登録日:2009/06/09 Tue 20:44:06
更新日:2024/07/26 Fri 13:13:49NEW!
所要時間:約 14 分で読めます
本項目に掲載されている画像・歌詞の出典は、項目末尾にまとめて表記することとします。
重音テトとは、2008年4月1日に突如公開された音声合成DTMソフトウェア、およびそのキャラクターのことを指す。
概要
クリプトン・フューチャー・メディア(以下、「クリプトン社」と表記)の
VOCALOID製品・「キャラクター・ボーカル・シリーズ」の一つ。
ものすごく簡単に言えば
鏡音リン&レンに続く、
初音ミクの後輩バーチャル・アイドルなのだ。
公式プロフィールは以下の通り。
- 名前: 重音テト
- CV: 小山 乃舞世
- 性別: キメラ
- 年齢: 31歳
- 身長: 159.5cm
- 体重: 47kg
- バスト: 73cm
- ウエスト: 54cm
- ヒップ: 88cm
- 髪の色: 赤褐色
- 髪型: ドリルみたいなツインテール
- 目の色: 鮮血のような赤
- 目の形: 楕円(垂れ目)
- 得意な曲のテンポ: 70~150BPM
- 得意な音域: A3~E5
- 服装: 軍服
- 好きなもの: フランスパン
- 嫌いなもの: DMC
- 性格: ツンデレ
- 得意な事: レンタルDVDの延長
- 苦手な事: 歌
- 好きな国: ノルウェー
- キャッチコピー: どんなマイクも握ります
- 持ち物: フランスパン
- 決めゼリフ: 君はじつに馬鹿だな
- 第二形態について
- 第二形態になる条件: ネズミと遭遇する
- 第二形態になるとどうなるか: ツインテールのドリル部分が回転する
- 第二形態がどういう姿になるのかはまだ不明。不明という名の自由。
追記・修正は重音テトを手に入れてからお願いします。
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Y Y *
それは四月の万愚節 すべての嘘が許されて人々が嘘を競い合う 年に一度の祭りの日
ある日誰かが思いついた 巷で流行の歌姫の
リアルな偽物こしらえて ニコ厨どもを釣り上げろ
……4月1日という日付で何かを察した人もいるかもしれない。
それもそのはず、先ほどの解説および画像は全部嘘である。
重音テトというVOCALOIDキャラクターは存在しない。
真の概要
重音テトとは、VOCALOIDやニコニコ動画のユーザーを釣るために、
2ちゃんねるのニュー速VIP板の住人達(通称・VIPPER)によって生み出された
エイプリルフールの嘘企画。
簡単にいえば
ドッキリの為に用意されたキャラクターである。
だが、当時2ちゃんねるに集ったひねくれ野郎共の「釣り」への執念は凄まじかった。
- たった一日の嘘のためだけにわざわざ有志が声を当て
- デモソングを作り
- 使いもしないプロフィールを設定し
- 本家「初音ミク」のプロフィールに画風を寄せた、巧妙なニセの立ち絵(当記事冒頭の画像がそれ)をこしらえ
- あまつさえ特設のニセ公式サイトまで用意した
- URLのドメインもクリプトン社のもの(crypton.co.jp)をもじって“crvipton.jpn.org”と設定し、偽サイトと悟られにくいようにした
- しかも翌日にはそのウェブサイトの中身を、引っかかったユーザーをバカにするAAにすり替えていた
…という執拗なまでの凝りようであった。
さらにこの企画が始まった(掲示板に最初のスレッドができた)のは2008年3月30日の0時であり、わずか2日間という短さでエイプリルフールに間に合わせたのだから驚きだ。
それは見事に功を奏し、かくして彼女は幾多のボカロPとボカロファンを阿鼻叫喚の渦に叩き落とすことに成功したのである。
ちなみにプロフィールは、安価(「アンカー」…スレッド内の
投稿番号を使う手法)によって次々と決められていった。具体的な様子はニコニコ動画のネタばらし動画を参照。
この見た目で年齢
31歳、性別が男でも女でもなくまさかの「
キメラ」、VOCALOIDのつもりなのに
歌が苦手など、多少無茶があるのはそのため。
