法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

写真一枚で大統領にふさわしいと感じることと、切り抜き動画で都知事にふさわしいと感じることに、どれくらいの違いがあるのだろう

米国大統領選でドナルド・トランプ氏が銃撃される直前に、ジョー・バイデン氏が銃規制の必要性をうったえていたことは、危機管理能力の高さではないのか - 法華狼の日記

銃撃事件を受けながら拳をふりあげるトランプ氏の写真をもって、大統領にふさわしい人物であるかのような印象論が流れている。
[B! アメリカ] In pictures: Trump injured in shooting at Pennsylvania rally | CNN Politics

都知事選2位の石丸氏、なぜ「受け皿」に? 選対事務局長が語る理由 [東京都知事選2024]:朝日新聞デジタル

 街頭演説を200回超やったが、特徴的なのは、細かい政策を全く言わないことだった。自己紹介を言い続けた。「小さな問題はどうでもいいんだ」といって「政治を正すんだ」という話をずっとやり続けた。それでも来る人の8、9割は「すごい」と言って帰っていく。

 もちろん上記の出来事ふたつにさまざまな違いはあるが、どれほどの距離があるのだろうとは思っている。
 流血しながら格好良いポーズで撮影されることだけが評価の基準になるのはプロレスラーだろうし、切り抜き動画で再生数を稼いでマネタイズをするだけならユーチューバーになればいい。どちらの基準も政治家につうじるところはあるにしても、それが政治家になるべき基準のすべてではないはずだ。


 暗殺*1を生きのびた強運が最高権力者にふさわしいという観測もある。
《トランプ前大統領銃撃事件》「暗殺から助かる強運」「暴力に屈せず戦う姿勢」アメリカ国民が求める強いリーダー像を見せたトランプに“風”は吹くか? | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け

トランプ氏の一連の対応について、「アメリカ国民に訴える力は大きい」と指摘するのは『Z世代のアメリカ』などを著書に持つ、アメリカ政治外交が専門の同志社大学大学院・三牧聖子准教授だ。

「暗殺から助かる強運や、窮地において強さと冷静さを見せた姿勢は、移民問題や戦争など国内外で『アメリカは危機にある』との感覚を強めてきたアメリカ国民が求める強いリーダー像に合致します。党大会直前に起こったこの事件は、トランプ氏のもと支持者をさらに団結させるでしょう」(三牧氏)

 ならば42回もの暗殺計画*2をかわしきって戦争を限界まで続行して、限界まで戦争を続行して自死した総統はどうなのだろう。戦争のさなかに先に病死した大統領より最高権力者としてふさわしいのか。政治家を選ぶにおいて他の基準は考えられないのか。
『ワルキューレ』 - 法華狼の日記
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』 - 法華狼の日記

*1:現時点で判明している容疑者のプロフィールから判断するかぎり、そもそも無差別な銃乱射事件だった可能性もありそうだが。逆に白人男性の共和党員が命がけでトランプ暗殺をおこなおうと思いつめたのであれば、2020年に注目をあつめた「インテリや金持ちやエスタブリッシュメントがバイデンについた」「彼等はトランプを支持するような粗野で垢ぬけず育ちが悪く学歴の低い田舎者をまとめて卑しむ」という対立構図が実態とは異なっていた可能性を示唆する。米国大統領選を世帯収入で見ると、ドナルド・トランプ氏の支持が過半数を超えたのは10万ドル以上だけ - 法華狼の日記

*2: