世界的システム障害、ソフト更新が原因 欠航など多分野で影響甚大
[19日 ロイター] - ソフトウェアの更新をきっかけに世界的なシステム障害が19日発生し、交通網の混乱、テレビ放映の停止のほか、金融機関や医療サービスなど多くの分野で業務に支障がでた。 問題は特定され各サービスは徐々に復旧に向かっている。 問題となったのは世界的サイバーセキュリティ企業クラウドストライクのセキュリティーソフトで、マイクロソフト(MS)のウィンドウズでの更新で不具合が生じた。 クラウドストライクのジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)は、ウィンドウズ向けのコンテンツ更新プログラムで欠陥が見つかったとし、修正プログラムを展開していることを明らかにした。その上で「セキュリティーの問題やサイバー攻撃ではない」と述べた。 マイクロソフトも問題は修復されたとしている。 アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空など米大手航空会社は19日未明、通信障害で出発できない状態となった。ユナイテッド航空は声明で、「サードパーティーのソフトウェア障害により、ユナイテッドを含め世界中のコンピューターシステムに影響が出ている。システム復旧待ちで全機を地上待機とし、離陸便は目的地に向かって運航している」と明らかにした。 これに先立ち、一部の格安航空会社はマイクロソフトのクラウドサービス障害を受けて運航ができない状態となっていた。MSはこの障害は解消したとしていたが、その後クラウド部門がウィンドウズOSシステムなどでの問題発生を確認した。 オーストラリアでは、メディアや銀行、通信会社で障害が発生した。 障害の影響は運輸業界が大きく、東京、アムステルダム、ベルリン、スペインなどの空港でシステム障害により欠航や遅延が発生、予約システムなどにも影響がでた。 英国では医院の予約システムがオフラインになった。主要ニュース局のスカイニュースは一時放映できなくなった。 オーストラリア、インド、ドイツ、南アフリカなどでは銀行や金融機関が顧客サービスを中断。LSEGグループではデータ・ニュース・プラットフォームWorkspaceに障害がでた。 専門家によると、今回の障害は過去最大規模の可能性がある。 豪州最大級のサイバーセキュリティ・サービス会社スティックマンサイバーののアジャイ・ウニCEOは、「ITセキュリティーツールはデータ漏洩という最悪の事態が発生しても企業が業務を継続できるように設計されている」とし、世界的な障害の根本原因となったことは最悪の事態だと述べた。