「フレンズオンアイス」の醍醐味・個性的なグループナンバー

「フレンズ」の醍醐味は、国内外の名スケーターによる個性的なグループナンバーが多いこと。初参加の真央さんが、みなでグループナンバーを作り上げていくことが体験できるのが楽しみだと期待すれば、「短い期間だから不安になるかも(笑)」と荒川さん。フレンズに出演するスケーターは多忙なメンバーが多く国内外から集まるので、直前の数日で合わせるという。公開リハーサルから、本番への調整まで「みんな集中力があるから何とかなる!」と荒川さんと高橋さんが経験を真央さんに説明していく。近年の真央さんの公演は、専属チームを組んで長い期間準備をして作っていくスタイルなので、お互いそれぞれのやり方に興味津々のようだ。

2019年の「フレンズ」で「サラリーマンコラボ」と呼ばれた高橋大輔さん、宇野昌磨さん、チャーリー・ホワイトさんのグループナンバー 写真「フレンズオンアイス」公式インスタグラムより
 

2024年に用意されているグループナンバーは4つ。一つはすでに発表されているジェレミー・アボットさんの名プログラム「エクソジェネシス」をリスペクトしたものだ。荒川さんが大好きだというこのプログラムを、本人のジェレミーさんに加えて高橋大輔さん、ジェイソン・ブラウンさんという滑りが美しいスケーター3人に、若きアグレッシブな三浦佳生選手がセレクトされている。

2010年のグランプリで高橋大輔さんは金メダル。銀メダルにジェレミー・アボットさんが輝いた Photo by Getty Images

荒川さんはこのプログラムをやりたい理由と、三浦選手抜擢の理由についてもここで語った。そこには後進に何を学んでほしいのか。育成への情熱が感じられる。高橋さんは「佳生くんの爆走について行けるかな(笑)」と言いつつ、以前自らのショーで目撃した、三浦選手の演技の変化について語り、3人はひとしきり若い選手の能力について話が盛り上がっていた。

2つ目のナンバーも、すでに発表されているが、ステファン・ランビエールさんと宇野昌磨さんとの“師弟コラボ”である。
「師弟関係を経たステファンと昌磨のコラボが見たかった」という荒川さんは、どういう内容にするかはステファン氏に一任しているというその経緯や曲名などを詳しく語っていた。三田さんのが、真央さんに、「昌磨くんの引退についてどう思うか?」への問いに、真央さんは、小さい頃から見てきた宇野昌磨さんの成長についての気持ちを語る。また今も宇野さんが「憧れ」と常に言っている高橋さんも、彼の引退への気持ちを率直に口にした。

昨年、宇野さんが座長だった「ワンピース」を見に行ったときに感想なども話し、3人の宇野昌磨さんへの想いの深さが感じられる一幕となった。「あんなに滑れるコーチっていないよね」と、ステファンさんの話が出たところで、高橋さんがステファンさんに思っているライバル心や、昨年の「フレンズ」で二人が滑った「ポエタ」のコラボが、いかに白熱していたかの話題で盛り上がる。それを聞いて三田さんが「ポエタ」って、ステファンさんの代表作なのに、それをやったんですか?」と驚くと、高橋さんは「そうなんですよ、怖いでしょ」と荒川さんを見る。すると荒川さんが「ごめん。だって観たかったんだもん」と言った姿が、やけにかわいらしかった。

2023年の「フレンズオンアイス」のグループナンバーより。ステファン・ランビエールさんの名作「ポエタ」で共演した高橋大輔さん 写真/フレンズオンアイス公式インスタグラムより