『学マス』飯田ヒカルさん(藤田ことね役)インタビュー。 “ふたつの夢が同時に叶った”というオーディションを振り返る。収録時の思い出や演じる際に意識していることなども聞いた

by北埜トゥーン

byオクドス熊田

更新
『学マス』飯田ヒカルさん(藤田ことね役)インタビュー。 “ふたつの夢が同時に叶った”というオーディションを振り返る。収録時の思い出や演じる際に意識していることなども聞いた
 スマートフォン向けアプリ『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)は、2024年5月16日よりサービス開始した『アイマス』シリーズの完全新作タイトル。

 初星学園を舞台に、プロデューサー科に所属する若きプロデューサーと、アイドル科に通うアイドルたちのストーリーが展開される。

 
『学マス』の配信を祝して、藤田ことねを演じる飯田ヒカルさんにインタビューを実施した。『アイドルマスター』シリーズとの関わりやオーディションでの思い出、楽曲やコミュの収録で印象的だった出来事について語っていただいた。
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※本インタビューは4月中旬に実施しました。 ※本インタビューは5月16日発売の週刊ファミ通(2024年5月30日号 No.1849)に掲載した内容に加筆、修正を行ったものです。 ※本記事では『アイマス』は『アイドルマスター』シリーズ全体、『学マス』はスマートフォンアプリ『学園アイドルマスター』の略称として使用しています。また、『アイドルマスター シンデレラガールズ』を『シンデレラガールズ』と呼称することがあります。

飯田ヒカルいいだ

8月28日生まれ。福岡県出身。趣味は歌うこと、写真を撮ること、料理で、特技は食リポ。おもな出演作は『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(遊狩ミユリ役)、『艦隊これくしょん -艦これ-』(玉波役)、『ヘブンバーンズレッド』(ひとよ役)など。(文中は飯田)

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あざとく、かわいく、無邪気、藤田ことねを演じるということ


――藤田ことねと出会う前から、『アイマス』シリーズのことはご存じでしたか?

飯田
 小学生のときに夜なかなか寝られなくて、たまたま765オールスターさんのアニメ『アイドルマスター』を観たことをキッカケにハマりました。ちょうど星井美希ちゃんがダンスの振りを一発で覚えるシーンだったのですが、それがすごくかっこいいなと衝撃を受けました。

――第6話ですね。確かにあのシーンは衝撃的でした。

飯田
 それで気になって、翌週も観ることにしたのですが、その回がまたすごくて。高槻やよいちゃんがメインの回で、『キラメキラリ』が流れたシーンですごく感動しました。

 見た目の印象だと、やよいちゃんはかわいく“きゅるん”とした感じのアイドルなのかなと思っていたんです。でも、アニメを観ていくと、家のことはなんでもするし、すごく家族思いな子だということもわかっていって……。そのときからずっと、やよいちゃんのことが好きなんです。それと、劇中で出てくるもやし炒めもすごくおいしそうで、お母さんに頼んで1週間ぐらい白米ともやしばかり食べていたこともありました(笑)。

――おいしそうでしたよね。すごくわかります。飯田さんはほかのブランドも追われていたりしたのでしょうか?

飯田
 その後もずっと『アイマス』シリーズのアプリなどをプレイしていました。その中でもとくに好きなのは、『シンデレラガールズ』の双葉杏ちゃんです。いまでもホーム画面に設定しています。

――もともとプロデューサーだったわけですね。演じられている藤田ことねの第一印象はどんなものでしたか?

飯田
 花海咲季、月村手毬、藤田ことねの3人の中で、いちばん目を引いたのがことねでした。私の好みが全部入っているキャラクターだなと。

――そういえば、ことねの情報が公開されたときに「高槻やよいと双葉杏みたいだ」と言われていたりもしていましたよね。

飯田
 まったく意識していなかったんですけど、言われてみて「確かに!」と思いました。オーディションのときにも「ことねちゃんが大好きなんです!」と伝えさせていただいたので、ことねを演じることができて本当にうれしいです。

――オーディションのお話も出ましたが、受ける際はどんな気持ちでしたか?

