「矢吹が撃たれた?」 高2の夏休み、親友と突然の別れ

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岩田恵実
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 あの夜、鷹野めぐみさん(42)は東京都八王子市の自宅でけたたましいサイレンを聞いた。事故かな。気にも留めず、眠りについた。翌朝、母親にたたき起こされ、テレビのニュースに頭が真っ白になった。矢吹が拳銃で撃たれた? それから25年。今月30日、同市のスーパーで3人が射殺された事件は、未解決のまま節目の日を迎えた。

 1994年春。「え、受かったの?」。高校の合格発表の日、鷹野さんは制服の採寸に並ぶ列で不意に声をかけられた。はしゃぐ彼女は中学の同級生、矢吹恵さん。一緒に入学式に行こうと約束し、その場で自宅の電話番号を交換した。同じ「メグミ」同士、初めこそ「さん」付けで呼び合ったが、それがとれるのに時間はかからなかった。

 毎朝2人で登校した。待ち合わせは八王子駅始発のJR線ホームの最後尾。ポケベルは持っておらず、いなければ「ごめん、遅れる。先に行って」のサインだった。

 年が明け、1月に阪神淡路大震災、3月にはオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた。そんななか2人は、前季にシーズン200本安打を達成したプロ野球オリックス・ブルーウェーブ(当時)のイチローに夢中になり、球団の快進撃に胸を躍らせた。

 高校2年生になっていた。「鷹野、私、今度スーパーでバイト始めるんだ」。そう話す矢吹さんに、「矢吹、レジ打ちできる? 大丈夫?」とすかさず突っ込んだ。マイペースな性格が少し心配だった。

八王子スーパー射殺事件、報奨金期間延長

警察庁は「捜査特別報奨金」の対象とする期間を30日から1年間延長する。事件の解決に結びつく有力な情報の提供者に300万円を上限に支払う。有志らによる私的懸賞金(上限300万円)もある。情報は八王子署捜査本部(042・621・0130)へ。

 「保育士になりたいんだ。ど…

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この記事を書いた人
岩田恵実
国際報道部
専門・関心分野
中国、事件、災害