チューリング株式会社 |チューリポ <社員インタビュー Vol.2> 有限な自分の人生を投資するなら、難易度が高く意義のある事業に、と決めていた 読み込まれました

<社員インタビュー Vol.2> 有限な自分の人生を投資するなら、難易度が高く意義のある事業に、と決めていた

2024/7/1

    インターネット広告の企業・スタートアップ企業でソフトウェア開発に携わり、2018年からAmazon AWSにてソリューションアーキテクト。AWSではスタートアップ企業担当としてエンジニア業務に従事し、2024年にチューリングに入社。

    通称マッツさんと呼ばれている松田さん。入社3ヶ月足らずでEnd-to-Endの自動運転開発チームの技術的・精神的な支柱になっています。仕事の成果に高くコミットするだけでなく18時には仕事を一度終えて子どもの面倒を見るなど、家族と力を合わせて育児に向き合う姿勢も若手エンジニアの手本となっています。そんなマッツさんのこれまでの仕事やチューリング入社を決めた理由、そして今後の展望について聞きました

    数百のスタートアップからチューリングを選んだのは、挑戦しがいのある事業だから

    ーーチューリングに入社するまでの、松田さんのキャリアについて教えてください。

    新卒でインターネット広告の会社に入社して2年半働いた後、ビッグデータを扱う広告系スタートアップに2人目のエンジニアとして転職しました。もう1人のエンジニアがCTOを務めていて、その人と役割分担をして仕事を進めており、開発業務・組織構築など幅広く事業に携わりました。上場申請まで経験しましたが、最終的にはさまざまな理由で承認がおりませんでした。そこでひと区切りつけて、Amazon AWSのスタートアップを担当するソリューションアーキテクト(以下SA)として転職しました。

    実は当時からスタートアップに転職しようとは思っていました。ですが、なかなかピンと来る会社がなかったんです。AWSの中の人から「AWSにはスタートアップを担当するSAのポジションがある」「スタートアップを山ほど見られるポジションだから、入社してから行きたい会社を探すといい」と言われ、「なるほど。それなら」と思い、Amazonへの転職を決めました。

    ーーマッツさんに技術のことを聞けば、すごく安心感があるとエンジニアからよく聞きます。当時の松田さんは何が得意なエンジニアだったんですか?

    基本的にはインフラエンジニアとして仕事をしてきました。ただ、スタートアップで幅広い仕事をしていたので、情シスやバックオフィス系のソフトウェア・エンジニアリング業務にも知識があります。

    ーーなにを聞いても答えが帰ってくるマッツさんの原型は当時からあったのですね。AWSに転職してどんな経験をされたのでしょうか?

    「トップエンジニアのよき壁打ち相手となるために必要なこと全て」と言っても過言ではないくらいの経験ができました。

    AWSのSAの仕事は、お客さんの要望や課題に対してソリューションを提案することですが、実現可能かを手元で検証したり、新機能がどのような使い方ができるかを事前に把握したり検証することも含みます。検証するときに毎回ゼロイチでつくると大変なため、常に手を動かすように意識していました。個人開発でTwitterのデータを分析するサービスを作ったり、新サービスが出るときは、手元にある自前のサービスで検証したりもしていました。「ソリューションアーキテクトという仕事について」にも記述がありますが、お客さんのビジネスややりたいことを汲み取りつつ、それを成功させるために必要な「あらゆる」技術的サポートを提供(しようと)していました。

    支援するスタートアップ側の担当者としてCEOやCTOが出てくることが多かったですが、テックリードや現場のエンジニアもミーティングに同席しきて、こちらが話した内容をすぐその場で試すという感じなんです。百戦錬磨のCTOのような手ごわい相手と相対するには自分も同じ力量にならないといけない。そう思っていましたね。非常に鍛えられる環境でした。

    ーー精神と時の部屋みたいですね(笑)スタートアップ企業はAWSのソリューションアーキテクトを採用するといいのではと思いました。

    エンジニアの採用に困っているお客さんには、年収は高くてもいいからソリューションアーキテクトを採用するのがおすすめですよ、とよく言っていました(笑)彼らはいろんな企業の事例を知っていて引き出しも多いですし、事実としてそのような人を採用せずに困ってSAに相談に来る企業も多くいるので。スタートアップにそういった人が加われば力になるはずだと思っています。

    ーー結果的にAmazonに5年勤めたということは、なかなかピンとくるスタートアップが見つからなかったのでしょうか?

