後進のスケーターにつながる行動の意味

この取材の直前には、8月16日から配信される番組収録が行われていた。その話を聞いて感じるのが「後進のスケーターにつながる3人の行動」だ。荒川さんは、後輩の成長を意識したグループナンバーについて詳しく話をしていたし、真央さんはプロの後輩たちを率いてのチームでのアイスショーのツアーの話、高橋さんも「滑走屋」で自らスカウトした若手現役選手たちを鍛えて滑る場所を作っていることなど……。「後進のため」ということをどのように意識しているのだろうか。

高橋「それは自分の場所を作るためでもあります。やっていることの主軸は、後輩のため、ってだけではないですね。スケートでパフォーマンスをするのが僕は好きなので、する場所がなくならないためにするには?と考えた結果の行動で。後輩のためになることにつながればうれしいですが、それだけじゃない」

浅田「私も最初はそういうつもりで始めたわけではないんです。気が付いたら、後輩のスケーターの滑る場所を作ったり、育成もしているなど、言ってもらったりしています。でも、これからも、そういうこともできるなとは思ってます。自分の名前のついたリンクができることも含め、一生スケートに携わって、スケートに御恩返しをしたい」

撮影/森清
 

荒川「『フレンズ』で若いスケーターを意識しているのは、私自身、子供の頃、アイスショーを知らなかったことが大きいかもしれません。もっと子供の頃から知ってたらスケートをするモチベーションの一つになるのでは、というのが根底にある。

私自身がショーの魅力を知ったのが二十歳を超えてからだったのですが、当時はショーやるなら海外でやるしかないって思考でした。自分で作る発想もなかったし、できるとも思ってなかった。自分が前からショーの魅力を知っていたら、競技をもっと意欲的にできたかなとも思うんです。なので、自分のできる活動をして、誰かのモチベーションにつながっていけばいいなと思って。大ちゃんがよくいってるように、それがメインの目的じゃないけど、後進のためにつながればいいなと」

撮影/森清