黄金のままでいられるか。
二年前に乳ガンになり、余命二年を告げられた女性S様から「会いたい」と連絡をもらった。最初から治癒は目指さず、ガンと共栄共存する方針で抗癌剤と色々な生薬などを併用することに決めた。色々な治療法がある中で、お金が尽きるか命が尽きるかギャグのような世界を歩いている。抗がん剤点滴の後十日程は絶不調で、寝たきり状態で二度と復活できないかもモードに突入した後何となく回復して、好調の二週間を過ごし点滴するというサイクル。ガンであることを告白したのは七人ほどで、娘にも言っていません。S様は、そのようなことを話した。
S様は続けた。言わない理由は「心配という呪い」をかけられることが嫌だったからです。みんな優しくていい人なのだけれど、自分の心配をぶつけてきます。私は私を支えるだけで精一杯なのに、他人の不安や心配まで引き受けることは、絶対に嫌だったからです。娘に言っていない理由は異なります。こどもが小学生になって、子育てと仕事に一生懸命な時期で、まだまだ若く、幼い時に父親を亡くした娘にとても言えませんでした。娘は、私の不調も知っています。動けない時は買い物に行って、手伝いに来てくれます。坂爪さんにお願いがあります。一度、お目にかかって抱きしめて頂けませんか。
ガンに対する意見は人の数だけあって、抗癌剤治療肯定派の人もいれば、否定派の人もいる。ガンは治ると言い切る人もいれば、夢みたいなことを言わないでくれと思う人もいる。ただ、遅かれ早かれ、人は必ず死ぬ。すべてに終わりの瞬間が来る。そのことに変わりはない。S様は言った。主人が亡くなってずっと綱渡りのように頑張ってきて(仕方ない当たり前やることをするだけと頑張ったつもりはありません)だけれど、最後も頑張らざるを得ないことに、ほとほと嫌になりました。抱きしめられて思いっきり泣きます。どうぞよろしくお願いします。
色々な人に会う。色々な場所に行く。呼ばれた場所に移動をする生活を続けている。誰かに呼ばれたら移動して、誰からも呼ばれなければその場に留まる。宿が与えられたら宿に泊まり、宿を与えられなかった時は「地球が俺の宿だ」と強がり、その辺にあるものを駆使して生き延びる。自分でも「俺は何をしているのだろう」と思うことが度々ある。だが、自分が何をやりたいかではなく、神が、自分に何をやらせようとしているのかを聞く力を培うことが、大事なのかもしれないと思う。今後の予定も、今夜寝る場所も決まっていない。金や家や仕事があれば、暮らしは安定する。だが、出会いは減る。人との関わりの中で「あ、これのためだったんだ」と思わされることは多い。自分の意思だけではなく、自分の意思を超えたところで、何かをやらされる。必要な場所に運ばれていく。あるに安心するのではなくないに安心する。何もかも失くしても、平気でいられるか。動じないでいられるか。ジタバタしないでいられるか。何者でもなくても、黄金のままでいられるか。
やりたいことをやろうとか、自分を生きようとか、前向きなスローガンはたくさんある。大事だとは思うが、それだけでは心許ないと思う。自分がやりたいことではなく、神が、自分に何をやらせようとしているのかを聞く力を培う。自分の「やりたい」だけでは、人生全般が願いだけになってしまう。祈りを忘れた体になる。頭ばかり働くと、何をしたらいいのかわからないまま、何かをやらなくちゃいけないと焦る。願うだけでは、枯渇する。祈りの声が聞こえなくなる。自分のやりたいことではなく、自分がやらされようとしている声に耳をすませると、静けさを取り戻す。永遠に損なわれることのない、自分のコア、生命のコアを照らし出す。静けさの中に、青く燃える、激しさがある。「よし、行こう」と、足を踏み出させる力がある。
おおまかな予定
7月25日(木)東京都中央区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!



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