佐賀地裁で19日に行われた住民訴訟の法廷では、住民側に加わる難聴の女性がスマートフォンアプリ「UDトーク」の使用を事前申請し、裁判所が認めた。話し言葉が瞬時にスマホの画面上に文字化され、女性は意見陳述や審理の経過をリアルタイムで理解できた。

 女性は「さがUDトークサークル」代表の古賀道子さん(74)。人工内耳を装用し、読唇と合わせて近い距離で会話をするものの、広い会場やマイクを通した声は聞き取りにくいという。

 訴訟の第1回口頭弁論に合わせてアプリの使用を裁判所に申し入れ、記録を消すことを条件に認められた。「ものすごく助かった」と古賀さん。聴覚障害者のコミュニケーションを支援するサークル活動をしていて、「難聴を抱える人は、聞こえないことで閉じこもりがちになってしまう。『UDトーク』を通じた社会参加が広がっていけば」と話した。(中島幸毅)