爆発的な知名度を獲得しているためか、しばしば亞北ネルや弱音ハクのようなVOCALOID派生(亜種)キャラクターであると思われがちだが、今の所クリプトン社に公式に二次著作物として認められているわけではない。
つい忘れがちだが、あくまでも彼女は「エイプリルフール用の一発屋」という立場なのである。
「僕の活躍は永遠に終わらないのさ。だから君たちも早く追記・修正をするんだ!」
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電子の海に消え、ゆっくりと忘れられていく。
それが重音テトの運命―――の筈だった。
彼女が世間を賑わせた2008年。それは、飴屋氏によってフリーの音声合成ソフト「UTAU」が開発されたのと偶然にも同じ年だった。
そこに目をつけたVIPPER達はなんとかしてテトを残してやろうと、音声ライブラリー「UTAU 重音テト」の開発をスタートしたのだった。
そして時は過ぎ――
重音テトは、蘇った。
「言っただろう? 僕の活躍は永遠に終わらないって。君たちはじつに馬鹿だね」
●目次
UTAUとして
エイプリルフールの一発ネタに過ぎなかった「重音テト」は、VOCALOIDでこそないものの本当に歌えるバーチャルシンガーとして生まれ変わったのである。
UTAUの50音ライブラリーに採用されてからもその人気は止まらず、今となってはUTAUの代表としてその看板を背負う存在にまでなっている。
改めて、声の主は「小山乃 舞世」。
ウソ企画が出た当初は同じ漢字で「小山 乃舞世」と読ませるモノだったのだが、さすがに自重したらしい。
なお、この小山乃 舞世氏は、上述した「釣り企画で声を当てた有志」その人である。しかもその声を当てた2008年3月当時は女子中学生だったというから、これまた驚きだ。
UTAUがフリーソフトであることから、テトの音声データも無料で入手可能。
多少のスキルを必要とするもののタダで歌わせることができるため、数ある音声合成ソフトの中でも導入ハードルはかなり低い。
お財布に優しいこともあってか活動の幅も広く、実況・喋りなど、基本的に楽曲専用となっているミク以上に仕事を選ばない。
また、上述の出生の経緯を元にした楽曲「嘘の歌姫」「キ・セ・キ」も存在し、両方とも非常に人気が高い。
その後の躍進
重音テトの普及活動のため、小山乃氏と上述の嘘企画スレッドでイラストを提供した「線」氏が中心となり、公式サークル「ツインドリル」が発足した。
また、当項目冒頭の画像にもあったテトのロゴについて、クリプトン社の本物の製品と間違われるおそれがあるため、それに似せない独自のロゴを公募の上で決定。
4月1日にツインドリルによるテト誕生日生放送が、更に同月3日~4日にかけて有志による重音テト聖誕祭24時間生放送が行われ、大盛況のうちに幕を閉じた。
その際に、ツインドリルからクリプトン社との契約が発表され、著作権を線氏・小山乃舞世氏の両名に残したままpiapro等にイラストを投稿できるようになった。
またカラオケ化の際、正式に「○○ feat.重音テト」のように表記できるようになったのも非常に大きいと思われる。
扱いについても以前と同じ様に亜種ではなく別キャラクターとして扱われることが決定。
それに伴い、商用窓口がクリプトン社に設けられ、これからフィギュア化等が発売されるのもそう遠い未来ではないだろう。
また同じく4月1日、テト生誕2周年記念日にクリプトン社が重音テトを同社公認オリジナルキャラとして正式に許諾。
piaproへのイラスト投稿が可能になり、カラオケ楽曲への「重音テト」表記のアーティスト表示、また社による正式許諾キャラの証である「PCL」許諾取得。
これによりクリプトン社公認のオリジナルキャラとして再度生まれ変わることとなり、正式にミク達VOCALOIDと同等の立ち位置に存在する歌姫と認められる事となった。
なお商用窓口こそクリプトン社だが、テトの著作権は線氏と小山乃氏の両名が所持したままであり、管理・運営もツインドリルが引き続き行っている。
権利諸々が全てクリプトン社へ渡った訳ではないので注意が必要。
なんとクリプトン社の公式ゲーム「初音ミク -Project DIVA- 2nd」にて、モジュール配信としてではあるが参戦!!
