検察官は、周囲に女性客がいない状況で、女性を混乱させ、女性が体を触られることに抵抗をしてもなお触り続ける行為は極めて悪質で、これは不同意わいせつに該当すると指摘しました。

ついに女性は「まだ髪を洗っていないんですよね」という理由でその場を回避して、脱衣所に避難し、急いでフロントに連絡したそうです。

検察官に対し、泣き震えながらこうした経緯を鮮明に説明した女性は、その後も大きな不安を抱えながら日常生活を送っているといいます。

その上、被害女性が慰謝料を請求していないことなどから、女性が虚偽の供述をしている可能性は考えにくいと主張しました。

一方、被告人が性に悩んでいて「女湯に普通に入ることができたら、自分は女性として生きていっていいんじゃないか」という考えから、男の体で女湯に入ったことは、合理的理由が皆無だと指摘しました。

検察官は、犯行動機に酌量の余地はないこと、被告人は再犯で執行猶予期間中に今回の犯行を行ったことなどから、2年の実刑判決を求刑しました。

【弁護士 最終意見陳述】

続いて弁護士が意見を述べました。

弁護士は改めて、被告人の無罪を主張しました。

被告人が女湯に入り、女性に声掛けをしたこと、女性の身体を触ったことは認める一方、それは女性の同意を得て触ったもので、いきなり触ったり、太ももや鼠径部付近を触ったりした事実はないとしました。

また、被告人は、長らく「性」について悩みを抱えていて、男性として生きることに違和感を感じていたことなどから女湯に入ったとして、そもそもわいせつ目的はなかったと主張。被告人の寛大な処罰を求めました。