飯田
 じつは過去に何度か『アイマス』シリーズのオーディションは受けていたんです。でも、今回はメインとなる3人ということもあって「受かるかわからないけど全力でやろう!」という気持ちで臨みました。

――オーディションでの手応えはいかがでしたか?

飯田
 歌唱はずっと練習していたので、思いっきり歌えたのが印象に残っています。ただ、セリフでは監督から「そういう方向なんだ」と言われて、「どうしよう、監督の意図とはズレていたのかな」と不安でした。手応えとしては、帰り道マネージャーさんに聞いた話なのですが、ブースの中では「この子度胸あるね」と褒められていたみたいで、少し安心しました。ただセリフの件もあるし……と、手応えとしては成功と失敗が半々という感じでした。

――オーディションでは面談もあったとのことですが、印象に残っている質問などはありましたか?

飯田
 「仕事をするうえで、どれがいちばん大事ですか?」という質問です。“お金”、“仕事そのもの”、“人との関係性”という3択だったのですが、聞かれたときは「なんて答えるべきだろう」と、すごく焦りました。

――答えとしてはどんな感じだったのでしょう。

飯田
 「もちろん、お金は好きですよ!」という前置きをいれつつ、「でも、好きな仕事であるかどうかとか、関係性ももちろん大事ですし……でもやっぱりお金は大事だと思います!」という感じで答えました(笑)。

――お金が好きというのは、ことねのキャラクター性を意識されての回答だったのでしょうか。

飯田
 私も人間なので、お給料が入ったらめちゃめちゃうれしいですから(笑)。だからそれはちゃんと伝えなきゃなと。

――なるほど、真理ですね。ほかにオーディション中、覚えていることなどはありますか?

飯田
 オーディションのあとで聞いた話なのですが、参加者の中にことねちゃんっぽい恰好で受けに来ていた方がいたらしくて……。当日の私はまったくそんな服装ではなかったので、「もっと意識するべきだったのかな」とすごく不安になりました。

――そんな不安のなか、合格を知らされたときはいかがでしたか? 合格の発表は、ドッキリがあったと聞いていますが。

飯田
 ドッキリのためだとは思いますが、オーディションから発表までの期間がすごく空いていたので、正直「落ちたんだ……」と思って落ち込んでいました。そんな中で、つぎのオーディションがあることを急に知らされて、「3次審査まであるんだ!?」と驚きました。現場に着いたときに、小鹿なおさん(月村手毬役)と長月あおいさん(花海咲季役)の楽屋があったのですが、そのときはことねのほかの候補者だと思っていたので、勝手にライバル視しながら前を通った記憶があります(笑)。

――それは意識してしまいますよね。まさか別の役で呼ばれているなんて思いませんし。

飯田
 待機時間も、お弁当が喉を通らないぐらい緊張していました。メイクさんも居てくださって、その方からも「『アイマス』はオーディションでもメイクが入るんだよ」と言われて、『アイマス』の3次審査ともなるとそんなことがあるんだ!?」と、完全に信じてしまいました。

――会場に悪い大人しかいない(笑)。

飯田
 それで恐る恐るオーディションの部屋に入ったら、机の上にぽつんと『主人公思考』(元『アイマス』総合プロデューサー坂上陽三氏の著書)が置かれていて。見た瞬間に固まってしまいました。「これは、読めということなのかな……?」と、1ページ開いた瞬間にカメラを持ったスタッフさんが雪崩れ込んできて、「おめでとうございます!」と。

――どんな気分でしたか?