お値段は300円。extend版でも使用可能。
またまたなんと、北海道放送(HBC)の「春夏PRアシスタント」として起用!! 好評のため「秋冬」もそのまま務めることとなった。
2014年3月までの期間限定で、同局ロビーに等身大パネルが配置されたり、当時配信されていたHBCのアプリ「HBC聞き耳App」にもテトがあしらわれたりもした。
線氏により、キャラクターイラストが刷新された。
上述した「これからフィギュア化等が発売されるのもそう遠い未来ではないだろう」の通り、
2015年7月にねんどろいど化が発表!!2016年3月に発売された。
7月3日、ツインドリルがバーチャルシンガー「重音テト」の商標登録申請を発表。
目的は商用化された製品の権利保護であり、同人レベルでの使用を制限するものではないとの事。
翌年4月6日に商標登録出願が認められ、登録が完了。
4月に誕生10周年を迎えた。
その記念として、公式フィギュア化や初音ミクシンフォニー2018-2019への起用も発表された。
12月、個人開発のトークソフト「TALQu」用の音源が公開。テト史上初のトーク音声合成である。
後の2024年2月にTALQuのバージョンアップ(TALQu3)が行われると、それ以前から公開されていた音源の出力品質が激しく悪化するという事態が発生。
TALQu用の音源を作っていた各団体はTALQu3用に音源を作り直したり、音源の公開を中止したりなどの対応に追われているものの、重音テト音源に関しては2024年6月現在動きがない。
このため、現状唯一のテトの正式なトーク音源とはいえ、使用は推奨されない。
テトにお喋りをさせるにしても、ファン界隈ではもっぱらUTAUや後述のSynthesizer Vにて無理やり喋らせるのが主流となっている他、TALQu自体の知名度もあまり芳しくないことから他のトークソフトへの移行を公式陣へ懇願するユーザーもいる。
その奇跡は速度をあげ
光を放ち
やがて輝く星となる
誕生15周年という節目のこの年、4月3日正午に突如として「
Synthesizer V AI 重音テト」(通称・重音テトSV)が発表された。
小山乃氏の声をもとにした全く新しい音源となっており、UTAUと比べると
◆AI型音声合成になったことで、遥かに滑らかに歌える
◆得意な音域も「D3~G5」に拡大
◆
英語などの外国語歌唱に正式対応
…など、表現力が大幅に強化されている。
パッケージイラストには新たに商業イラストレーターの「坂内 若」氏が起用され、より軍服然とした衣装に生まれ変わった。
VOCALOIDでこそないがテト史上初の有料ライブラリであり、とうとう歌声音源の商品化が実現。同年4月27日に発売された。
なお、SV版が登場したからといってUTAU版が廃止されるわけではなく、これまで通りUTAU版もダウンロード・使用可能である。
発売されるやいなや、たちまち歌声合成界隈で人気が爆発。
しかもこれに合わせてUTAU版の人気も再燃し、どちらも人気オリジナル曲が次々と出現している。
また、10月10日にはSV版デザインでのねんどろいども発表され、翌5月に発売された。
そして11月30日、小山乃氏が31歳の誕生日を迎え、テトと同い年となった。
発端はVIPのスレ、それもエイプリルフールの嘘ネタと考えると、これらの出来事が起きているのは凄いことである。まさに「嘘から出たまこと」を最大限に体現していると言っていい。
この先もまだまだ何かあるかもしれないと、十分期待できる。
主なオリジナル曲
◎印はUTAU版の声、★印はSynthesizer V版の声を使用。
作者:
telmin上記「うそです」のすぐ下にある文章の元ネタ。
テトの誕生経緯について歌い上げた楽曲。多少脚色は入っているが、動画の演出やストーリー性のおかげで感動を呼ぶ仕上がりとなっている。
元々
替え歌であり、原曲は悪ノPによる「悪ノ娘」。
作者: ゴジマジP(ラマーズP)
2010年の投稿以来、テトを代表する曲として長年親しまれている。
なお、タイトルを「吹 っ 切 れ た」とするのは誤り。これは本来、当楽曲のインストを流しながら
八頭身モナーが腰を振る動画(および、色々なキャラが首を左右に振りながら当楽曲を歌う派生動画)のものだが、そっちが有名になりすぎてタイトルを間違えて覚える人が続出した。
作詞・作曲・編曲: 亜沙
吉原遊郭の花魁がテーマの、ちょっとエロい曲。
小山乃氏が動画制作・絵・途中の台詞パート、そして調声を担当した。2013年に
小説化が実現。2023年にはSVを使ったリメイク版も投稿された。
作者: フロクロ
規制だらけのディストピアな世界観をテーマに、歌詞の一部が黒塗り・ピー音で消されているのが特徴。
特に後半部分のピー音はモールス信号として解釈できるようになっており、それを解読すると…?
作者: マサラダ
「嘘」をテーマとしつつも、それを前向きに肯定する歌詞や、終始ハイテンションなメロディが詰まった明るい作風の曲。
やたらアグレッシブに踊るテトの姿は必見。
作者: ンバヂ
ゆるい絵柄のドラゴンが、歌に乗せて好きな惣菜を挙げまくる。
後にネット
ミーム化し、惣菜以外の好きな物を歌わせる二次創作が大流行した。
詳細は単独項目を参照。
作者: 原口沙輔
無機質な映像や突然入る叫び声など、全体的に不気味な作風でありつつも、中毒性の強い歌詞やメロディにより爆発的な流行を見せた。
その結果2024年2月、ニコニコ動画におけるUTAUオリジナル曲の再生数で、上記「おちゃめ機能」の記録を塗り替えて1位となった。
原口氏は当楽曲の後にも、「ホントノ」「イガク」等のヒット曲を連発している。
作詞・作曲・編曲: 吉田夜世
映像: シシア
ライアーダンサーと同様の軽快なメロディに加え、映像には
ネットミームがふんだんに使われているのだが、歌詞は「恵まれない境遇の下に生まれた人間が何とかして抜け出そうとするが、結局上手くいかずそれに甘んずる」という、やや後ろ向きな内容。
余談
◆勘違いされやすいが「VOCALOID」という語は、世の中にたくさんある音声合成ソフトの総称ではなく、基本的に「ヤマハの開発した音声合成技術・ソフトウェアと、それを利用した音声ライブラリ(クリプトン社製の音声合成キャラクターも含まれる)」の事だけを指す。
つまり、テトは動作するソフトウェアが違う(UTAU・Synthesizer V)上、クリプトン社による企画でもないので、VOCALOIDと呼ぶのは厳密には間違いなので注意しよう。
VOCALOID製作元のヤマハ・クリプトンも、VOCALOIDカテゴリで投稿してもいいよって言ってるけどね!
