素数が「無限に続く」ことを証明できますか?...2000年以上発見されなかった「小学生でも」納得できる「簡単な」方法
100未満の素数全部
線を引かれずに残った整数はこの通りとなる。 2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97 これらが100未満の素数全部なのである。
サイダックが証明した「無限個の素数の存在」
紀元前300年頃のギリシャの数学者ユークリッドは、素数は無限個存在することを証明した。その証明法は、「素数は有限個しかない」として矛盾を導く背理法によるものであった。 その後、素数は無限個あることの証明はいくつか発見されたが、どれも簡単なものではなかった。 ところが2006年に、サイダックという数学者が非常に分かりやすい証明を発表した。次に、この証明法を紹介しよう。 言葉の準備として、自然数aとbの公約数とは、aとb両方の約数のことである。aとbの公約数となる自然数が1しかないとき、aとbは互いに素という。たとえば、12と18の公約数となる自然数は1と2と3と6で、12と35は互いに素である。 サイダックによる証明 まず、2以上の任意の自然数mに対し、mとm+1は互いに素、すなわちmとm+1は1以外の公約数はないことを示す。なぜならば、もしmとm+1が2以上の公約数aをもつならば、 m=a×b, m+1=a×c となる自然数bとcがある(b<c)。 よって (m+1)ーm=a×c-a×b=a×(c-b) 1=a×(c-b)≧a aは2以上なので、 これは矛盾である。
素数が無限個存在する「帰納的証明」
いま、nを2以上の自然数として、nの素因数p1をとる。次に、nとn+1は互いに素なので、n+1の素因数p2を考えると、p2はnの素因数p1とは異なる。次に、 n×(n+1)とn×(n+1)+1 は互いに素なので、n×(n+1)+1の素因数p3はn×(n+1)の素因数p1、p2とは異なる。 次に、 {n×(n+1)}×{n×(n+1)+1} と {n×(n+1)}×{n×(n+1)+1}+1 は互いに素なので、 {n×(n+1)}×{n×(n+1)+1}+1 の素因数p4は {n×(n+1)}×{n×(n+1)+1} の素因数p1、p2、p3とは異なる。以下、同様の議論を続けることによって、素数は無限個存在することが分かる。 『ある鳥の数が1年めは1.5倍に、2年めは8/3倍に、3年めは2倍になった。この3年間の平均増加率は?』へ続く
芳沢 光雄(数学・数学教育)