第657回「政経塾10期生を送る」

 深谷隆司の言いたい放題第657回

 「政経塾10期生を送る」


31日、7時からTOKYO自民党政経塾第10期生の卒業式を行った。

もう1年が経ったのかと時の流れの速さに驚く。

自民党都連の石原伸晃会長の懇請を受け、小田全宏君を塾長代行にして始めて以来10年が経過した。あの時私は70歳、いつの間にか馬齢を重ねたものである。

100人の定員に毎年倍の応募者で、自民党が野に下ったときも、私が政界を引退してからも、その盛況ぶりは全く変わらなかった。受講生の数は1600人を越え、国会議員は7人、地方議員は100人以上、各分野で活躍するリーダーもそれぞれ高い評価を得ている。

今回も150人あまりの卒業生だが、特筆すべきは皆勤賞の人が47人もいたことだ。一日の勤務を終え、それから駆けつけて7時から9時までの講義を受けるのは大変なことだ。よほどの志と意欲がなければ続かない。

一人ひとりに卒業証書を渡しながら、改めてなんとすばらしい人たちかと、惜別の情を抱きながら心が震えるような思いであった。

塾生代表の久我和也君の謝辞も爽やかで心がこもっていて嬉しかった。


たまたま数日前週刊誌の取材があった。公募で当選した新人議員があまりにスキャンダルが多いのは何故ですかという問いかけだったが、私は即座に、愛国心も格別の志もない人が安易に応募し、それを簡単に受け入れるからだと答えた。

 その上、当選してからの特別な指導機関もない。昔は派閥があって先輩からしごかれ育てられたものだが、今は派閥にそんな力がない。当選したら自分ひとりで天下を取ったような錯覚で、国家国民の命を預かっているという真剣な自覚がない。

 せめて政党にこうした人たちを厳しく育成する機関が必要だが、そういったものはほとんど皆無といっていい。

私の政経塾は必ずしも政治家育成だけの機関ではないが、その役割の一端は担っていると誇らしく思った。

「塾長、お体大丈夫ですか」と心配げに聞く人が何人もいた。「何故知っているの」と一瞬驚いたが、そういえばこのブログで、血圧があがったことを書いたことがあった。今はすっかり正常値なのだが、多くの塾生がこのブログを見て心配してくれていたのだ。

出会い、めぐり合いがいかにすばらしいか、何時も思い、人にも語って来たが、塾生に囲まれながら、本当にそうだとしみじみ思った。

彼等の前途が洋々たるものになるよう、彼等の目的が叶うよう心から祈っている。