最凶の一族の長男はとりあえず自由に生きてみようとする 作:〇〇総統
クウラ達がアタックボールの落下地点に到着し、中を調べた時には既にもぬけの殻だった。
「この付近をくまなく探せ。奴の反応なら一発でわかるはずだ」
クウラの命令によってサウザー達はスカウターで反応を探す。だが近くにも…そもそもスラッグの強大な反応すらも見つからなかった。あるのは自分の軍の兵士達の戦闘力とナメック星人の戦闘力だけだ。
「ク…クウラ様…反応が…ありません…」
「おかしい…スラッグ程のエネルギー反応が感じ取れねぇだと!?」
「こ…故障だ!?スカウターの故障に決まってる!!」
「狼狽えるな!!」
動揺している機甲戦隊に喝を入れたクウラは自分もスカウターをつけて探すが、やはり結果は同じく見つからなかった。
『兄貴の軍の奴らは技術では優秀…俺が使うのにチンケな物は作らん筈だ。この改良されたスカウターは0から1億までは正確に測れる…』
クウラは自分の頭をフル回転させ考察を進める。
『更に、1億以上の戦闘力は測定不能とみなされその発信源をすぐさま特定し、座標まで出す優れ物。兄貴達の報告では奴は兄貴が第三形態になっても苦戦する程の実力者…確実に100万以上はある…だがスカウターには反応がない…という事はだ…』
そして数秒で考えたクウラはあるひとつの仮説を立てた。
『もしや奴は…戦闘力を下げている…?このスカウターに反応されない程下げたのか?それとも他のナメック星人と同じ戦闘力に調整し、周りのナメック星人共に紛れ込んだのか…!?』
「サウザー!!ここから1番近い戦闘力は何処だ!!」
「はっ!!距離約286、あちらの方向です!」
「行くぞ!厄介な事になるかもしれん!」
クウラはサウザーの指し示した方向へ全速力で向かう。サウザー達は訳が分からずクウラの後について行った。
その場につくと、1人のナメック星人がいた。だが服装的にスラッグが着ていた物ではなく、背丈も顔もスラッグでは無い。
「…ただのナメック星人か…」
「待てドーレ、気を緩めるな。コイツ…何かがおかしいぞ」
人間違いか…と思うだろうがそのナメック星人、クウラ達が見てきたナメック星人と明確に違う部分があった。
クウラ達は知らないだろうが、それはまるでかの大魔王の配下の魔族のような…
「ギギギギガァァァ!!」
「成程な、ウォーミングアップとしては使えるだろうな」
そのナメック星人は急にクウラの方へ飛び込み爪を立てていた。クウラは顔の前に迫っていたナメック星人の腕を掴み止める。
先に会ったのがこの謎のナメック星人ならナメック星人の印象としては悪いものになっただろう、だがクウラ達は既に他のナメック星人と会っていた。なので今回の敵対者が他のナメック星人と違うというのに確信を持った。
「さて、お前には聞きたい事があるのでな。楽に死んでくれるなよ?」
「オオォォァァァ!!」
クウラとクウラ機甲戦隊が、謎のナメック星人と交戦した。
地球から脱出し、俺は更なる力を身につけるためにナメック星へと向かった。
奴らに受けた屈辱、殺されるかもしれない恐怖。俺はそれを全てこの1ヶ月で認めそのうえで自分の糧にした。
ナメック星へ向かっている間にただ考えを巡らしていただけではない。他にもやる事はやった。
まずは俺が同化したナメック星人…名はピッコロ…そいつの記憶と技術から俺は自身の戦闘方法を変え、向こうでの立ち回りも計画した。
ピッコロ大魔王と言われていた時代、奴は自分の手で頼れる部下を作り出した。コイツもそのようにして産まれているが存在は同じらしい。やはり他の地で育てば不思議な事を考えるな。
ならば、俺も同じ方法を利用すればいい。聞くかも分からぬ無能な部下よりも全て俺の言う事を聞く部下を持った方が立ち回りやすいからな。
まず、ナメック星に到着した俺は記憶の中にあった気の操作を使い極限まで下げた。周りのナメック星人共とほぼ同じくらいの戦闘力になった俺はすぐさまその場から離れる。
そして、急ぎではあるが口から同胞を生み出す事に成功した。遠目からだが、やけに歪で俺とは似つかないがナメック星人と記憶にある魔族を合わしたような見た目だ。
戦闘力は周りにいたナメック星人程の戦闘力だ。少しは時間稼ぎになるだろう。
そしてどうにか他の村に辿り着いたが、フリーザ軍の兵が張っていた。村は無理だと確信し、俺はその村から近い岩場に隠れることにした。
ここなら、奴らに見つかりはせん…早速作戦を開始する事にしよう…
俺は兎に角、口から卵を生み出しまくった。卵を出す度に…俺の戦闘力がぐんぐんと下がっているが…
