heartbreaking.

中年の末路とその記録

中年の孤独

この間はうっかり休日の昼時にカウンター席のないガストに行っちまった。家族連れの多い中で一人でハンバーグ食ってる俺がそんなに面白いのか。見るハラを犯されている不快感はそれが妄想だとしても断じて赦すことはできない。そして俺は誰かの幸せお披露目会を一方的に浴びせられるだけの惨めな自分になるためにここまで生きてきたわけじゃない… 去年の暮れに借金が300万まで膨れ上がったので一人で田舎に出稼ぎに来ている(恋人は置いてきた)。ガストすら遠いとんでもねえ田舎に暮らしている。

一人でいる人間をジロジロ見るハラしてくる家族連れに「365日の紙飛行機」を聴かせてやろうか。俺がどこをどう飛んできたのか教えてやろうか…ガストの店内を支配する主人公になっているお前自身は満足していても、気付かぬまに大事なものを失っている。それは俺が感じている「お前らの価値」だ。

老いた自分の失敗をもう誰も赦してはくれない、失敗すればこの世界にこの魂が殺される、。それくらいの覚悟で田舎を飛び出して→田舎に出稼ぎに来た。こんな残酷に不平等な世界で、借金を返すためだけに生きているようなものだ。

アラフィフになると恋愛でも仕事でも自分という人間はとにかく必要とされてない。

好きになってほしいわけじゃない。特別になりたいわけじゃない。

ただ、ここに居ることに気付いてくれるだけでいい。

喧騒の中で何処にもいない自分を探す。なんでこうなっちまった…ガストの中では俺の存在はなかった(もうガストはいいだろ)

そして止めを刺してくるのが老いで、自分に卑屈になればすべてが歪んで受け止められる。

アラフィフになるといままでのように上手くいかないこと各段に増えてくる。そして自分が主役になることは未来永劫訪れないことを強く感じる瞬間がほぼ毎日のように起こるので、楽しい気分を維持することが難しい。

過去を押し殺し、……インターネットがなかったら多分死んでいる。

時代の変化も待ってはくれないので焦っている。子供もいないので若者の情報がとにかく入ってこなくて職場の若者から得られる話だけがリアルな情報だ。10年単位で世界は劇的に変化する。まるで違う世界の中を歩いているみたいだ。自分を服や靴に閉じ込めて、どこまで虚勢を張っていられるだろう。もし丸裸だったらものすごく弱い。最初から全部やり直してもっと明るい光の中へ飛び込めるなら、俺は今あるなんだってきっと捨てられるだろう。それ程価値のないものに価値を過剰に見出そうとしてもがいて生きているだけだ。

恋愛でも仕事でも、老いるほどに言葉は価値を失っていく。かといって若い人と話し、調子に乗りすぎると自分が道化師に感じられ、後で酷く反省することも増えてくる。

アラフィフかそれ以上の年齢が若い人に無理して混じろうとすると痛々しいことになる。おそらく自分より若い人にこの存在はあまり必要とはされていないので無理して輪に入ろうとせず、話しかけられた時だけこの口を開くようにしている。

格好悪いと思うのがただ年上なだけで勘違いをして最初から若い人に対してため口で話すような中年で、そういう中年は若かりし頃の武勇伝や「自分が(本当は)悪かったこと」を話すことを格好いいと勘違いをしているのですよね。そりゃ言いたいのもわかるけど、いまの非正規雇用の結果が目の前の若者に見えているたった一つの真実なので、過去にカッコ付けても意味ないんですよね。

若い頃にチヤホヤされた経験が一度でもある人間ほどそのギャップに耐えられない。抗えない容姿の衰えに直面する中で、若さゆえの煌びやかさを目の当たりにすると頭の先から自分が消滅してしまうような危機感を感じるときもある。

若いからどうにかなっていたことに甘んじて具体的な努力を継続することなく生きていると、中年になって誰にも見向きもされない空気みたいな奴が完成する。それが俺だ。

世の中には色んな輪が形成されている。その輪の中に入れないのか、入ろうとしないのか、素直になれないときは道端に生えてる雑草とシンクロしている。あの草になりたい…こんな悲しい気持ちでこれ以上孤独感を必要としていない。

この世界に繋ぎとめるものがあるのかないのかよくわからない。親も恋人もこの歩んできた人生に対する答えとしては脆弱で、たとえばつらい過去の話を避けられている状態のまま無償の愛を与えられてもこちらは完全に心を開くことは難しい。知って愛するのと、知らないで愛するの、どちらが優しいのか。過去によってその人が形成されている以上その事実を避けることはできないのではないか。

欠けたままのピースが埋まらないままで生きていると、全部受け止めてくれる人でないと無理になってくる。それを達成した人はいまだ一人もいないことはこの世界の人間関係の脆さを顕わしている。

だけどここで諦めてしまったらお化けになることもなく自分は消えるので、他の誰のためでもなく自分のために模索してゆかなければならない。

これまでのことはもうどうにもならないので諦めるしかない。諦めないのなら自分を傷付けた相手を殺すしかなくなる、でも人を殺すことによって自分の価値を傷付けるよりは、ずっと我慢して生きていたほうがいいんだろうか。黒い心に支配されそうになるたび未だ答えは出てこない。

これからの答えは全部自分の中にある。老いる容姿よりも大事なものを掴むためにこれからも自分自身の心に向き合いながら生きてゆこうとおもう。