川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

「幸せ」と書いたから幸せになるのではない。

2024年07月20日 | 法律・海外法務
ある家庭連合信者元二世が、「家族でディズニーランド行けなかった」ことなどを理由に、親がした献金返せ!とかアタシに1000万円よこせ!と息巻いていらっしゃる。

そんな他責する方は幸せになれないだろうなと思うし、その方が今実際にやっていることも、どう考えても「幸せ」な人がとる手段ではない。

でもその方は「アタシは幸せです!」っておっしゃっている。

人が幸せかどうかなんて、そんな主観なんて、紙一枚の陳述書ではわからない。法廷で反対尋問をしてようやく、それでもかろじてなんとなく、わかる程度。

これって、「コミュニケーションラグ」の話。

「アタシのことを愛しているの?」って訊かれて、すぐ「ふざけるな、わかりきったことを聞くな」とキレる人(A)と、3秒の沈黙(ラグ)後に「はい、愛しています」と言う人(B)。

BよりAのほうが100倍、愛している。

でもそんなのは、紙に書かれた陳述書からは読み取れない。

だから、幸せであるとか、篤い信仰を持っていた、とかの主観的なことは、陳述書一枚では何もわからない。どうとでも書けるから。

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家庭連合の解散命令請求で、文科省が200を超える「被害者」の陳述書を提出した。

そこでは「カルトなので解散して」とか「地獄に落ちると脅された」的な悪口雑言が書き並べられている。

しかし。

その「真実性」は、ほんとうは、法廷で反対尋問を経ないとわからない。

「幸せです」って書けば幸せなのか。「騙された」って書けば騙されたのか。

んなわけない。ってのは法曹なら特に分かっているはずだ。

だから、200近くの陳述書の信用性・真実性は、ほんとうは、全部反対尋問(一人当たり最低3時間は必要)をしないと分からない。

単純計算で、200人×3=600時間、、、

「非訟事件」という特殊な手続(公開法廷ではない)で、600時間の尋問を経るとは到底思えない。

1日6時間の尋問をしたら、100回の期日が必要、、、 

100回の期日、、、毎週一つ尋問するとしたら、最低でも2年半はかかる…(夏季休廷期間とか、双方弁護士の予定とか考えると、毎週1回の尋問をすることはできない)

反対尋問を経ないとすると、裁判官は、書かれたものから、「被害者」が言う「被害」が本当にあったのかどうかを判断せざるを得ない。

ほんとうは、200人の陳述書作成者を、一人ずつ、尋問しなきゃいけないのに。陳述書作成者一人につき一つの裁判が必要になるくらいのエネルギーが必要なのに。

かように、今話題になっている(なっていないか)家庭連合の解散命令請求は、「しっかり判断する」ためには、これから2年半の尋問を経て、一審判決がその後ですから、今から3年後になるはず。

ま、原告文科省は特に早く終わらせたいらしいから、そこまで丁寧な審理を経ないことになりそうですが、、

でもこれって実は大問題。

「ある宗教法人を解散させるべきか否か」の判断を、慎重に審理しない? パパッと焦って結論を下す?

それってまさに人権侵害だし、オウム真理教解散命令事件で最高裁がいみじくも判示した「信者の人権を考えた上での慎重な審理」に反することになる。

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法人設立から60年を経過し、刑事事件が一つもない、家庭連合。

169の裁判を霊感弁連から起こされたけど、組織の不法行為(709条責任)が認定されたのはわずか2件のみ。20年前とか30年前とか。

家庭連合が霊感弁連に対して167勝2敗。

200超の陳述書を出しているけど、それだって、どこまで本当か、眉唾(私はほとんど嘘だと思っています。私は幸せです!って言い張る憐れな方を見ると、さらにそう思わせられる)。

ってことを考えると、とてもとても、「著しく公共の福祉に反することが明らか」とは言えないと思う。

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原告文科省は、200の陳述書を集めて、「こんなに集めた! 頑張った! 解散だ!」って思っているかもしれない。

でもそうだとしたら、それは「官僚的」で現実を踏まえていない。

200の陳述書それぞれの信用性は、1つの陳述書につき1つの通常裁判を経るくらいの、エネルギーが必要。

そんな「200個の通常訴訟」をするくらいのエネルギーをかけないと、家庭連合を解散させるべきかどうかが判断できない。

この時点で、すでに、「著しく公共の福祉に反することが明らか」とは言えない、ってことなんですね。

こういうことも、私がここで筆を進めて始めて言語化できたんですが、世間及び裁判所にも分かっていただきたいものである。


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