そして産まれたのは先程よりもナメック星人に似ている魔族。どうしても身体には鱗のような斑点が出来てしまうが、厚着の服であれば多少は隠せるだろう。
そうして生まれた大量の俺から生まれた同胞。だが今の俺の戦闘力ではフリーザ一族に見つかれば即消し炭になるくらいの戦闘力だ。なので俺はこの星のどこかに身を隠す。
そして生まれたこの大量の同胞にはナメック星人と同じ能力と、1つの命令がインプットされてある。
そうして命令された同胞は一斉に飛び出し、この星にいるナメック星人達を吸収する為に飛び立った。
ふふふふ…さぁ、あとはこの同胞を俺が吸収すれば…俺の勝ちだな…
スラッグは暗闇の中で1人不敵に笑っていた。
「ん?なんだあれは?」
ある村にいた1人のナメック星人がそう言った。
彼は遠くから何かがコチラへやってくるのを目視で捉え、他の仲間に伝えに行った。
もう1人のナメック星人がつまらなそうに言う。
「またクウラ軍っていう奴らの仕業じゃないか?」
「いや、違うんだよな…あれは…違う村から来た仲間か?」
「でも、そんなに大移動するか?」
2人が話しているとクウラ軍の兵士の1人がやってきた。
「どうかしたか?」
2人のナメック星人は一応コチラに大量のナメック星人がやってきている事を伝えた。
「…………まさか…!」
その兵士は青い顔を更に真っ青にして、スカウターで調べ始める。あれは…そうだ…
「ぎゃぎゃぎゃはははぁぁぁ!!」
「見つけたぁぁぁぁぁ!!!」
「イクゾォォォォ!!」
クウラ機甲戦隊からの報告で受けたナメック星人の特徴とそっくりだった。
「て……!敵襲!!敵襲ーー!!」
その兵士の行動は早かった。
村に仲間を集め、防護壁で敵のナメック星人を攻撃する。その間に逃がせるナメック星人は逃がし、自分達は敵のナメック星人達を引き留める役に徹しなければならなくなった。
逃げたかったがそうはいかない。こうなる事覚悟でクウラ軍に入ったのだ。自分の気を奮い立たせるために雄叫びをあげながら敵のナメック星人達に立ち向かう。
まだ最初の襲撃なら良かった。その方が勝ち筋はまだあっただろうから。だがこのナメック星人達は何回か襲撃に成功しているという報告が来ていた。少なくとも、木っ端の自分達が束になってもそれ以上の数の暴力で勝つ事など不可能だろう。
そして、数時間後…また1つの村が襲われた。生き残りは僅かしか残らず、敵のナメック星人が去った後の村には生きている者は存在しなかった……
「そろそろナメック星だ。支度しとけよー?」
と、トスカーがクリリン達のいる部屋へ行きナメック星到着の連絡を言いにきた。
「はーい!」
「長かったようで短かったなぁ…でも…ふん!」
クリリンが正拳突きをして身体を動かしている。
「ここでの修行も中々いい経験だったな!今なら悟空よりも圧倒的に強いかもな!」
クリリンが冗談交じりにそういうが実はあながち冗談ではないかもしれない。界王拳を除いた戦闘力だったらサイヤ人編の悟空は8,000程だが、今のクリリンは8,500。その頃の悟空とは素の戦いだったら十分に勝機はある戦闘力だ。
「でも、俺より悟飯の方が頑張ったもんな」
「えへへ」
悟飯もザーボンやドドリア、ギニュー特戦隊。短期間ではあったがクラッシャーターレス軍団と修行を行った。
子供には過酷すぎる戦闘で限界まで身体をいじめ抜き、現在の戦闘力はなんと10,000。まだまだ不足な部分は多いが戦闘力だけで見たら十分にフリーザ軍で働けるくらいだ。
「今なら宇宙でも大半の奴らには勝てるだろうな。…なぁ悟飯よ」
「なんです?」
「君、将来の夢とかある?」
「偉い学者さんになる事です!」
「うん、いい夢だ。そんでもし良かったなんだが……」
トスカーが少し言い淀むが、意を決して言った。
「もしその学者になったら、うちで働いてみる気はないか?戦闘力は申し分ないし、うちはいつでも人を募集してるからさ」
「え!?そ、それは…」
「そりゃいいべ!悟飯ちゃん!OKするだ!」
「お待ちなさい」
悟飯が悩んでいると会話を割り込むようにフリーザが入ってきた。
「兄さんばかりに有能な人材を取られる訳にはいきませんからね、孫悟飯さん?ボクの元で働いてみる気はないかい?」
「え?えぇ!?」
「お、オラの悟飯ちゃんがお偉いさん達から人気者だべ!?」
「あ〜でも待て?子供の頃からこの戦闘力はクウラの大好物だな。アイツも勧誘するんじゃないか?」
「何!?そ、そういえば確かにそうだね…」
「…いっ、いっぱいすぎて選べねぇだぁ……」
