円の面積が「半径 × 半径 × 円周率」で求められる理由を論理的に説明できますか?
食塩水の濃度や往復の平均速度など、仕事などでちょっとした算数の知識が問われる場面に出くわして、ドキッとしたことはないだろうか。「昔は解けたのに……」、そう思うのに解けない。そんな大人たちは本連載で今一度、算数を基礎から学び直してみてはどうだろう。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性 長年、算数・数学教育に携わってきた桜美林大学名誉教授・芳沢光雄氏の新刊『大人のための算数力講義』(講談社+新書)より抜粋して、「算数の重要な考え方」をお届けする。 『大人のための算数力講義』連載第28回 『比の問題です。「△ : 8 = 15 :40 」、△はいくつ?』より続く
円周率の「定義」は?
円周率は、 円周率=円周÷直径 と定め、で表す。そしては、 =3.141592…… となる無理数(有理数でない無限小数)であることが知られている。 算数や応用の計算では、の代わりに近似値の3.14を用いることが普通である。 「円周率の定義を述べてください」と質問すると、よく「3.14です」と誤った答えを述べる人がいるので、注意していただきたい。
円の面積公式はどうしてあの形なのか
これから、厳密性には欠けるものの、円の面積公式を直観的に説明しよう。 円の面積公式 円の面積=半径×半径×円周率 図は、円を中心角が30°の扇形12個に分け、それらを交互に上下を逆にして並べたものである。それを中心角が15°の扇形24個、中心角が7.5°の扇形48個……、と同じように中心角を小さくしていくと、右側の図形はたてが半径、横が 円周の半分=直径×円周率÷2=半径×円周率 の長方形に近づくことが分かる。 円の面積=半径×半径×円周率 の成立が理解できる。 また扇形の面積は、円の面積公式よりただちに導かれる。 中心角が△°の扇形の面積は、円を360個に等分したうちの△個分に相当するので、 扇形の面積=半径×半径×円周率÷360×△ =半径×半径×円周率×△/360 となる。