主語に注目!尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いを理解して「敬語」をマスターしよう

2019.10.25

中学生になって「敬語」を使い始めた人も多いでしょう。先生や先輩に対して使うのでも精一杯なのに、授業でも尊敬語やら謙譲語を覚えなければならなくなってしまった……。そんな敬語に悩むあなたに、尊敬語・謙譲語・丁寧語それぞれの特徴や見分け方をまとめて紹介していきます。

「尊敬語」は先生やお客さんなど目上の人の動作に使う

話をしている相手や話のなかで登場してくる人に敬意をしめすために使われるのが「尊敬語」です。相手や登場人物が先生・目上の人・お客さんなどのときに使います。動作を表す「動詞」のを変えたり、助動詞をつけたりして表現します。


  • ・動詞全体を変える:「先生がパンを食べる」→「先生がパンを召し上がる」
  • ・動詞を「お○○になる」「ご○○になる」に変える:「先生がパンを食べる」→「先生がパンをお食べになる」
  • ・助動詞「れる・られる」をつける:「先生がパンを食べる」→「先生がパンを食べられる」

へりくだって相手を立てる「謙譲語」

「謙譲語」は、自分や身内をへりくだる(相手よりも下の立場であるのを示す)ことで相手への敬意を示すために使われます。尊敬語と同じく、動詞の表現を変えることによって敬意を表します。


  • ・動詞全体を変える:「私が言った」→「私が申しました」
  • ・動詞を「お○○にする」「ご○○にする」に変える:「私は先生を送る」→「私が先生をお送りする」

尊敬語と謙譲語の使い分けは主語に注目

尊敬語と謙譲語の使い分けは、テストや入試で聞かれやすい項目です。うまく使い分けるには、動詞の主語に着目しましょう。主語が話の相手や目上の人の場合は尊敬語、自分や身内の場合は謙譲語を使います。

とくに父母や祖父母が主語の場合は、目上の人として扱いたくなるかもしれませんが、謙譲語にするのを忘れないでください。また、下の例のように主語以外に目上の人が入れられている場合はつられて間違えないように注意しましょう。ほかにも省略されて主語がない場合は、自分で考えて補わなければなりません。


例:私が先生のところに行きます
○:私が先生のところに参ります
×:私が先生のところにいらっしゃいます

「です・ます」や「お・ご」は丁寧語

最後は「丁寧語」です。「です・ます」をつけた形と覚えている人も多いかもしれません。文章全体を丁寧にしたいときに使う表現といってもいいでしょう。尊敬語・謙譲語とちがって相手への敬意を示す意味合いはなく、相手を立てるためには使いません。

「です・ます」のほかにも「お」や「ご」を名詞の最初につけて丁寧にする表現もあります。「美化語」と呼ばれ、簡単に丁寧語にできる便利な表現ですが、たとえば下のように身内に「お」をつけるのがふさわしくない場合もあるので注意しましょう。

○:私の父が先生のところに参ります
×:私のお父さんが先生のところに参ります

尊敬語・謙譲語を繰り返す「二重敬語」はNG

敬語で注意が必要なポイントとして「二重敬語」が挙げられるでしょう。尊敬語や謙譲語を繰り返し使う表現で、下のような文章です。


  • ・お見えになられる→「お見えになる」と「〜られる」の尊敬語が重複
  • ・うかがわせていただく→「うかがう」と「〜させていただく」の謙譲語が重複

二重敬語で問題なのは、尊敬語や謙譲語が繰り返される表現です。「尊敬語+丁寧語」(例:ご存知です)や「謙譲語+丁寧語」(例:いただきます)は問題ありません。また「お召し上がりになる」や「お伺いする」など慣用表現として使われている二重敬語もあるので、例外があるのも頭に入れておきましょう。

基本的な敬語は覚えよう

敬語の法則を理解しただけではマスターしたとはまだ言えません。それは言葉を知らなければどのように変化させればいいのかわからないからです。説明のなかでも例として上げていた言葉がありますが、代表的な動詞を下にまとめました。基本的な言葉をしっかり覚えて、敬語をマスターしましょう。