アサクリを全く知らない人間から見た今回の問題について
ネットで話題になっているアサシンクリードシャドウズの問題について、流石に言いたい欲求が溜まってきたので、ここらでしっかりと発散させておきたいと思い筆を執りました。
今回は、アサシンクリードシリーズを全く知らない自分から見た本問題の発生した流れを追いかける、というものになります。そのため個々の事象について細かく取り上げるつもりはありません。これは情報を取りまとめるのが面倒くさいからです。
分かりやすく言えばどういう流れでアサクリシャドウズが炎上していったか、をまとめたものと思っていただければ幸いです。
1.発端
そもそも自分がこの問題を認識した時点では火種レベルですらありませんでした。
アサクリシャドウズの主人公が弥助であることに対する問題点を解説したツイートがきっかけです。
この時点における論点は以下にまとめられます。
・アサクリシリーズは基本的に現地人かつ各人物の主人公を採用していた
→アサクリシャドウズにおける弥助は現地人(日本人ではなく)実在していた人物である
→アサクリシリーズでは山内鷹というキャラが存在しており、そちらの方が主人公に相応しい
というものであり、読めば分かりますが、作品の内容についての不満であることが分かります。
この段階では、アサクリシャドウズの評判は下がったとしてもUbisoftはさほど評価が下がらないレベルではないかと思います。
2.違和感の拡大
次の認識は、プレイムービーが公開された辺りです。
桜が咲いてるのに田植えをしていて今年は豊作だなとか喋ってる、みたいな問題です。
日本において桜が咲くのは3~4月で、田植えは5~6月で稲の収穫は9月~10月で季節感がばらばらであり、その描写の不正確さについての批判でした。この時点でも自分の認識ではさほど大きな問題になっておらず、コアなファンが指摘している、というレベルでした。
細かな描写については他にもいっぱい指摘がありましたが、面倒臭いので割愛します。
3.問題の爆発
今回の問題が大きくなった原因、きっかけともいえる出来事が実在するデザインの盗用問題です。
関ケ原鉄砲隊の旗印を無断盗用した、とする問題ですね。れっきとした著作権法違反なので、違法行為ということもあり、この辺りからUbisoftのスタッフの過去の発言を掘り起こされていました。
特に問題視されていたのは、日本人主人公では感情移入ができない、史実に忠実なストーリーを制作した、空白の歴史を埋めた、本作で日本の歴史を学んでほしい、などの日本人蔑視とも取られる表現、誤った歴史認識を生みかねないことです。
もちろん、上述した通り、不正確な日本描写とスタッフの発言との乖離についての批判もありました。ここら辺から行き過ぎたポリコレについての批判もありました。海外のコンサルタント会社である、スィートベイビーとの関係性が示唆されており、昨今の風潮もあいまってどんどん過熱していった印象です。
4.文化盗用について
と、ここまではあくまでコンプライアンスレベルでの話で済んでおり(?)諸々の盗用がどんどん明らかになっていましたが、まだ十分対応可能な範囲内でした。
主人公の問題は表現の自由の範疇に留まっていますし、作品描写(過去の発言から整合性は取れていませんが適法の範囲内)も他にも同じような作品はあります。ポリコレ問題についても、コンサルタントを頼むこと自体に違法性はなく、盗用問題についても修正・謝罪があれば問題ありません。
ここから更に問題として大きくなった原因が日本大学准教授であるトーマス・ロックリー氏による著作およびそれに基づくWikipediaの編集です。詳しい経緯は不明ですが、アサクリシャドウズにおける誤った認識の弥助像はどこから来たのか、となったときに氏の著作が掘り起こされたと思われます。
氏の著作における日本は8000人の黒人部隊がいたとされたり、弥助が極めて優秀な侍であったり、まあ、極めて異質な内容でした。
ここで大きな問題とされているのが、弥助の登場をきっかけに日本国内で黒人を奴隷として扱う風潮が生まれた、という記述です。弥助という名前自体は信長が商人に対して名前を聞いたがなかったため、名づけたとされています。
つまるところ、当時の宣教師たちが行っていた黒人奴隷問題を日本人になすりつけているのではないか、という疑惑が生まれました。実際、弥助の英語版Wikipediaは氏が自身の著作を引用して数年にわたって編集していたことが明らかになっています。
これは鳥取トムというアカウントにて行われましたが、このアカウントの説明に日本大学准教授であるトーマス・ロックリーであるということが明示されており、ほぼほぼ確定事項として扱われています。
実際の問題としてブラジルにて弥助が伝説となった逸話を元にしたサンバのカーニバルがコンテストで優勝したという話もあります。
5.この出来事の問題
あくまで個人的な感覚ではありますが、今回の件における一番の問題は誤った日本の歴史認識が海外で定着しかねないという事態です。
既に弥助が伝説的な侍であるという話を信じている人が存在する中で日本人は黒人奴隷を生み出した、という歴史が定着しないと誰が言い切ることができるでしょうか?
というわけで大分言いたいことは言えたのでここで終わりにします。
自分が認識している流れについて、補足等あればご指摘いただければと思います。個別の問題、どこどこを盗用した、などの問題については今回の主題からは外れるので不要です。
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