    仕事を通じて数百社のスタートアップと知り合うことができましたが、なかなかピンとくる会社はありませんでした。その背景としては3つ、課題が同じに見えてしまうこと、人材ニーズのタイミングが合わないこと、チャレンジの大きさが合わないことがありました。

    まず1つめについてですが、AWS在籍時は年間で200〜300社くらいお会いしていましたが、SaaSを提供するスタートアップが大半でした。当然プロダクトの内容は異なりますが、年間200〜300社見ているとビジネス・開発課題は共通しているところも多くあります。当時の感覚を振り返ってみると、「起きうる問題やその構造、問題解決の手段がコモディティ化されていると感じており、自分がやらずともなんとかなる」という考えがあり、ピンとこなかったのかなと思っています。

    また2つめとして、事業に興味がもてたとしても、会社のステージと人材ニーズの両方が揃わないというケースもありました。スタートアップはフェーズが若いと、自分たちが必要とする人材を適切に定義し、適切な順番で採用することが難しいケースが多くあります。例えば、最近はどんなプロダクトにもAIが絡むので大量のデータをうまくハンドリングする必要があり、インフラエンジニア的な視点やスキルが重要なケースがありますが、企業によってはプロダクトの機能を作れるエンジニアの採用に注力してしまうなどです。

    3つめについてですが、多くのスタートアップを見てきて、目が肥えてきていたのもあるかもしれません。どうせやるなら「ムーンショット」にチャレンジしているようなスタートアップがいいと思っていました。でも、誰もが無理だと思うようなことにチャレンジしているスタートアップって意外と多くありませんでした。

    ーームーンショットのような事業は難易度が高いし、やりたがらない人もいますよね。なぜ、松田さんはムーンショットがいいと思ったんですか?

    自分がめちゃくちゃできるエンジニアだとは思わないですが、日本全体で見たらエンジニアのリソースは有限です。この有限のリソースをベットするのにふさわしい事業なのか、日本に対してどんな意味があるのかというのはずっと考えていました。効率よく・賢く儲かる事業はうれしいかもしれないけど、自分の限りある時間を使うのはもったいないと思っています。

    唯一無二の資産である自分を投資するならリターンもほしい。ここで言うリターンはお金だけでなく、チューリングが目指しているようにこれまでになかった完全自動運転を実現することもリターンだと考えています。

    ーー松田さんが、チューリングの事業をムーンショットだと思ったポイントを教えてください。

    まず日本では誰も実現していない事業やイシューに挑戦していること、そしてその難易度の点では、間違いなくムーンショットですよね。それだけではなく、会社のフェーズや状況がちょうど自分と合っていたこともチューリングを選んだ理由です。

    会社の規模が大きすぎると、業務が細分化されていて関わりが局所的なので、事業や会社に対して自分が影響を与えると実感することは難しくなってきます。逆に、あまりに初期のフェーズだと価値を出しても報酬は低くなってしまうかもしれません。僕は子どもがいて家も買っているので給与も重要な要素のひとつでした。

    他の理由としては、自分のエンジニアとしての成長に合っている場所だと感じたからです。きっかけは『スタッフエンジニアリング』という素晴らしい本を読んだことでした。海外では最高位のエンジニアをスタッフエンジニアと呼ぶのですが、そういった高位のエンジニアになるには何が必要なのかが書かれた本です。そこには、コードが書けるなどのスキルも大切だが、ビジネスにどれだけ影響を与えられるかが一番重要だと書かれていました。優秀なエンジニアがやるべきことは、エレガントなコードを書くことだけではなく技術戦略を考えたり、会社や組織の方向性を定めたりすることだと。

    もし、自分がそういったポジションを経験したいと思うなら、働く場所はAmazonではないなと思ったんです。チューリングは難易度が高く取り組む意義のある事業があり、自分が組織への影響をもてるようなフェーズでもあると考えました。

    ーーチューリングが、自分の介在価値や影響力を高められる場所だと思ったポイントについてもう少し教えてください。

    事業のフェーズが合っていました。事業や会社の目的は決まっているけど、社内の体制や制度や事業モデルは固まりきっていない。そして正しいことなら「こうすべきだ」という意見がちゃんと通りそうな社風だとも思っていました。僕はチューリング創業前からCEOの山本一成さんを知っていて、採用前から一定の信頼関係が構築できていたことも大きかったですね。

    ーー少し話は変わりますが、松田さんのnoteを読んだらお子さんが生まれてから価値の変容があったという話がありました。詳しく聞かせてください!

