認知症の行方不明者、23年に1万9000人 11年連続増加
認知症やその疑いがあり、2023年に全国の警察に届け出があった行方不明者が延べ1万9039人に上ったことが4日、警察庁のまとめで分かった。前年から330人増え、12年の統計開始以来、11年連続での最多更新となった。80歳以上が1万1224人、70代が6838人だったのに対し、60代以下は977人。70代から危険性が高まる傾向がうかがえる。
行方不明者全体の人数は延べ9万144人。新型コロナウイルス禍の20年は過去最少の7万7022人だったが、3年連続の増加となった。
認知症の行方不明者数は12年の9607人から増え続け、近年は2倍に迫る状況で推移。高齢化の進行を背景に今後も増えるとみられる。一部自治体が高齢者に配布している全地球測位システム(GPS)機器や、ドローンによる捜索が早期発見につながったケースがあり、警察庁は関係機関と連携し、取り組みを推進するとしている。
都道府県別では、兵庫県が2094人と最多で、大阪府が2016人、埼玉県が1912人と続いた。男女比は、男性が55.7%、女性は44.3%。23年以前に届け出られた人も含めると、1万8221人が生存した状態で見つかり、うち1万7988人は届け出から3日以内だった。553人は死亡していた。
不明者全体の年齢層別は、10代が1万7732人、20代が1万7600人、80歳以上が1万4640人の順だった。動機別では、認知症を含む「疾病関係」が27.8%、「家庭関係」15.2%、「事業・職業関係」が10.7%と目立った。
松村祥史国家公安委員長は4日の定例記者会見で「保護が迅速かつ適切に行われるよう警察を指導したい」と述べた。〔共同〕
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(更新)- 石塚由紀夫日本経済新聞社 編集委員貴重な体験談
10年ほど前のこと。東京都内の駅前で高齢女性に「横浜駅はどこですか?」と尋ねられました。横浜駅への行き方を知りたいのだと思い、目の前の駅からの経路を説明したものの、何度説明しても腑に落ちない様子。それでも最後には「あぁ、そうでしたね。ありがとうございました」と頭を下げて、街中に消えていきました。 そのときは「おかしな人だな」と思ったものの、その後認知症の特徴を学ぶ機会があり、そのときの女性の反応がまさに合致すると気付きました。彼女は無事家に帰れたのだろうか。事前に学んでいたら、対応も違っていたと反省しました。認知症を患う方が増えていくなか、多くの方に認知症を学ぶ機会も提供することも大切です。
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