女性トイレ守るデモに抗議する人たち その矛先は…「産経新聞がいるぞ」

女性トイレなどの利用は生来の女性に限るべきだと訴える女性有志の集会。周囲には抗議する人々も現れた=21日午前、東京都新宿区(奥原慎平撮影)
女性トイレなどの利用は生来の女性に限るべきだと訴える女性有志の集会。周囲には抗議する人々も現れた=21日午前、東京都新宿区(奥原慎平撮影)

女性トイレなど「女性専用スペース」の利用は生物学的な女性に限るべきだと訴える女性有志が21日、東京・新宿でデモ活動を行った。その際、デモに抗議する男性が取材中の記者に対し、「産経新聞の記者がいるぞ」などと声を張り上げ、攻撃的な口調で迫ってくる場面があった。無事に取材活動を終えることはできたが、抗議する側の高圧的な態度に対し、後味の悪さが残った。

デモは、約20人の女性がSNS(交流サイト)で連絡を取り合って計画したもの。トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)の人格は尊重した上で、女性専用スペースの利用などは生来の女性に限定すべきという考えを啓発する目的だった。ほとんどの人がデモ活動の初心者だという。

一方、デモに抗議した人たちはデモ開始前から集合場所に集まっていた。

デモが始まると、か細い声で女性の権利保護を訴える参加者に対し、抗議者側は慣れた様子で、先回りしたり、信号で足止めされても走って追いかけたりして、「なにをいっているか、分かりませーん」などと声を張り上げた。

こうした光景に通行人の多くが戸惑いの表情を浮かべる中、抗議者の1人は記者にも矛先を向けてきた。

「WHO ARE YOU?」

先ほどまで日本語で叫んでいた男性が突然、記者に英語で迫った。この直前、記者は抗議者側も含めたデモの様子をスマートフォンで撮影しており、そこに自身も映ったと懸念したようだ。

思わず社名を名乗ると、男性は「ここに産経新聞の記者がいるぞ。産経新聞の記者、こいつだ」と大声で叫ぶと、「お前は誰だ、名前を言え」と詰め寄ってきた。これに対し、記者は「社会人として丁寧な言葉を使ってほしい」と伝えた。

集団で取り囲まれたり、糾弾されたりする事態も想定したが、幸いなことに周囲は反応しなかった。男性も先に進んでいったが、記者の方を振り返って、中指を立てて、こうまくしたてた。

「好きなだけ(自身を)撮りなさい。俺が日本語をしゃべられないとでも思ったんだ。バカじゃねえの」

別の抗議者もデモの参加者に対し、「どうしようもない人生だな」などと罵倒していた。

記者に中指を立てた男性も、興奮していたがゆえの対応かもしれないが、女性のデモ活動に対する抗議者側の言葉遣いや振る舞い、初対面の記者への態度について強い違和感を覚えた。(奥原慎平)

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