サンシャイン!!』の2期が放送開始。それまでにアニメ『ラブライブ!』1期＆2期、『ラブライブ！The School Idol Movie』、『ラブライブ!サンシャイン!!』13話を観るくらい簡単だ。一気に観るなら今がちょうどいい。『BUBKA』最新号と併せてどうぞ。

Twitterを4年くらいやっていて、気づいたのは“アニメとメタルが好き”という人がたいへん多いことだったりする。

メタルの趣味は様々なのだが、欧州系のメロスピやブラックメタルが好きな人が多いと感じた。“ガルパン”や“まどマギ”といったここ数年のヒット作と、メタルを好む人もいるんだけれども、なぜかアニメは断トツで『ラブライブ!』なのである。“BABYMETALとラブライブ!が大好きDEATH！”なんて人はもはや普通。“ラブライブ!とジャーマン・スラッシュ、特にSODOMが好きです！”とか、“メタルはBelphegorで『ラブライブ!サンシャイン!!』はヨハネ推しデス！”みたいな人が、やたらに目立つのだ。ちなみに僕の場合は“メタルと名が付いている音楽は大体好きで、可愛い女の子が登場する作品も大体好き”という、非常にざっくりした感じ。一応、好みはあるんだけど。

で、趣味なんて人それぞれだから全然構わないんだが、とにかくメタラーとアニオタの相性の良さというのはたいへん興味深いし、個人的には嬉しいことだ。おおよそ想像はついているのだが、この辺の関係性をちゃんとした言葉で説明できたりすると、誰かが褒めてくれたりするのだろうか。いずれどこかで発表するつもりである。

さて、『ラブライブ!』関連楽曲でいちばんメタル感のある楽曲は何か、と思い出した時に真っ先に思い浮かぶのは“にこりんぱな”の曲。『ラブライブ!』の矢澤にこ（徳井青空）、星空凛（飯田里穂）、小泉花陽（久保ユリカ）の三人組である。アニメ1期12話で、穂乃果がμ’sの活動休止宣言をしてからもこの三人はアイドル活動を継続するという場面があり、ファンから“ジャージ部”と呼ばれていた。

彼女たちが歌う「after school NAVIGATORS」という曲は、『ラブライブ! Webラジオ ラブライ部 ラジオ課外活動~にこりんぱな~テーマソングCD』に収録されている。後にリリースされて大ヒットしたベスト盤『μ’s Best Album Best Live! Collection II』にも収録されたのでご存じの方も多いだろう。

μ’sの「No brand girls」や「ススメ→トゥモロウ」などでお馴染みの河田貴央による、“メタルっぽいアニソン”ではなく、アニソン的なメタル曲。ポップでグルーヴィなメタルをアイドルに歌わせた雰囲気になっており、フレッシュな歌声、そして楽しい歌詞と、絶妙なバランスで成立した楽曲だと感じる。

アニソンでメタルを作ろうとすると、かなりの確率で欧州系のメロディック・スピード・メタルかドリーム・シアターのようなプログレ・メタル的になりがちなのだが、この曲はアメリカのメタルコア系の曲調やサウンドをベースに作られているところがたいへん面白いと感じる。マサチューセッツ周辺のメタルコアと呼ばれるバンド、シャドウズ・フォールやオール・ザット・リメインズ辺りを感じさせるトラック、そしてその上に乗るμ’sの声優3人の歌声の脱力感（特に久保ユリカ）、このギャップが素晴らしい。メタル系アニソンの面白さのひとつはこの辺の差異である。

この曲を聴いて思い出すのは、やはり同時期に話題となったBABYMETALとなるのだが、にこりんぱなは2012年10月のリリースだった。BABYMETALの革新的名曲「ヘドバンギャー!!」は2012年7月4日、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のカップリングにして超絶グルーヴィーな「Catch me if you can」が2013年1月9日のリリースであることを考えると、これはちょうどその間に発表されているわけだ。だから「after school NAVIGATORS」も、かなり早い段階で行われたアイドル・ソングと、モダンなメタルの融合だったということがわかるだろう。傑作である。

