いつも一緒だった 四半世紀たっても消えない思い 八王子3人射殺から25年
2020年7月30日 13時55分
いつも一緒だった―。東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で1995年7月、アルバイトの女性ら3人が射殺された強盗殺人事件は30日、未解決のまま発生から25年となった。桜美林高校2年だった親友の矢吹恵さん=当時(17)=を事件で失った同級生、鷹野めぐみさん(42)は、あの頃の思い出を、今もつい最近のことのように思い出す
中学時代から大の仲良しだった。「メグミ」同士だから、「矢吹」「鷹野」とあえて名字で呼び合った。高校の入学願書を出しに行った日も、合格発表も、入学式の当日も、大事なときはいつも隣にいた。
大きな口を開け、声を上げて元気に笑う矢吹さんが好きだった。当時、プロ野球のイチロー選手の大ファンで、音楽グループ「ドリームズ・カム・トゥルー」の曲がお気に入りだった。学校が早く終わると、2人で「プリクラ」を撮りに渋谷まで遠出したこともあった。
高校2年の帰り道。「幼稚園か保育園の先生になれたらいいな。でも、どうすればいいんだろう」と矢吹さんから相談を受け、「女子大の保育科、探してみたら?」とアドバイスした。
「えー探してみるー」
そう目を輝かせる矢吹さんに、「あっ、でも、ピアノ弾けないとだめなんだよ」とおどけて返した。その後、矢吹さんが友人からピアノを習い始めたと聞き、芯が強い、しっかりとした子なんだと尊敬した。
そんなある日、事件は起きた。八王子市の鷹野さんの自宅周辺に、何度もパトカーのサイレンが鳴り響いた。翌朝、母親にたたき起こされて見たテレビのニュースで、拳銃を使った強盗殺人事件で矢吹さんがこの世を去ったと知った。
「矢吹が生きていたら保育士さんにでもなって、今も2人でご飯を食べたりしていたんだろうな」。四半世紀が過ぎても、愛する矢吹さんを奪い、家族や友人ら全ての人生を狂わせた犯人はまだ捕まっていない。
「犯人には逮捕ではなく、自首してほしい。逃げるなと言いたい」と鷹野さん。そして犯人に問い掛けるように続けた。「3人の命に値することって何だったの? それだけ重いことをした自覚は、あなたにあるんですか」(奥村圭吾)
八王子スーパー強盗殺人事件 1995年7月30日午後9時15分ごろ、東京都八王子市大和田町4のスーパー「ナンペイ大和田店」の2階事務所で、いずれもアルバイトの高校2年矢吹恵さん=当時(17)、前田寛美さん=同(16)、パート従業員の稲垣則子さん=同(47)=の3人が頭を拳銃で撃たれて殺害された。事務所の金庫の扉にも弾痕があったが、中の現金約500万円は残されていた。
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