円の面積が「半径 × 半径 × 円周率π」で求められる理由を論理的に説明できますか?

「積分で証明できる」に隠された罠

ところで、円の面積公式の厳密な証明について、よく「高校数学で習う積分を使うと証明できる」と言う人がいる。

しかし、その説明方法には大きな欠陥が潜んでいる。この説明では、三角関数の微分積分の出発点にある極限に関する公式を用いている。

ところが、この式の証明では扇形の面積公式、すなわち円の面積公式を用いている。それゆえ、円の面積公式から円の面積公式を導く“循環論法”に陥っているので、重大な欠陥論法である。

そこで必要となるのが、循環論法に陥ることなく円の面積公式を厳密に求める証明である。

それに関しては、極限に関する厳密な説明から始めて、紀元前のアルキメデスの「取りつくし法」を紹介する形で、循環論法に陥らない円の面積公式の証明を、拙著『新体系・大学数学入門の教科書(上)』(講談社ブルーバックス)にきちんと述べた。

空間図形を含めて円に関連するものの面積や体積を求める様々な公式は、どれも「円の面積公式」を土台としているだけに、その厳密な証明を上記拙著にトピックスとして入れた次第である。

『難しい知識は不要…小学生でも解けるこの図形問題、あなたは解くことができますか?』へ続く