私が役者としての生き方を尋ねると、何時間でも、とても大事なことを語ってくれた。
腹が立った話や自慢話などはあまりせずに「あのときはうれしかったネー」「人には優しくするもんだゼ」と、御恩について語ることが多かった。
俳優として生きるヒントが隠されているような気がした。
赤塚さんと芝居をしたことがある俳優の多くは、彼がアドリブ芝居の天才であると言う。
アドリブ芝居については賛否両論ある。絶対に許さない監督や演出家も多い。
しかし役者に対してとても厳しい演出で有名だった某巨匠監督でさえ、彼のアドリブだけは許していたという話は有名だ。「君は好きにやりなさい」と言われていたらしい。
アドリブ芝居は他の役者の演技を邪魔するリスクが高いのは当然であるが、客にアドリブだと感じ取られた瞬間に、そこまで積み上げてきた物語性を陳腐化してしまう。それゆえにとてもリスクが高い。
だが赤塚真人さんのアドリブは決して物語の邪魔をせず、彼の役柄のリアリティーを深めるだけなのだ。