    意味のある事業に自分の時間を投資したいという想いは以前からありましたが、その想いが強くなりました。チューリングで完全自動運転を実現できれば、日本にも世界にも大きなインパクトがあります。子どもが大きくなったときに「パパすごい」と言われたいと思ったことも動機でしたね。

    そして、子供が生まれたことで「人生の時間は短いな」とも思いました。あと20年もすれば、この子が自分と同じサイズになるんだよなと思うし、30年後には私も60代なわけです。頭の回転がいい状態なのはあと15年くらいだとしたら本当に時間がない。人生の希少な時間をどこに投資するかは本当に大事な選択だと思っています。

    優秀なエンジニアの生産性を高めることで、事業の実現をサポートする

    ーー松田さんのチューリングでの立ち位置とミッションについて教えてください。

    メインの仕事は完全自動運転のAIを作るために必要なデータを集めたり、加工したりするMLOps基盤を設計して、コードを書いています。今は事業ドメインへの理解とチームの信頼を得るために事業上必要なことにフォーカスしています。

    その他には、エンジニアの採用面に関わるジョブディスクリプションを書いたり、採用したい職種に関するドキュメントを出す、採用プロセスをチューリングによりよい形にすべくアップデートするなどしています。

    ーー今後、松田さんが取り組みたいと思っていることはありますか?

    チューリングのMLエンジニアに、一般的なソフトウェア開発やクラウドの使い方や機能を知ってもらう機会を作りたいと思っています。MLエンジニアは競技プログラミングや機械学習を経験している人が多いのですが、意外に一般的なソフトウェア開発、クラウドの使い方や機能に詳しくないんです。今もたまに勉強会を開催しているので、定期的に開催して一緒に手を動かす時間を持ちたいと思っています。

    ソフトウェア開発の知識などが増えれば、優秀なエンジニアが発揮する能力が100だったところが120に増えます。短期的に見るとインプットの時間が必要でもったいないと思うかもしれませんが、中長期ではインパクトは大きいはずです。このバランスを取りながら取り組んでいます。

    ーー全社的なプロジェクト「Tokyo30」に向けた取り組みもされていますよね。

    (Tokyo30:人間が一切介入せずに東京で30分間、自動運転走行を行うプロジェクト)

    「Tokyo30」の達成を目指して、道路や走行に関するデータを実車を使って集めていきます。その集めたデータをエンジニアが使いやすい形にしていき、MLエンジニアが気軽に試行錯誤できる環境を作っています。

    もちろんAIや機械学習のモデル開発も大切なんですが、走行データをどう扱うか、内部の中間処理をどう設計するか、どうやって開発サイクルをまわすかがプロジェクトの成否を分ける重要テーマだと考えています。

    ーー現在感じている課題はありますか?

    ECサイトであればユーザーのログデータを分析すれば良いのですが、自動運転は正しい走行データを自分たちで取得する必要があります。実車でデータを取得する工程と、取得したデータを加工する工程を行ったり来たりする必要があるわけです。自動車というハードウェアを扱うため、ハードウェア・ソフトウェアの両方を理解する必要がある点は難しいですね。

    ーーAmazonでの経験で、チューリングで生かせることはありますか?

    Amazon社内での意思決定はいつもとてもロジカルなんですよね。まず背景や状況を整理して、現状の課題を明らかにする。その上で解消するための手段を考える。情報が完璧に揃っていないときでも、状況を整理して何をすべきかを考えて実行し、その結果が良くても悪くても必ず振り返りをします。この姿勢はとても重要なので、チューリングにも取り入れていきたいと考えています。

    また技術開発面でも、クラウドを活用してビジネス上で価値を出すという視点をもって仕事をしてきました。チューリングの開発環境を整備していく上でも生かせるポイントだと思います。

    ーー求める人物像について教えてください。

    チューリングには腕の立つAIエンジニア・機械学習エンジニアが揃っている一方で、一般的なソフトウェア開発を経験している人が比較的少ないです。

    これまでWebサービスやSaaSなどに携わってきて、もっと大きなチャレンジがしたいと考えている方が活躍しやすい会社だと思います。機械学習と車に関して知識が無くても、前提として必要になる知識は、一緒に働く仲間が最新論文などの情報を教えてくれます。仕事内容としては一般的なソフトウェア開発と変わりないですが、目指している事業としては最先端のもので、魅力的だと思います。

    ーーソフトウェア開発のエンジニアの人がこれまでの経験を生かして、チューリングの中でレアな存在として働けるとも言えますか?

    自分が当たり前にやっていることが会社にとっては非常に大きな価値になる、という貴重な体験ができると思います。

    また社内開発者向けのサービス・ツールを提供することで、会社全体の生産性、完全自動運転の実現可能性、ひいては会社の成功確率を引き上げることもできます。完全自動運転実現のためにも、ソフトウェアエンジニアはかなり求められていますね。

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