「お見合い状態。動けない」 立憲代表選めぐり各グループが探り合い

立憲

大久保貴裕

 立憲民主党の代表選を9月に控え、水面下の動きが党内で活発化している。最大グループ「サンクチュアリ」が24日、役員会を開いて対応を協議。泉健太代表のグループ「新政権研究会」も再選に向けて動き出した。ただ、肝心の顔ぶれが定まらないため、探り合いの様相となっている。

 24日午前、国会内の会議室に近藤昭一氏ら「サンクチュアリ」所属の衆参国会議員10人が集まった。同グループ幹事長の小沢雅仁氏は、誰を支援するかについて具体的な話はなかったとしたうえで、グループとして「割れないような合意形成をしたい」と記者団に語った。

 同グループは、旧社会党書記長などを歴任した赤松広隆・元衆院副議長(2021年引退)が創設し、現在は所属議員30人超と党内最大勢力を誇る。17年に小池百合子東京都知事の率いる希望の党騒動で、旧立憲が設立された際、結党の中核を担った。「リベラルの旗印」として党創設者である枝野幸男前代表(60)に期待する議員が多い。

 その枝野氏は、昨年に新たな政策集を打ち出し、同グループの夏季合宿でも講義を行った。今年6月以降のグループ会合で「立候補の意欲がある」と言及。引退後も影響力を持つ赤松氏らに立候補の意向を伝えている。だが21年衆院選惨敗の責任を取って辞任した経緯があり、次期衆院選前の代表復帰は「理屈が立たない」との指摘もある。

 また、同グループには小川淳也政調会長(53)が役員の1人として名を連ねる。ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」などで知名度が高く、3年前の前回の代表選に立候補した経緯がある。

 小川氏もこの日の役員会に姿を見せたが、代表選への言及はなかったという。ただ、東京都知事選での敗北を踏まえ、世代交代の必要性を訴える声が広がっており、同グループ内では小川氏の名前が上がる。

 現職の泉氏周辺も慌ただしさを増している。

 泉氏を支えるグループ「新政権研究会」は23日夜、旧国民民主党で幹事長を務めた平野博文官房長官を囲み、泉氏の再選に向けて協議。泉氏はこの会合には参加しなかったが、側近は「これがキックオフ」だと語った。

 ただ、泉氏のグループだけでは立候補に必要な推薦人20人に届かないことから、サンクチュアリからの支援に期待を寄せる。泉グループの幹部は「党執行部のどんなポストをサンクチュアリに用意するか話し合っている」と明かす。

 ほかにその動向が注目を集めているのが、野田佳彦元首相と小沢一郎衆院議員だ。野田グループと小沢グループをそれぞれ率いる2人は、19日夜に会談。政権交代実現のためには誰が代表にふさわしいかについて意見交換したという。今後も会合の場を持つ方針だ。

 また、菅直人元首相のグループのメンバーも24日、国会内で集まった。枝野氏や西村智奈美前幹事長(57)を推すべきだとの意見が出たという。

 野党第1党である立憲の代表選は、次期衆院選の野党の「顔」を選ぶことにつながる。自民党が裏金事件で支持を落とすなか、その行方が注目されるが、今は膠着(こうちゃく)状態が続く。サンクチュアリの幹部は、「どのグループもお見合い状態。誰も動けない。どこかが初手を打たない限り、しばらくはこのままだ」と話した。(大久保貴裕)

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