県立大が植物標本1万点廃棄 寄贈した団体が説明求め要望書

県内の植物研究団体が県に寄贈した1万点に上る植物の標本が廃棄されていたことがわかり、団体は、山下知事に対して廃棄の経緯について、説明を求める要望書を提出しました。

要望書を提出したのは、県内の野生植物を研究している奈良市の「奈良植物研究会」です。
研究会によりますと、研究会は県内外で採集された植物の標本およそ1万点を、2001年に別の団体を通して県に寄贈したということです。
しかし、メンバーがことし3月、標本が保管されている奈良県立大学を訪れたところ、すべて廃棄されていたことがわかったということです。
これを受けて研究会は22日、県庁を訪れ、山下知事宛てに廃棄の経緯や今後の対応について、説明を求める要望書を提出しました。
要望書では「寄贈の際に県と交わした覚書では、現状のまま保管・管理することになっていた。廃棄は許されない行為で、これまで積み上げてきた植物標本の収集や管理に対する努力を無にする暴挙だ」などと指摘しています。
一方、県は標本の廃棄を認めたうえで「誤って廃棄してしまった。大変申し訳なく思っている。要望書の内容を精査して今後の対応を考えたい」と話しています。

【県立大“深くおわび”】
寄贈された植物標本を保管していた奈良県立大学は会見を開き、尾久土正己 学長が「謝って廃棄してしまい誠に申し訳ない。心を痛めている関係者に深くおわびします」と謝罪しました。
大学によりますと、去年5月以降、標本を保管していた建物の取り壊しに伴い、職員が建物内を整理していたところ、ロッカーの中から新聞紙にくるまれた植物標本が見つかったということですが、所有者が不明だったため産業廃棄物として廃棄したということです。
大学の調査に対し、廃棄した職員は「変色した新聞紙の間に 変色した植物が入っていたが、学術的に価値のある標本だとわからなかった」と話しているということです。
大学は「担当者の間でうまく引き継ぎができていなかった」としたうえで、今後、重要な資料については目視で確認しながら、担当者どうしで引き継ぎを徹底するとしています。

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