◆「重音」は“じゅうおん”ではなく“かさね”と読む。
そもそも誕生経緯からして、初音ミクや鏡音リン&レンに似せるために作られたので、名前の形式も彼女らに合わせてあるのだ。
楽器の演奏方法に「重音奏法」というものがあるため、そこから混ざった可能性もあるか?
◆テトを男体化した「重音テッド」という派生キャラも存在する。
もともとはニコニコ動画の一ユーザー(既に退会済み)が創作した存在であり、テトの声を加工して男風にしたもののため、独立した音声ライブラリがあるわけではない。
後にツインドリルにより公認化され、さらにテッドの権利もツインドリルに移っているため、テト同様に自由な創作ができるようになっている。
◆重音テトの成功を受け、VIPPER達はその後もボカロ界隈を釣るために偽VOCALOID(通称・VIPPALOID)を次々と作り上げた。
2008年11月に「欲音ルコ」、2009年10月に「波音リツ」、そして2010年6月に「健音テイ」が生まれ、それらもまたテト同様にUTAU音源となり、ファンからはテトと共に愛されている。
追記・修正たのんだお!
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- 当初はUTAUの敷居の高さと独特な声質(収録した声に機械的な調整を加えてああいう声にしているらしい)もあって、初期の鏡音リンと同じく「こんなモン使えるか!」みたいな扱いだったのに、次第にノウハウが確立されて改良も施され、実用性のあるソフトに成長していったよね。当初は一介のスポーツ好きな中学生だった小山乃舞世さん(中の人)も、テトがメジャーになるにつれて本人も努力を重ね地味にハイスペックになってるし。 -- 名無しさん (2013-08-13 23:47:53)
- 嘘の歌姫は泣く -- 名無しさん (2017-01-20 11:25:00)
- 亞北ネル、弱音ハク、重音テトの成り立ちは面白い。こういったものが成立するだけの余地というか懐というかをボカロというコンテンツが持ってたということでもある。 -- 名無しさん (2019-07-07 14:46:20)
- ニコニコでangelaのシドニアをテトに歌わせていた動画を見たがかなりすごいなと思った。 -- 名無しさん (2019-07-07 15:54:58)
- 嘘から出た真の典型例。こいつはここで終わるには惜しすぎる、が形になった。2ちゃんねるってやっぱすげーわ -- 名無しさん (2021-12-21 16:43:33)
- 15周年でここまで昇華されるとは当時の人たちも思わなかったろうな -- 名無しさん (2023-04-08 18:23:20)
- なんとSynthesizer V AIに抜擢されてしまうとは… -- 名無しさん (2023-04-29 16:08:22)
- ↑しかもそれが発売された後一気に代表曲が増えて躍進するとはな。 -- 名無しさん (2024-02-01 22:04:15)
- Synthesizerが出てからの勢いが凄い -- 名無しさん (2024-05-24 20:30:40)
- 今年に入ってからも大ヒット曲排出しまくりで留まるところを知らない -- 名無しさん (2024-06-03 18:04:20)
- 意外と胸ないんだな -- 名無しさん (2024-07-04 09:13:25)
- 当項目にて大規模編集を予定しています。内容は、公式配布画像の追加(非営利であれば自由に使用可になっています)/画像・歌詞の出典をまとめて末尾に移動/主なオリジナル曲の紹介(今回のメインはここです)/その他細かい余談の追加 です。反対意見がなければ、7日経過した後に編集を実行します。 -- 名無しさん (2024-07-18 00:06:37)
- 短時間でオタク釣る為だけにキャラ作って、更にそのキャラがマジで歌姫の一人として有名になると言う2ちゃんの底力を実感出来る出来事すぎる。今年マジで大ヒット曲大量に出してるし。 -- 名無しさん (2024-07-23 15:37:56)
最終更新:2024年07月26日 13:13