『ラブライブ! Webラジオ ラブライ部 ラジオ課外活動~にこりんぱな~テーマソングCD』

レーベル: ランティス

1. Listen to my heart!!
2. after school NAVIGATORS
3. Listen to my heart!! (Off Vocal)
4. after school NAVIGATORS (Off Vocal)
5. ラブライ部 テーマソングDJCDでもラジオ課外活動~にこりんぱな~ [DJトラック]

前回紹介した「全員集合、あいまいみー!!!」。この曲のギターはもちろんマーティ・フリードマンなのだが、一作目の「ギリギリ最強あいまいみー!」CDに収録されている“METAL mix”のギターはマーティ氏ではなくて、鋼鉄兄貴氏であるとの指摘がありました。お詫びするとともに訂正させていただきます。大変失礼しました。とにかく「ギリギリ最強あいまいみー!」の“METAL mix”は最高なので是非聴いていただきたいと思います。

連載一回目からやらかしてしまい凹み気味なんだけど、気を取り直して今回は『ラブライブ!サンシャイン!!』関連からの新作。

『ラブライブ！』及び『ラブライブ!サンシャイン!!』は今、日本国内で最も人気の高い作品のひとつである。もうとっくに誰でも知っていると思っていたのだが、まだ『ラブライブ!サンシャイン!!』はおろか、『ラブライブ！』すら観ていないという人もいるので、ものすごく簡単に説明しておこう。これは、アイドルグループの奮闘と成長を描かれた作品である……とまあ、これだけだとあまり興味をひかないと思うので、もう少しだけ補足しておく。

主人公たちはアイドルグループをクラブ活動としてやっており、これは“スクールアイドル”と呼ばれ、全国の高校にアイドル部があるという設定になっている。そして、そのスクールアイドルの全国大会の名前が『ラブライブ』というのである。主人公のグループは一作目がμ’s（ミューズ）、『サンシャイン!!』はAqours（アクア）で、どちらも9人組である。実際のステージでは、演じている声優がそれぞれのキャラになりきって歌い踊る。μ’sは二次元の世界で“ラブライブ”全国優勝を果たし、三次元では紅白出場、東京ドームを二日間ソールドアウトにして伝説となった。現在Aqoursもそこに続くべく夢の階段を駆け登っているところ。9月にはメットライフドーム（旧西武プリンスドーム）2デイズも決定している。かなりチケットが取り難いコンサートである。これだけ覚えておけば十分だろう。

ちなみに、『ラブライブ!サンシャイン!!』は前作で全国大会で優勝したμ’sに憧れる少女がスクールアイドルを結成しようとするところからストーリーが始まる。7月にはEテレでアニメ1期の再放送、秋には2期の放送も決定している。今からでも追いかけるのは可能だし、決して遅くはない。僕はアニメしか観ていないのだが、マンガやゲームなどメディアミックスも大きく展開されている。

今回紹介するのはGuilty Kissのシングル第二弾から、タイトルトラックの「コワレヤスキ」。

Guilty KissはAqoursから派生したユニットであり、要するにこれはキャラクター・ソング、いわゆる“キャラソン”である。桜内梨子(CV.逢田梨香子)、津島善子(CV.小林愛香)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)の3人。グループの中でも特に歌唱力のあるメンバーで構成されている。
なぜこの曲に注目するのかというと、前作がモトリー・クルー「ライヴ・ワイヤー」やLAガンズ「ノー・マーシー」的なパンキッシュでハードな疾走感が最高の楽曲だったから。そして今作も作編曲で同じ佐伯高志が担当しているということで、俄然注目度がアップした。

今回はテンポをミドルに落とし、よりダークでヘヴィ、そしてグルーヴィな雰囲気となった。簡単に言えばニューメタル的な楽曲となるのだが、サビで一気に持っていく感じはいかにもアニソンである。それはエヴァネッセンス「Going Under」やフーバスタンクのデビュー・シングル「Crawling in the Dark」や、あとはパパ・ローチあたりの雰囲気にも近いと思う。ギターソロの開放的な雰囲気も素晴らしく、中盤にはジェント感なんかも取り入れたりしつつ、またサビで盛り上げてくる。色んな要素を飲み込みながらも、しっかりとアニソン歌謡曲の枠に落とし込んでいるところに、好き者の筆者は高揚してしまうのだ。カップリングのダンスチューンも併せてヘヴィロテ中である。

