北米

2024.07.20 17:00

1.5億年前のステゴサウルス化石「エイペックス」、史上最高額70億円で落札

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米紙ニューヨーク・タイムズによると1997年のスーの競売では、ファストフード大手のマクドナルドやウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートなどがフィールド博物館に資金援助を行い、謝礼として化石の等身大レプリカを制作・展示する許可を得た。ディズニーのレプリカは現在もフロリダのディズニー・ワールド内のテーマパーク「アニマルキングダム」に展示されている。マクドナルドは「A T. rex Named Sue(スーという名のT.レックス)」と題した巡回展に2体のレプリカを貸し出した。

恐竜化石を個人が商品として売買することについては、約30年前のスーの競売以来、批判の声が上がっている。これまで高額で売却された化石はすべて米国内で発見されたものだ。米国では、公有地で発見された化石は政府に帰属するが、私有地で発見された化石なら合法的に売買できる。こうした民間取引が増えれば、一般の人々が発掘された化石を目にする機会が制限されるのは必定で、ここ数年の競売によって科学の進歩が妨げられているとの指摘もある

一方、スミソニアン博物館によれば、競売で恐竜化石に高値が付くことで、所有地での発掘調査を許可する地主が増加し、ひいては古生物学の分野を進路に選ぶ人が増えるかもしれないとの見方もある。

2021年にビッグ・ジョンが匿名の収集家に売却された際は批判を浴びたが、商業古生物学者のウォルター・スタインはNBCに対し、それまで何年も米国内の博物館に買い取りを打診したが不首尾に終わったこと、競売で化石を落札した現在の所有者は、研究に利用できるようにすると約束したことを明かした。一部の古生物学者は、競売の成功によって「米西部の恐竜化石を商業的に活用しようという機運」が生まれるだろうと語っている
米ニューヨークのサザビーズで2024年7月10日、競売に先立ち公開された1億5000万年前のステゴサウルス「Apex(エイペックス)」の化石(Alexi Rosenfeld/Getty Images)

米ニューヨークのサザビーズで2024年7月10日、競売に先立ち公開された1億5000万年前のステゴサウルス「Apex(エイペックス)」の化石(Alexi Rosenfeld/Getty Images)

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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2024.06.25 16:00

提案から半年で合弁会社を設立。SMBCグループとアトラエが生んだ「SMBC Wevox」

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2023年10月、合弁会社SMBC Wevoxが設立。アトラエが開発する組織力向上プラットフォーム「Wevox」を、SMBCグループでの活用や顧客への展開につなげる計画だ。SMBCグループCDIO磯和啓雄とアトラエCEO 新居佳英が、SMBC Wevoxの現状と目指す未来について語り合った。

──まずはアトラエさまの事業概要について紹介いただけますか。

新居佳英(写真右。以下、新居):テクノロジーを通して、人の可能性を拡げ、生きがいや働きがいのある社会を創造することをミッションに事業を展開しています。具体的には、働きたい人と採用したい企業のマッチングプラットフォームの「Green」、従業員のエンゲージメントを測り、組織力を高めるサポートをするツール「Wevox」の2本を柱にしています。

──2023年10月に、SMBCグループとアトラエで合弁会社SMBC Wevoxを設立しました。半年を過ぎて、どのように評価されますか。

磯和啓雄(写真左。以下、磯和):創業5カ月目で単月黒字を達成しており、出だしは順調ですね。ここからはSMBCグループでも銀行員たちが取引先などに直接サービスを提供するフェーズに入るため、「さぁ売るぞ!」と気合が入ったところです。国内外含め、行内での注目が高まっています。

新居:黒字化できてひとまず安心していました。ここからはサービスを提供するにも、工夫が必要になってくるタイミング。想定通りに進んでいますが、SMBCさんのリソースを最大効率で活用できる仕組みをつくっていきたいですね。
アトラエ 新居佳英

