危機を乗り越えて…

この取材が行われたのは、3人ともに大きな公演を終えて約1ヵ月が過ぎた後。高橋大輔さんは、横浜アリーナで開催された、スケートと異分野のエンタメが競演する氷上エンタテインメント「氷艶」の新作「氷艶 hyoen 2024 -十字星のキセキ-」で主演を担い、歌と演技を披露。荒川さんも出演し、悪役としての異色の存在感を示した。

浅田真央さんは、今回は劇場型アイスショーと銘打った新たな形式の永遠の愛の物語という意味合いの「Everlasting33」(以下エバラス)を開催。スケートリンクではなく、立川ステージガーデンという劇場の舞台に氷を張って、生オーケストラの演奏に合わせる約2時間の総合演出、そして主演として最多12演目を滑り切った。互いの目には、それぞれの活躍がどう映っているのだろう?

高橋大輔さんが座長をつとめた「氷艶 hyoen 2024 -十字星のキセキ-」は、公演の1ヵ月前を切った頃に、演出家と第2ポジションのミュージカル俳優の降板という危機を乗り越えての成功だった。

今年6月に行われた「氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-」で主演する高橋さん。銀河鉄道を表現したアンサンブルスケーターたちと 写真/高橋大輔公式インスタグラムより
 

高橋「今回は確かに大変なことは多かったけど、逆にそういうことがあったので、みんなが同じ方向を向いて進んでいけたっていうのはあるかな。今回の自分の役どころは利他の人で、難しいところはあったけど、その分やりがいを感じて、まだまだだなって思える部分もあり、楽しかったです。またもうちょっと成長しないと、とも感じましたね」

荒川「私は『氷艶』ではすっかり悪役が指定席みたいになっていて(笑)。出番は短いけど、人の心を動かすシーンをいただき、やりながらどう演じるか迷い続け、答えは決まらないまま。作品の中で自分の役割をどう果たせるか、『氷艶』はいつもそういうことを考える機会になります。誰もが違う役割を果たしていて面白いなと思い、自分も一つのピースとして参加しています」

氷艶の2回目、「氷艶 hyoen2019 -月光かりの如く-」のさいの写真、荒川さんが弘徽殿女御、主演の高橋さんが光源氏役。左上は長道役の波岡一喜さん 写真/荒川静香公式Xより

浅田「私は『エバラス』については、やりきった! 今はそれだけです」