飯田
 放心状態でした(笑)。びっくりし過ぎてしまって、涙も出なかったです。メッセージを求められたのですが、「あ、ありがとうございます……」という感じで。その直後にはことねのデビュー曲である『世界一可愛い私』も聞かせていただきました。

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――情報量がとんでもないですね(笑)。曲を聞いたときの第一印象はいかがでしたか?
飯田
 イントロを聞いて、すぐ“HoneyWorks”さんが作った曲だと気付いて、すごくうれしかったです。学生のころにずっと聞いていたので、「“HoneyWorks”さんの曲を歌えるんだ!」と、ふたつの夢が同時にかなったような思いでした。そして、やっぱり私は、ことねちゃんのキャラクター性も曲も、すべてが大好きなんだと改めて実感しました。

――『学マス』はかなり準備期間が長かったと聞きますが、ことねを演じるうえで、第一印象から変わった部分などはありますか?

飯田
 プロフィールにも“猫被りで、素のときは口が汚い”と書いてあったので、もともと裏表がある子なのはわかっていましたが、いざ演じてみると、監督から「かわいすぎる。もっとひとりでいるときは汚くていい」と言われることがありました。なので、台本のセリフにはけっこうたくさん濁点がついています。

――ゲーム内でもけっこう声に濁音を感じることはありましたが、台本に書かれていたんですね。

飯田
 ことねは、意外と感情が素直に出る子なのかなと思います。実際、彼女はプロデューサーの前でも、うれしいと素で喜んだりしているんです。そのときは台本上でも濁点がたくさんついていたりしていました。そういった部分もあり、カッチリとしたキャラクターを作っているというよりは“ある程度、人によく見せたい”ぐらいで、思いのほか無邪気な子なのかなと思います。

――とくに好きなコミュなどはありますか?

飯田
 最初はお金のことばかり気にしている印象しかなかったのですが、だからこそ親愛度が上がっていったときのコミュが、“激エモ”なんです。プロデューサーに心を許して、全部を話そうとする感じがすごくいいんです。

 なかでもTrue Endは台本を読んでいて泣きそうになりました。「がんばったね……」という気持ちになってしまって。ふだんは感情を激しく出すことねが落ち着いて話すのがすごく印象的でした。

――確かにそれはエモそうですね。ことねのライバルとなるアイドル“十王星南”とのコミュで印象深いものなどはありますか?

飯田
 だいたい最後はことねが「ごめんなさ~い!」という感じで逃げるのですが、そのオチが大好きです。収録のときも、「ライオンに追いかけられている小さいネズミみたいな感じで」と監督から言われて、イメージがすぐに浮かびました(笑)。収録も掛け合い形式だったので、追いかけられているような雰囲気をつかみやすかったです。

――ゲームの収録で掛け合いは珍しいですね。

飯田
 そうなんです。でも、そのおかげで収録がすごくしやすかったです。手毬、咲季、ことねの3人はよくケンカをするのですが、そういうシーンはどうしてもひとりで収録すると熱量に差が出てしまうこともありますから。収録のときにも監督から「よくケンカできてたね~」と言ってもらえることがあったり、ケンカが終わった後、休憩中にみんなでパンをわけあったり(笑)。とてもありがたかったです。

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――楽曲の収録はどうでしたか?
飯田
 これまでにもキャラクターソングを収録することはあったのですが、あえて未完成の歌を収録するというのが初めての経験で、そこはいろいろと試行錯誤しました。ことねは、最初バイトのしすぎによる過労で体力が落ちていて、そのせいでパフォーマンスも下がっているという状態なんです。なので、いちばん下手な段階は思いっきり息切れしてみようと。あえて息を吐き切ったあとにサビを歌ったりしていました。

 そこから段々と体力がついて、余裕がでてきた2段階目は、自分をかわいく見せるような“アイドルとしてのことね”を表現できるように、“きゅるん”とした感じで。

――2段階目の時点でアイドルとしてのことねはかなり完成していたわけですね。となると3段階目はどのようなことを意識されていたのでしょうか?