「お、お母さん!す、すみません!この話は持ち帰っていいですか?」
「そ、そうだな!流石に急すぎたからな!」
「ですが孫悟飯さん、きちんと答えは聞かせて貰いますからね。あなたはギニュー特戦隊のお気に入りでもあるのですから」
そう話を締めくくり、フリーザは部屋を去る。俺はクリリンと悟飯に今回の作戦の概要を説明する事にした。
「んじゃ、クウラからの報告と照らし合わせて作戦を伝えようか」
まず、俺達がここに来るまでにクウラ軍のメンバーはできる限り抵抗したそうだ。
だがいくら戦闘強者を集めたクウラ軍でも敵のナメック星人相手には分が悪かった。奴らはナメック星人と無理やり同化して強くなっていく。そうなると戦力差も広がっていく。
質も量も相手が圧倒すれば最早通用するのは理不尽な強さを持つ限られた強者のみ。兵士は全員防衛などに回ることになり、クウラや機甲戦隊は相手陣へ叩きに行っていた。
今じゃ生き残っている村なんか数える程。最終防衛ラインは最長老の家の周りで、生き残ったナメック星人達はその周りで生活しているらしい。
そのすぐ近くに宇宙船を停め、俺はクリリン達を連れて最長老の家へ、可能性は低いだろうが門前払いされたら御役御免で俺はフリーザの補助。悟飯達は…隙をついてドラゴンボールを盗むなりなんなりしてくれ。だが入れたらそのまま入れ。俺も残れるならクリリン達に引き続き同行だ。
クリリン達は早急にナメック星のドラゴンボールの使用の許可を得たらすぐに願いを叶える。
「これでOKだな?」
「はい!」
「ナメック星人達がピッコロ大魔王の時みたいにみんながみんな邪悪じゃなくて本当に良かったぜ…」
一応確認が終わった瞬間船内にけたたましい音が鳴り響く。
俺はフリーザの元へ急ぐ。悟飯達も俺の後を付けてやってくる。
「どうかしたか?」
「兄さん、あれを」
モニターに映ってるのは丁度着陸地点…の近くにある村が襲われている映像が映っているのだ。
「これは早急に片付けなければな。ターレス」
「へっ!やっと出番か」
「そうだね、ギニュー隊長」
「はっ!なんなりとご命令を!!」
「「命令は1つ、殲滅だよ」」
「イイねぇ…シンプルなのは大好きだぜ?」
ゴキゴキと首を鳴らして好戦的な目をするターレス
「全力で取り掛からせて頂きます!」
いつもより軽快なファイテングポーズを決めてコンディションを整えたギニュー
フリーザ兵はクウラの兵士より戦闘力が弱いので、今回は彼らのチームのみが出撃する。
そんな2人にフリーザは満足気に頷き、すぐさま命令を出す。
「目的地にそのまま降りなさい。えぇ、彼らは敵ですので潰しても構いませんよ?」
「おぉ〜怖い怖い」
作戦開始までもうすぐ…………
「え…援軍っすーー!」
「…んぅ?トスカー様?と…フリーザ様?」
村でナメック星人を守っていたピーマは空から飛来する宇宙船に喜びの声をあげた。
パプリは目を擦りながら空を見上げてそのまま片手に掴んでいた敵のナメック星人の頭を握り潰した。
敵のナメック星人達も空からの宇宙船に対処出来ず、そのまま潰される者や動けない者もいた。
ズズゥゥゥン……と宇宙船が降り立ち、そのまま上部ハッチと正面ハッチが開く……
敵のナメック星人も、クウラ軍も、村のナメック星人達も何が始まるのか固唾を呑んで見守っている。
…………その隙が、敵のナメック星人に大きな被害を出すことになった。
「リクーム…ウルトラァ…」
「イレイザーーガン!!!」
正面ハッチから極太のビームが放たれ直線上にいた敵のナメック星人達は消し炭となった。
リクームの攻撃が開戦の合図かのように上部ハッチと正面ハッチからそれぞれ飛び出してくる。
「行くぞぉぉ!!ギニュー特戦隊!!ファイト!!」
「「「「「おーーーー!!!」」」」」
正面ハッチから飛び出して来たのはギニュー特戦隊。飛び出しながらも華麗にポーズを決めて見事注目を集めていた。
「じゃ、俺達も自由にやらせて貰うとすっかなぁ!!」
「「「「おうっ!!」」」」
「ンダッ!!」
そして統率が取れた連携なんてものはないと言わんばかりに各々が好きなように好きな方向の敵を倒しに行くクラッシャーターレス軍団。
フリーザ、トスカーそれぞれの最強のチームがナメック星で暴れ始めた。
「……よし、行くぞ!」
「待っててね!お父さん!ピッコロさん!!」
そして、トスカー達もすぐさま行動を開始した。
ナメック星人と、敵のナメック星人じゃややこしいからさ、誰かスラッグ陣営のナメック星人の名称考えてくれません?なんかいいなぁとかしっくりくるかもって案来たら搾s…もとい有難く使わせて頂きます。