2021年に女子大学生がやけどを負い死亡した事故で、当時の准教授らが書類送検された文星芸術大=12日午後、宇都宮市上戸祭4丁目

 宇都宮市上戸祭4丁目の文星芸術大構内で2021年12月、同大3年の女子学生=当時(21)=が作品制作で鉄板の切断作業中にやけどを負い死亡した事故で、栃木県警が業務上過失致死の疑いで、事故当時、同大の助手だった男性(26)や准教授だった男性(58)ら3人を書類送検したことが12日、捜査関係者への取材で分かった。電動工具のグラインダーを使用する際は見張り役の教職員が付くルールだったが、女子学生は1人で作業をしていた。大学の安全管理体制に問題があったと判断したとみられる。

 捜査関係者などによると、他に書類送検されたのは、当時講師だった男性(40)。3人は女子学生を1人で作業させ、安全管理を怠り、女子学生を死亡させた疑いが持たれている。書類送検は9日付。

 県警などによると、事故は21年12月22日午後に発生した。女子学生は多目的工房室の外の作業台で、立体作品の制作のためグラインダーを使い、1人で鉄板を切断していた。同日は授業日ではなく、作品の自主制作日だった。

 午後2時ごろ、職員が異変に気付き外に出ると、女子学生の上半身部分に火が付いていたという。助手がやかんで水をかけ、女子学生が室内の水道で頭から水をかぶって消火した。作業台のそばに消火器や水の入ったバケツの用意はなかったという。女子学生は同30日、重症熱傷による蘇生後脳症で死亡した。

 女子学生は大学からグラインダーの使用許可を得て助手の男性に付き添いを頼み、燃えにくいつなぎやゴーグル、手袋の着用など注意事項を順守していた。事故当時、女子学生は外で作業をしており、助手は付き添っていなかったという。

 女子学生は作業着の内側に起毛素材のインナーを着用していた。着衣の燃焼状況ややけどの状況などから、首元から火花が入り、引火したとみられている。

 同大によると、女子学生の命日や盆には慰霊の機会を設けて冥福を祈るなどしてきたという。書類送検を受け、担当者は下野新聞社の取材に「現時点でコメントできることはありません」などと答えた。