「コワレヤスキ」
歌：Guilty Kiss［桜内梨子(CV.逢田梨香子),津島善子(CV.小林愛香),小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)］
品番：LACM-14603

定価：￥1,300(tax out)
レーベル: ランティス
※2017年6月21日発売

■収録曲
01.コワレヤスキ（作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：佐伯高志）
02.Shadow gate to love（作詞：畑 亜貴　作曲・編曲：渡辺和紀）
03.コワレヤスキ (Off Vocal)
04.Shadow gate to love (Off Vocal)

■ドラマパート
05.十番勝負❤沼津やまやの陣

深夜TVアニメを観ていると、突然メタルが流れてきて驚いた、なんてことがここ数年頻繁に起こっている。それはメタルっぽい曲だったり、本格的なヘヴィ・メタルのバンドが演奏していたりすることもあったり。気になって調べてみると、アニソンにはオープニング（OP）、エンディング（ED）以外にも劇伴やキャラソンなど様々な種類があるということがわかった。同時に、メタル系のバンドがアニメのOPを担当していた大昔のことも思い出した。有名なところではアニメ『聖闘士星矢』（1986）のOPをMAKE-UPが担当していたことがある。僕の世代なら皆知っている作品である。知らない人に一応説明しておくと、MAKE-UPはLOUDNESSの樋口宗孝プロデュースで1984年にデビューしたハードロック・バンド。デビューアルバムはややアメリカン寄りのサウンドだったが、アニソン的熱血メロディを取り入れた「ペガサス幻想」は、バンドの個性と見事にフィットし傑作となった。

“メタルっぽいアニソン”が、ここ数年で増えていると感じている。見つけたらすぐにCDを購入するようにしているのだが、これが追いつかないほどあるのだから凄い。特に“バトルもの”作品にはメタル系が相性がいいので、よく使われているようだ。しかし個人的には“燃え”より“萌え”が好みで、メタリックなトラックの上に女性声優の可愛らしい声が乗った楽曲を探し求めがちである。このタイプはわりと多くあるので、とりあえず最近リリースされたものから紹介しよう。

アニメ『ちょぼらうにょぽみ劇場 あいまいみー』は、2013年1月からスタートした5分枠の短編アニメ作品シリーズである。原作は高校の漫画研究部に所属する4人の女子高生による「不毛な日常」が描かれた4コマ漫画。

この作品のOPには毎回、マーティ・フリードマンが参加している。いまさらマーティの説明はしないが、もちろんギターを弾いており、それもソロ・アルバム並みに弾きまくっているのだから好きな人は悶絶必至だ。でもコアなメタルマニアには案外知られていないのである。

今回紹介する「全員集合、あいまいみー!!!」は、2017年1月より3月まで放送されていたアニメ3期『ちょぼらうにょぽみ劇場 あいまいみー ～Surgical Friends～』のOP。ここでもまたマーティのギターが全開で炸裂している。ドラムはゲームやアニメの楽曲やLIVEなどに参加しているPAPAが担当。果てしなく疾走していくドラミングの上で、気持ちよく弾きまくるマーティの姿が見えてくる。そして3人の女性声優が元気いっぱいの可愛らしい声で歌うのは、ほとんど意味のない歌詞。個人的にはこれが“理想のメタル的アニソン”である。インストも収録されているので、ギターを堪能したい人はそちらをどうぞ。

ちなみに一作目のOP『ギリギリ最強あいまいみー!』のCDには“METAL mix”なるものが収録されており、そこで聴けるマーティのザクザクしたリフと躍動しまくりのソロも素晴らしい。最後はMETALLICAっぽいリフで締められていたりして、顔がニヤけてしまう。

この連載ではこれからメタル的アニソンを紹介していこうと思う。その先に見える“何か”は、徐々にわかるはずなので、しばらくお付き合いいただきたい。

データ

「全員集合、あいまいみー!!!」

作詞：森永桐子／作曲・編曲：羽鳥風画／ギター演奏：マーティ・フリードマン

歌：愛（大坪由佳）、麻衣（内田彩）、ミイ（内田真礼）

リリース：2017年3月12日

品番：STCH-0015

レーベル: studioCHANT