アトラエ 新居佳英

──そもそも、どのような経緯で合弁会社を立ち上げたのでしょうか。

新居:私たちからすると、SMBCさんと組めるなんて「まさか」と思っていました。弊社出身で現在はSMBC Wevoxの副社長を務める川本周が話をもってきたのですが、「そんな簡単にいかないだろう」と(笑)。

磯和:23年1月に、別会社へ出向していた弊社の杉本秀和から突然連絡が入りました。そこで「今は働きがいが重要である」と猛烈なプレゼンテーションを受けまして。新事業のプレゼンとその審査を行う「CDIOミーティング」というものを定例で行っているのですが、新年度が始まった同時期に、SMBC Wevoxのベースとなる提案を受け、そこから半年で杉本を社長にした合弁会社を創業しています。

──提案から合弁会社の設立までたった半年とは、ものすごいスピード感ですね。

新居:19年から主要メンバー同士の交流があったので、急に始まった話ではないのですが、本当に驚くようなスピードで進んでいきました。SMBCさんには20年に、ユーザーとしてWevoxを使ってもらっていたので、サービスへの理解度が高かった点も功を奏したのかもしれません。

メガバンクのイメージを良い意味で覆すビジネススピードで、この人たちとなら一緒に事業を進められると思いました。

目先の売り上げより世界をどう変えるか
“ロマン”が事業を輝かせる

磯和:スタートアップと組むのは、今回が初めてではないですからね。弁護士ドットコムさんとご一緒したクラウドサインのときもそうですが、銀行員が使って便利と感じたものは、外部に売り出すときにも熱意と迫力をもっておすすめできるんです。

SMBCグループは東名阪100以上の営業所を通じて、全国5万社にアプローチができるのが特長でして、SMBC Wevoxもその販路を使えばすぐ売れると思って、事業化を即決しました。

──あらためて「SMBC Wevox」のサービス内容を教えてください。

新居:サービス名の由来は、私たちを意味する「we」とラテン語で声という意味の「vox」を合わせた造語です。働く人たちの声を可視化し、課題の解決に導く組織力向上プラットフォームです。

現在、企業が抱える課題のひとつに「従業員の熱量をどう高めるか」があると考えています。ワークエンゲージメントを高めるためにも、「働きがい」がある企業を増やしたい、そんな思いから立ち上げました。すでに3,000社以上に導入いただいています。

大切にしたのは、このサービスが社会にとって必要だとどこまで信じられるかです。社会にとって必要なサービスであれば、売り上げは後からついてきます。このサービスでどのように世界を良くできるか、ロマンを重視しました。

磯和:やはり社会的価値の創造が重要ですよね。今は社会のニーズが短い期間で大きく変わります。常に社会が求めているものは何か、足りないものはないかを考えることが必要でしょう。銀行にとってのライバルは銀行だけでなく、他業種にも広がっており、言うならば異種格闘技戦の最中です。社会的価値を創造できなければ淘汰されてしまうという危機感をもって、我々も日々考えているんです。
磯和啓雄

三井住友フィナンシャルグループ 磯和啓雄

「誇り」と「失敗の許容」
新事業成功のための秘訣

──どんな企業にもスタートアップマインドが必要な時代と言えそうですね。新たな事業を生み出し、走り続けるためには何が必要でしょうか。おふたりが考えるポイントはありますか。

新居:大切な人に誇れる組織、事業かどうかでしょうか。目先の売り上げを上げる誘惑はたくさんあるのですが、ブレそうになっても、この目線に立ち返ればブレずに済みます。企業にとって柱となるのは、「より良い世の中をつくること」ですからね。

磯和:失敗を許容してチャレンジできる環境を整えることです。先の読めない時代だから誰も答えをもっていないし、絶対に成功する方法なんてありません。失敗することも本当に多いです。例えば、銀行の場合、融資業務で1%の間違いが出てしまうとおおごとです。しかし、ビジネスは100回チャレンジして1回の失敗もしてはいけないとなると、何もうまくいきません。すべての業務をひとくくりにして手堅く進めるのではなく、守るべき部分と思い切って攻める部分を区別することが大切ですね。

