最凶の一族の長男はとりあえず自由に生きてみようとする   作:〇〇総統

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最近はブルアカにハマり始めた。因みに一か月前はNIKKE。その前はドッカン


兄弟の悪の矜恃

笑みを浮かべたクウラは、トワに向かって握手の形で手を出し……すぐに人差し指を突き出してデスビームを放った。

 

「……なんの真似かしら?」

 

トワがクウラを睨むがクウラ笑みを浮かべるのを辞めない。

 

「フフフ…お前は大きな思い違いをしているぞ」

 

指をトワに向けながらクウラは言い放つ。

 

「俺は自分を鍛えるなら躊躇いなく糧にするが、それが他者からの力を借り、その力に頼るものでは俺のプライドが許さん。お前は今俺のプライドを踏みにじるような発言をしたのだ」

 

「その強化技術が何なのかは知らんが、ろくでもない代物なのは確かだろうな。貴様らのような得体の知れない者共に手を借りずとも、俺は何れ宇宙一になってみせる!」

 

それは、自身の力で宇宙一へ上がろうとしているクウラにとっては侮辱以外の何物でもなかった。

 

笑みを浮かべていた顔が真顔になり、デスビームをトワに向ける。

 

「交渉は決裂だ。貴様は俺の手で直々に殺す」

 

その瞬間トワとクウラの間にミラが割って入って来た。

 

「交渉が決裂したのなら、俺がお前を倒す」

 

「ふっ…視界の隅に捉えていたが、やはり只者ではないな?」

 

クウラとミラがお互いに睨み合う。

 

「ミラ!今は戦ってる暇はないわ!このまま下がるわよ!」

 

だがトワの一言でミラは滾らせていた闘気が霧散する。

 

「…………了解」

 

「…余計な事を」

 

「…貴方が私たちに協力してくれたら良かったのだけれど…そんな事言ってられなくなっちゃったわ、この埋め合わせ、いつかして貰うわよ」

 

トワがクウラを睨み、そのまま消えていった。

 

「ふん…」

 

クウラが面白くなさげに息を吐くといきなりスカウターがけたたましい音を立てながら何かを捉えた。

 

「クウラ様!!」

 

「くっ!?」

 

突然の攻撃がクウラに迫りサウザーはクウラを庇い、胸元を貫かれる。

 

「サウザー!」

 

「おいおい!!どうしろってんだよ!!?」

 

ドーレとネイズが攻撃してきた人物を見て慌てふためく。そこにいたのは、今この場にいる筈がない…

 

「フフフ…少し甘くなりましたか?兄さん…」

 

フリーザ本人だったのだから

 

「ドーレ!ネイズ!!今すぐ兄貴の合流地点へと戻れ!」

 

「で、ですがサウザーは!!」

 

「あいつはそう簡単にやられるタマではない!!この異常事態を兄貴に伝えろ!」

 

クウラは自分のスカウターを握りつぶす。

 

「報告で聞いたのと同じ方法か知らんが、連絡も取れんようだしな」

 

「くっ…行くぞネイズ!」

 

「……了解!」

 

ドーレとネイズはすぐにその場を後にした。後ろを振り返ること無く目的の場所まで一目散に飛んでいく。

 

「ふむ…」

 

クウラがフリーザをまじまじと見つめる。

 

(どこからどう見ても弟と同じ…これが別の世界の弟…か)

 

「ふ…ふふふふ…」

 

「おや?どうしました?兄さん?」

 

「はははは!!いや何、同じ弟でも貴様とアイツとでは天と地ほどの差がある統治者の振る舞いだと思っただけだ!」

 

「な…何を!!?」

 

「小物すぎるな、俺の弟は貴様よりもよく出来ている。見たところ、お前は何かに恐怖しているな?俺の弟ならば脅威はただ脅威と感じはすれどその脅威に恐怖を感じたりなどしない。別の世界線の弟と期待はしたがその期待に応えられる程の器ではなかったな!」

 

「ふふふ…いつもそうだよ…お前はそんな生意気な事を言ってはボクを苛立たせる…」

 

フリーザが頭に血管を浮かび上がらせて静かに怒る。

 

「そうか、ならもっと面白い事をしてやろう」

 

そう言ってクウラは腕を広げて言った。

 

「今の俺は第四形態。最終形態にはならないでやろう。丁度いいハンデだろう?兄貴に例えて言うなら、今のお前ならこの程度で十分だ…という事だ」

 

その挑発が、フリーザの怒りをすぐに臨界点まで到達させた。

 

「吠えたなクソ兄貴がぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「楽しませてくれよ?フリーザァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、着いたぞ」

 

今俺達は目的地である最長老の家に着いた。原作よりもデカく感じる…ちょっとツギハギでもあるから増築でもしたのだろうか?

