発信したい意図が間違って伝わらないよう、慎重に言葉を選んだり、内容についてもかなり吟味しているという。

心ない言葉を投げかけられた瞬間に、すべてが一転してしまう可能性はあります。みんなが他の人の幸せを脅かさない、そんな優しい世界になってくれたらいいのですが

福祉的にもすごく恵まれた環境で育児できているほう

 動画では未来くんの症状や病院での様子、日々の出来事、常に必要な医療的ケアも伝えている。例えば、一日数回の点眼と、夜眠るときには眼球に軟膏を塗ってラップで覆うケア、夜間は人工呼吸器で酸素を注入

 口からの食事が難しいので、4時間ごとのミルクや離乳食を胃ろう注入する。痰が喉につまらないように、こまめな吸引作業をするなどさまざまな細かいケアが必要。訪問看護による医療ケアやリハビリ、それ以外にも通院や検査の日も多く、2人は朝6時に起きて明け方は4時過ぎにベッドに入る日々を送っている。

「私たちは2人とも育休が取得できたり、信頼できる支援コーディネーターさんに出会えたりと、福祉的にもすごく恵まれた環境で育児できているほうだと思います」(しほさん)

 しかし、2人の育休期間が年内で終了することもあり、今の生活が維持できるかには不安があるという。

2人だから何とかなっている部分が大きいので、スケジュール的な不安は大きいですね。金銭的な面でも不安に思うこともあります。今のところは高額療養費制度のおかげで、治療や手術を保険適用で受けることができています。これは自治体にもよるのですが、中学生までは公的医療保険もあるので、病院での治療に自己負担は発生しません。

 ヘルメットや補聴器などの装具類、呼吸器や吸引器、非常時のバッテリーなどは、自治体から何割か補助が出ます。なので今のところ驚くような金額の出費にはなっていません。ただ今後、例えば目を保護するゴーグルを特別に作るとか、海外で手術を受けるといった場合は保険適用外になってしまうと思うので、将来的な不安はありますね」(しほさん)

 未来くんと同じ症例の子どもがいないため、未知数な部分は多い。しかし、そんな不安よりも、一緒に過ごしていて感じる日々の幸せが上回る。

未来くんが来てくれて、僕はすごく幸せだなと思う瞬間がいっぱいあります。先日、家族で初めてディズニーランドに行ってきたのですが、『イッツ・ア・スモールワールド』に乗ったときも、未来くんがアトラクションを見つめている姿を見るだけで、本当に涙が出てくるぐらいうれしくて。今までまったく感じたことのない感情がこみ上げてきて……」(孝輔さん)