──これからの展望をお聞かせください。

新居:私たちは、働きがいを高めることができれば、生産性を向上できると考えています。従業員の働きがいを高め、高パフォーマンスを発揮させる糸口として「SMBC Wevox」を使ってもらえるように広めていくのが目標です。日本全体の働きがいと生産性を高めることができれば、日本の働き方が世界に誇れる、注目されるものになる瞬間も来るのではないでしょうか。そうすれば今度は、世界中が働きがいを感じる社会が創造できるかもしれない。その一翼を担えることができたら、最高だと思います。

磯和:世界のトップになれるような日本のスタートアップをつくる。そのために全方位的なスタートアップ支援が欠かせません。「SMBC Wevox」はまさにこれから。一緒に事業を進めてくれるメンバーも大募集しています。成長の痛みを感じながら、次のステップをどう超えていくかの段階にきているので、ここから本当に面白くなります。銀行の強みを生かして、サービスを通じ、社会をより良くする。「SMBC Wevox」にぜひ期待してください。


三井住友フィナンシャルグループ
https://www.smfg.co.jp/


いそわ・あきお◎1990年に入行後、法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ。その後、トランザクション・ビジネス本部長として法人決済の商品・営業企画を指揮。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進をけん引。

あらい・よしひで◎上智大学理工学部卒業後、インテリジェンスに入社。当時150人程度で未公開ベンチャー企業であった同社にて、人材紹介事業部の立ち上げから、関連会社の代表取締役を経験。2003年10月にアトラエを設立し代表取締役に就任。

Promoted by 三井住友フィナンシャルグループ│text by Chikako Tsuruta│photographs by Yutaro Yamaguchi│edited by Daisuke Sugiyama(Note, Ltd.)

サイエンス

2024.05.04 18:00

インドの謎化石、ティラノサウルスよりでかい新種の巨大ヘビと判明

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Shutterstock.com

インドで見つかった化石が、文字どおり怪物のような巨大なヘビの新種だったことがわかった。ヘビが苦手な方にとっては今すぐ車の中にでも逃げ込みたくなるような話かもしれない。

4月に学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表された研究によると、およそ4700万年前に生息していたこのヘビは体長が推定11〜15メートルもあった。大型肉食恐竜のティラノサウルス・レックスを上回る長さということになる。ジャンボ機の中で毒ヘビの大群が暴れまわる『スネーク・フライト』というパニック映画があるが、大昔にはジャンボ機の5分の1ほどの長さのヘビがうねうねと這いずり回っていたということだ。

このヘビは、すでに絶滅したマッツォイア(madtsoiidae)科という陸生ヘビの系統に属する。マッツォイア科のヘビは、現在の南米、アフリカ、オーストラリア、南欧、インドにまたがる広い地域に生息していた。およそ1億年存続し、平均気温が28度前後だった地質年代に繁栄したとされる。

新たに確認された新種は、これまでに知られているマッツォイア科のヘビのなかで最大であるばかりか、これまでに生息したあらゆるヘビのなかでも最大級だった。

研究成果を論文にまとめたインド工科大学ルールキー校のデバジット・ダッタ博士研究員とスニル・バジパイ教授は、このヘビの学名を、ヒンドゥー教のシヴァ神の首に巻き付いている神話上のヘビの王と発見国のインドにちなんで「ヴァースキ・インディクス(Vasuki Indicus)」と名づけた。

化石は以前にインド西部グジャラート州の炭鉱で見つかっていた。ダッタとバジパイは椎骨(ついこつ)27点を含む脊柱(せきちゅう)の一部から、これが新種のヘビのものだと特定した。大半の椎骨は保存状態が良く、太古に地を這っていたときと同じ位置にあるものも数点あったという。

各椎骨は長さ約3.8〜6.3センチ、幅約6.2〜11センチと異様に大きく、大きな円筒形の体をしていたことを示唆する。脊柱は完全に成長した爬虫(はちゅう)類のものと推定され、椎骨はもともとは少なくとも800個はあったと考えられるという。
次ページ > 待ち伏せし、獲物を締め上げて仕留めていたと推測される

翻訳・編集=江戸伸禎

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