 

扉を叩こうと近づくと、扉が開き1人のナメック星人が出てくる。

 

このナメック星人は見た事がある。原作でも少ししか登場しなかったが分かる。だって彼は原作では後にピッコロと同化することになっている…

 

「待っていたぞ」

 

最長老の付き人のネイルだろ?

 

「ネ、ネイルさん!」

 

デンデが俺達から離れてネイルに飛び込んでいく。

 

「デンデ…無事だったか」

 

「は、はい!僕、あの人達に助けられて…」

 

「そのようだな、現にお前は彼らに気を許している」

 

2人はその後2~3程軽く話してからネイルは俺達に向き合った。

 

「お客人、今はもてなす準備は出来ないが…最長老さまがお会いになる…全員ついてきて欲しい」

 

「おや?俺もいいのかい?」

 

「最長老さまが良いと言っていた」

 

ネイルはそれだけ告げて中に入っていく。

 

「じゃあ、行くか」

 

「は、はい…」

 

「やっぱりピッコロの故郷なんだな、ピッコロそっくりだ…」

 

中に入って家の上階にあがる。

 

部屋には奥の椅子に座った大きなナメック星人と、色んなところに村から避難してきたナメック星人達がいた。

 

「ようこそ……あなたの事はこの星にやってきた悪党から聞かせていただきました…ようこそ、悪党の兄トスカー。そして地球人の方々」

 

最長老が挨拶をしてくれているが、いい返しが思いつかなかった。とりあえず礼をしておく。

 

「頭を下げるべきなのは私達の方なのです…まず、わが子デンデを助けていただきありがとう…」

 

「いえ、ただの成り行きです。彼は運が良かったという事にしてください」

 

「控えめなお方だ…あの悪党が言ってた通りの方…あなたにならわが子達を守る事を任せられそうですね…」

 

「その事だが、本当にいいのかい?一応自分では悪だという認識はあるが、そんなにホイホイと俺に任せて俺はそれを受けても後は知らん振りして逃げるかもしれないぞ?」

 

「あなたがそのような事をするような人物ではないと聞かされております。そして今ここであなたと相まみえた事により全て確信しました…」

 

最長老は一呼吸おいて話し出す。

 

「確かにあなたは…いえ、あなた達一族の系譜は悪でしょう。それは変わりません。ですがあなたは悪は悪でも信念のある悪。無闇矢鱈に殺戮を行わない外道の悪ではない」

 

「ほう…」

 

「お仕事の内容をお聞きしました。星の間引き…とでも言いましょうか。増えすぎる、というのも悪い事です。貴方のような何かを壊す者も必要なのは理解しています。そして破壊する立場の貴方は善悪の区別が出来ている」

 

「そんなあなたを見た兄弟の方々が2人もいらっしゃる。あなたに似て信念が通った悪なのでしょう?」

 

一通り話し終わった最長老、それを聞いた俺は…

 

おっっっっも…

 

重い…只管に重かった…今までそんなに深く考えて来なかった…せいぜいここはもう見込みがないなー程度で星を破壊してたから…期待してくれるのは嬉しいけど…

 

「ははは…期待してくれるのは嬉しいし、出来るだけ尽力させて貰う」

 

「私の話はこれから死ぬような人の呟き程度の扱いでも大丈夫ですよ」

 

「あぁわかった。そんで、本題はこっちの地球人達だ」

 

俺は下がりクリリン達が前に出る。

 

「どうも、俺はクリリンって言います。こっちは孫悟飯」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「単刀直入に言います。その頭の上にあるドラゴンボールを俺達に貸して貰えませんか?」

