第564回「明暗」

 深谷隆司の言いたい放題第564回
 「明暗」

 とても残念だが小渕優子さんと松島みどりさんが辞任した。女性の活躍を進める安倍総理が選んだ女性大臣の辞任は、今後の政治運営に、どのような影を落とすのか心配だ。
 前回、小渕さんの場合、如何にも二世議員の陥りやすい側面を垣間見たようだと書いた。票も資金も親から受け継いで格別な苦労が無いから、秘書や事務所は知っていても、本人はかなり知らない部分が多かったのではないかと思っていた。今日の辞任記者会見を見ると、やっぱりその通りで、むしろ驚いたくらいである。
 勿論、知らないでは通らないが、彼女の顔を見ていると、親しかった故小渕元総理の事を思い出し、なんだか気の毒でならなかった。
 第三者の手によって事実をきちんと解明したいと述べていたが、民間人の刑事告訴も出ているから、先行きが大変だ。とにかくすべてをさらけ出し、再出発するしかない。
 同じ日に、松島みどりさんも辞任した。「うちわ」を配ったということを追及されての辞任だが、大臣を辞めるほどの問題かという思いも頭をかすめる。
 野党の力が全くない時代、格好のネタが出たとばかりすっかり標的にされてしまった。
 呆れたことに民主党議員から刑事告発まで出された。党の了解を得てのことだというが、本来疑惑が出たら国会で真実を追求すべきことで、いきなり刑事告発では、国会の審議権もいらないということにならないか。こんな手段が当たり前のように使われたら、益々国会の権威は下がる一方ではないか。
 今、国の内外共、難しい問題が山積している。こんなことばかりが続いてよい筈がない。
 2人の大臣の辞任を一区切りと考えて、本格的な審議を重ね、国家国民の期待に応えて欲しいものである。

 私にとって明るい話は、まず義理の息子小田全宏君が、コンサートを開きオーケストラ東京ニューシティ管弦楽団を見事に指揮したことだ。
 10月14日、東京オペラシティは1600人の席で満員だった。「夢カンタービレ」という表題の通り、プログラムは夢に溢れた曲が続いていた。
 実行委員長は私もよく知っている株式会社アライヴン社長の大井康之さん、特別ゲストは安倍昭恵さん、橋本聖子さん、佐藤真海さんという今話題の女性リーダー達であった。
 杏林大学の松田理事長夫人が、「親子そろってなんと多彩なの」と言われたが、私の特技はもっと庶民的なもの、オーケストラ指揮にはかなわないと思った。
 15日は服部いくお都議会議員の集いが浅草公会堂で開かれた。1000人を超える後援者が集まり大盛況だった。
 前日、中屋文孝君の都政報告会も文京区民センターで開かれたが、こちらは小田全宏君の音楽会と重なって欠席、心配していたが私の激励文も読んでくれて、わざわざ感謝の電話を入れてくれて「ホッ」とした。
 私の後輩や弟子たちが各所で大活躍だ。来年春には一斉に区議会など地方選挙が始まり、私も彼らの応援で超多忙となる。私も元気なうちは彼らを支える為に全力で走り回り獅子吼したいと思っている。

 19日當麻・室屋両家の結婚式が帝国ホテルで催された。新郎側の當麻家は台東区清川で仰願寺幼稚園を営む、私の古くからの支援者だ。14年前にご主人を亡くし、お寺や幼稚園がどうなるのかと心配したが、悦子夫人が長男の祐紀君と力を合わせ立派に発展させた。晴れて迎えた花嫁の牧子さんとの今後の家庭づくりが楽しみだ。

 丁度この夜は、江戸消防記念会の鹿島会長の通夜が築地本願寺で行われている。翌日の葬儀には予定があっていけないので、結婚式の来賓挨拶を終えて乾杯の後、直ちに抜けて本願寺に向かった。
 江戸消防の流れをくみ、粋といなせを自慢とする記念会の代表がぎっしり式場を埋めている。慌ただしく駈け込んで私は心から冥福を祈った。

 毎日明暗色々だ。そんな暮らしを粛々と繰り返している。うまい具合に健康だし、私は十分満足して生きているのだ。