飯田
 そこは監督とも相談して、「きっとプロデューサーが見たいのは全力でことねが歌っている姿。かわいこぶるんじゃなくて、全力で楽しんで、歌っていることねがかわいいんだよ」というお話をしていただきました。そこでイメージが沸いて、3段階目は、かわいく見せるというよりも、アリーナで汗をかきながら歌っているような、とにかく“全力で楽しむことね”を見せられるように、私自身も全力で歌いました。

――ちなみに完成した映像は見られましたか?

飯田
 見ました。収録してからかなり期間が空いたので、改めて最初の段階を見たときはビックリしました。「こんな下手なのを世に出していいの?」と(笑)。でも、順番に見ていくと、「プロデューサーに褒められて自信が付いたんだな」というようなことを感じられて、すごくよかったです。きっとプロデューサーさんたちも、いろいろなコミュを通じて成長したことねを見て、改めて最後の段階を聞いたときにはウルッとくるんじゃないかなと思います。

――それは見るのが楽しみです。

飯田
 あと、じつは、『世界一可愛い私』はコミュの収録前に録ったんです。オーディションが終わってすぐで、台本はいただいているけど、まだセリフの収録は一度もしていないという状況だったので、この楽曲を通じて、スタッフの方々とことねを作り上げていったようなイメージなんです。「ことねだったらどう歌うと思う?」のような。そのおかげで、コミュを収録するときにもプロデューサーに対してかわいく、あざとく振る舞う“ことねが持つかわいさ”のイメージはみやすかったです。

――楽曲の中でとくにお気に入りのフレーズなどがあれば教えてください。

飯田
 もちろん全部好きではありますが……たとえば「好きになっちゃえ!」というようカギカッコのついたフレーズがいくつかあるんです。その部分は、ディレクションでも「音程を無視して聞いているプロデューサーさんに声をかけるように歌っていいよ」と言われることがあって。最初はどうしても音程を意識して歌ってしまいましたが、何度かやるうちに音程がうまく外れて、セリフっぽく歌うとすごくいい感じに聞こえるのがとても好きです。

――サビはまさにそんな感じですよね。

飯田
 「世界一? 可愛い」の部分は、コールも自分で収録しました。「観客になりきってください」と言われて。なので、私はみんなに声をかけることねの気持ちも、それに返答する皆さんの気持ちも、どっちも知ることができました(笑)。

――貴重な経験ですね(笑)。

飯田
 それと、2番の始まりにある“歌ってくれてサンキュー 笑顔をくれてサンキュー”のところは毎回泣きそうになります。ことねも「かわいいって言われたい!」というだけではなく、しっかりと相手への感謝の気持ちや、本当にうれしいと思っているんだなと感じられて、すごく好きな歌詞です。



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――『学マス』はすでにライブの開催も決定しています。意気込みなどを聞かせてください。
飯田
 いままでずっと見ている側だったので、自分が大きなステージで歌う姿は想像できていないのですが、歌って踊ること自体は前からとても好きなんです。なので、私もゲーム内のことねちゃんみたいに全力でコールしてもらえるよう、全力で歌いたいと思います!

――ありがとうございます。『アイマス』シリーズでは、ライブやイベントはもちろん、生放送やBlu-rayの特典などで、さまざまなことに挑戦していますが、何かやってみたいことはありますか?

飯田
『アイマス』シリーズの楽曲をカバーしてみたいです。パソコンでローマ字が打てないようなころからずっと好きだった『GO MY WAY!!』など、昔から聞いていた曲をいつか歌いたくて。じつは、ことね役に決まった日も『GO MY WAY!!』を聞いて泣いていたほど大好きな曲です。あと、バラエティ企画もNGなしでがんばっていきたいと思います(笑)。

――楽しみにしています。最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

飯田
 ことねを見たら全力で「かわいい」と褒めてあげてください。よろしくお願いします!

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