「掛け算や割り算で0が含まれていると、必ず答えが0になる」と考えていませんか。
これは実は正しくありません。
今回は「0を含んだ割り算」に挑戦してみましょう。
問題
次の計算をしなさい。
0÷6÷2
これはどのように計算するのか、覚えているでしょうか。
解説
今回の問題の答えは「0」です。
「0を割る計算(0÷□)」は、答えは「0」になります。
0÷◻︎=0
したがって、前から順に計算すると
0÷6=0
0÷2=0
となり、答えは「0」です。
「やっぱり0を含んだ割り算は、必ず0じゃないか」と思わなかったでしょうか。これは正しくありません。
今回の問題では、「0“を”割る計算(0÷□)」でしたが、「0“で”割る計算(□÷0)」は、答えは「0」にはなりません。
「0“で”割る計算」は、そもそも定義がされていないのです。
答えをあえて書くと、「答えなし」や「計算できない」ということになります。
□÷0 →計算できない
式は似ていますが、まったく意味の違う計算です。
これらを混同してしまうことが多いので、注意しましょう。
「0で割る計算」ができない理由
なぜ「0で割る計算」ができないのかを考えてみましょう。
まず、通常の割り算から考えます。
例えば、12÷3という割り算ですが、答えは「4」ですね。
この割り算をするために、九九を考えたのではないでしょうか。
「3の段の九九で答えが12になるもの」、つまり「3×□=12」の□に当てはまる数が、12÷3の答えということになります。
この考え方で、「0で割る計算」をやってみます。例えば「3÷0」を考えてみましょう。
「0×□=3」に当てはまる□を探さなければいけません。
このような数は存在しないですね。□にどんな数を入れても、式が成り立たないからです。
つまり3÷0というのは、答えが存在しないのです。
数学ではこのような答えが存在しない計算を「不能」といいます。
まとめ
「0を割る計算(0÷□)」と「0で割る計算(□÷0)」。
これらは似ていますが、まったく別の考え方をしなければいけません。
「0を含んだ計算」は簡単だと思われるかもしれませんが、勘違いしてしまうことが多い問題の一つです。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
0の計算にもう一問挑戦!