 

「それはまたどうしてでしょう?」

 

「俺達は地球にやってきたスラッグを撃退する為に追ってきたトスカー達と協力してスラッグを地球から追い出す事に成功しました。ですが地球にあったドラゴンボールが使えなくなって…」

 

「な…なに!?地球にもドラゴンボールが…!?ナメック星人がいる…いや、いたのか!?」

 

地球にもドラゴンボールがある。その情報で最長老が驚愕し、周りのナメック星人達も騒ぎ出す。

 

「はい、昔宇宙船に乗って地球に逃れてきたとか…」

 

「カタッツの子だ…驚いた…。あの子は確かにドラゴンボールを作り出せる天才児だった…しかし何故使えなくなってしまったので?寿命か?殺されたのか?」

 

「いえ、トスカーの話だと同化されたって…」

 

「成程…すみませんがちょっとここへ来ていただけるか?」

 

そう言って指名されたのはクリリンではなく俺。

 

「俺?」

 

「えぇ、地球のお方の話が正しければあなたの過去を探れば何かわかるかもしれないので」

 

「別にいいが、俺の過去を口に出すのはやめてくれよ?」

 

原作を知ってるって事をバラされそうだからな。

 

「分かりました。約束しましょう」

 

最長老が俺の頭に手を乗っける。頭に何かが入ってくる感覚がした。

 

「…………」

 

「最長老さま?」

 

しばらくして手を離しても何も喋らない最長老にネイルが声をかける。

 

「あぁ…ネイル。なんでもない。少し考え事をしていた」

 

「考え事…ですか?」

 

「地球のお方、いいでしょう。ドラゴンボールはあなた達に差し上げます。ですが急ぎなさい」

 

悟飯が最長老からドラゴンボールを手渡された。

 

「そして、残りのドラゴンボールは他の村からコチラに持ち運び揃えています。何かあった時の為に…」

 

「あ、ありがとうございます…でもどうして急ぐんです?」

 

「わたしの命はもってあと数日、いつ消えるか分からぬこの命でもしわたしが死んでしまえばドラゴンボールも消えてしまう」

 

「そして地球のお方、こちらへ…」

 

「「え??」」

 

悟飯とクリリンは困惑しながら最長老の元へ行った。最長老は悟飯達の頭に手を乗せる。

 

「な…!こ、これ!!」

 

「す、すげぇ!力がふきだしてくる!!ありがとうございます!」

 

「わたしはあなた達の眠っている力を引き出すきっかけを与えただけです。いいのですよ」

 

(それにこうする事が、本来の流れ…あなたの記憶にはそうあった…)

 

「デンデ、こちらに」

 

「は、はい!」

 

そう言ってデンデの頭にも手を乗せた最長老。

 

「あなたにドラゴンボールの合言葉を教えておきます、わたしはここから動けない。あなたが彼らの手助けをしてあげるのです」

 

「で、でも…なんで僕に?ネイルさんでもいいんじゃ…」

 

「これが、最善だからです」

 

そう言って口を閉ざした最長老。もうここに居ても得られる物はない。

 

「じゃあ、早速使わせてもらおう。色々と世話になった」

 

「…はい、お気を付けて。あぁそれと」

 

最長老は思い出したように言った。

 

「ネイル、わたしは大丈夫だ。暫し彼らと行動を共にするのです」

 

「わかりました」

 

そしてトスカー、クリリン、悟飯、ネイル、デンデは最長老の家を後にした。

 

最長老は出ていった彼らを見送った後、トスカーの読み取った記憶を思い出していた。

 

(少しでも違うとなると恐ろしいものです。今協力してくれているフリーザという方も、わたし達に牙を剥いていたとなると…)

 

(人造人間…魔人…破壊神…他の宇宙…)

 

(あなたはこれから起こる波乱に満ちた未来を…どう乗り切るつもりですか?)

 

(祈るくらいしか出来ませんが、あなたの目的が達成される事を願っていますよ…)




他の作品も書きたいけど、書いたら絶対どっちか疎かにするってわかってるから手をつけない。だってハーメルンに夢中で今Pixivの更新止めちゃってるからさ。

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