「就活の茶番につき合えない」 真面目な人ほど就活で「損」してしまう演技社会の現実
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舟津:もちろん全員ではなく、一部の話です。でも、そのギャップにおののきました。結局のところ、若者が持っている動物性は時代と共に消えたわけではなくて、演技して見ないことにしただけなんだなと。 鳥羽:そうですね。女の子にウケないのがわかっているから、男性性を出さない。それも、ひとつのノリなんですよね。でもきっと、一部の女の子たちもノリに加担している部分もあるでしょう。非常にややこしいですが、実際モテてる男子っていうのは、意外と男性性を発揮している子だったりすることもあるので。
舟津:私は全然モテないんですけど(笑)、それと関係あるかは別として、私はけっこうそういうのを「つまらん」って思ってしまいます。内心は男性性まるだしなのに、見た目は真逆に繕う。それがモテる秘訣だとか。モテるためには見た目はこう繕いなさい。ただ実際の判断基準は逆なので、出すときは出そう。そんな二重構造、アホらしくて演技しきれない。 学生にとっての就活も同じ構造のはず。「こういうふりをしろ」と言われるけど、実際には違う基準で評価されうる。新しいことをやりたいです! と生意気な若者を演じさせられるけど、本当は上司に忠実な部下が欲しいから、そこは外さないように。常に「裏読み」を要求するようなコミュニケーションは、とても不健康だと思います。
演技への評価が権力に紐づいていることも見逃せません。いろいろややこしい演技を重ねさせられるけど、結局は面接官とかクラスの陽キャとか、偉い人が決める基準に従えるかどうか、その通りに演技できるかどうかしか問われていないんです。 ■真面目な人ほど損をしてしまう 鳥羽:つまりは、互いの演技力を試し合う社会なんですよね。それは監視し合うことでもあるから、フーコーが言った「権力は下から上に」という構造が強化されている。そして、大勢の人はそれをパフォーマンス、つまりある種の「ぽさ」としてしか見ていないし、その「ぽさ」こそが本物だと錯覚しているけど、一部の真面目な人たちは全部真に受けてしまう。その人たちにとっては本当に生きづらい社会ですよね。デフォルトが不真面目な社会では、真面目に受け取ると損ばかりしてしまう。そういう子たちがサイコパスと言われるのは本当にかわいそうです。
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