裁判官
「被告人を懲役1年2月に処する。未決勾留日数中120日をその刑に算入する」
裁判所は、全裸の男性がいるはずがない営業中の女湯で、全裸の男性である被告人が、全裸で無防備な被害者に急に話しかけ、その後に被害者の身体を触ったことにより、被害者を恐怖または驚愕させ、その結果、触られることを同意しない意思を表明することが困難な状態になったといえ、被害者が被告人の行為について同意をしていないといえると判断しました。
そうした状況下で、被告人が被害者の身体を触る行為は、社会通念に照らし、性的な意味がある行為であり、わいせつ行為にあたると判断しました。
また、判決に至った理由として、被害者の周囲には人がおらず、誰の助けも得られなかった状況の中で、性的自由を侵害されたもので、被害者の被った精神的苦痛や驚き、恐怖、不安はとても大きく、そのため被害者が厳重な処罰を求めていること。
執行猶予期間中であったにも関わらず、犯行に及んだこと。
被告人は性自認に悩んでいたとはいえ、短絡的に犯行に及んでいて、その動機や経緯について酌量すべき事情は乏しいこと、などを挙げました。
一方、考慮すべき事情として、被害者に対して大きな苦痛や迷惑などをかけたことを深く反省し、社会復帰後は二度と再犯しない旨を誓っていること。
被告人の父親が社会復帰後の被告人の生活を監督指導する証言をしていることなどを挙げました。