八王子スーパー強盗殺人、未解決で28年…事件当時、現場方向を見る不審な人影 犠牲者母校では追悼集会
2023年7月22日 20時32分
東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で1995年7月、従業員の女性3人が射殺された強盗殺人事件で、高校2年だった犠牲者の矢吹恵さん=当時(17)=が通っていた町田市の桜美林高校で22日、追悼集会が営まれた。未解決の事件は30日で発生から28年。当時の教諭や同級生が故人をしのび、銃犯罪の根絶を願った。
◆後を絶たない銃犯罪 「不安や恐ろしさを感じる」
会場には、生前の笑顔から連想したひまわりの花で彩られた矢吹さんの写真が飾られた。同級生だった同校教員の木村智次さん(45)は「今も銃器による悲惨な犯罪が起きている。矢吹さんに思いをはせ、平和を祈り、解決を願いたい」と語った。
同級生らは、事件の半年後に「銃器根絶を考える会」を立ち上げた。毎年の文化祭で、国内外の銃犯罪の悲惨さを伝えるパネル展示などをしてきた。
しかし、今年に入り銃を使った殺人事件が相次いだ。5月に長野県中野市で4人が死亡した猟銃立てこもり事件が発生し、6月には岐阜市の陸上自衛隊射撃場で小銃発砲により2人が命を落とした。
矢吹さんの同級生だった鷹野めぐみさん(45)は「銃器に関する事件を聞くと、社会が変わっていないのではないかと不安や恐ろしさを感じる」。パネル展示は今秋の文化祭でも行う予定だ。「銃器犯罪が身近にあるかもしれないことを少しでも考えてほしいと、後輩たちに伝えたい」と話した。(鈴鹿雄大)
◆見張り役?白色の半袖シャツの男性
八王子スーパー強盗殺人事件の発生時間帯に、立ち止まって現場方向を見る不審な男性が目撃されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。不審人物の目撃情報はこれまでにもあったが、この男性の存在が明らかになるのは初めて。
事件は1995年7月30日午後9時15分ごろ、閉店直後のスーパー2階事務所で発生。警視庁は男性が見張り役などとして事件に関与した可能性もあるとみて捜査したが、特定できていない。
捜査関係者によると、午後9時20分ごろ、白色の半袖シャツの男性が店から西に約60メートルの路上で、店の方向を見ていたとの目撃情報があった。2階事務所につながる外階段の昇り降りが見える位置だった。近くにはトヨタ社製とみられる白いセダンが停車していた。警視庁が発生当初、通行人から証言を得ていた。
周辺では証言の前後の時間帯、運転席に男性がいたという白色セダンの目撃情報が複数あったことが既に判明している。男性の年齢は「25歳前後」「35歳くらい」とまちまちだが、「白っぽい上着だった」との情報もあり、存在が明らかになった男性と特徴が重なる。
事件では、矢吹恵さんのほかに高校2年の前田寛美さん=当時(16)=と稲垣則子さん=同(47)=も犠牲になった。
警視庁幹部は「寄せられた情報の裏付け、新たな科学捜査、証拠の見直しが今後の捜査の重点になる」と話している。情報提供は八王子署=電042(621)0110へ。(鈴鹿雄大、榊原大騎)
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