プロフェッショナルとして活躍するための「3つのスキル」と「5つのスタンス」
風音屋(@Kazaneya_PR)では、カジュアル面談や採用面接の際に「ソフトスキルよりもハードスキルのほうが重視されますか?」と聞かれることがあります。よくある誤解ですが、答えは「NO」です。両方を重視しています。
この記事では、風音屋カルチャーの根幹である「プロフェッショナル・マニフェスト」をご紹介します。「まさに自分が日々大事にしていることだ」といった共感や、「自分のキャリアに足りないのはこれだったのか」といった気付きに繋がればと思います。
「3つのスキル」と「5つのスタンス」
風音屋は、プロフェッショナルとしての約束事「プロフェッショナル・マニフェスト」を掲げています。このマニフェストの核となるのが「3つのスキル」です。そして、3つのスキルを伸ばすための土台が「5つのスタンス」となります。
【3つのスキル】
3)依頼者の目的に沿ってプロジェクトを定義し、推進する(Project Skill)
2)自身の専門分野における頻出手法を学ぶ(Technical Skill)
1)日々の生活リズムと心身の健康を整える(Human Skill)
【5つのスタンス】
1)早期に成果を挙げ、成果によって次の機会を引き寄せる(Quick Win)
2)TakerではなくGiverとして振る舞う(Add Value)
3)頻繁かつ丁寧にコミュニケーションを取る(Build Trust)
4)期待されるQCDSを達成する(Deliver Result)
5)フィードバックを与え合い、改善サイクルを回し続ける(Keep Growth)
「3つのスキル」の順番が「3→2→1」になっている理由は後述します。
きっかけはアルバイトに伝えたアドバイス
風音屋という会社は1人の週末副業から始まっています。
自分の知識や経験を活かして、沢山の人たちの役に立ちたい。
複数の企業を支援することで、社会に広く貢献していきたい。
そういった想いを込めて風音屋という会社が設立されました。
風音屋がまだ社員を採用していなかった頃、アルバイトスタッフのキャリア相談に対して「こういうことを心がけてほしい」「こういうメンバーが集まる場所にしたい」と話しました。その話が「プロフェッショナル・マニフェスト」の原型となっています。
風音屋という会社の根底にあるのがプロフェッショナル・マニフェストなのです。
1人のプロが社会を支えるための「3つのスキル」
プロフェッショナル・マニフェストの核となるのが「3つのスキル」です。「Technical Skill」以外にも「Project Skill」と「Human Skill」も含まれています。Technical Skillはハードスキルに近く、Human Skillはソフトスキルに近いと言えます。Project Skillはハード・ソフト両方の性質を有しています。
これら3つのスキルは、いずれも訓練によって習得可能なスキルです。例えば「モチベーションに波がある」「モチベーションに左右される」は「個人の特性」ではなく「モチベーション管理」というスキルの不足だと判断します。
1)心身の健康を保った上で、2)必要な専門知識を身につけ、3)プロジェクトで成果を出していく、ということで【自分 → Human Skill → Technical Skill → Project Skill → 顧客 → 社会】という流れを想定した書き方になっています。1人のプロフェッショナルとして社会を支えていくわけなので、「自分」を下に、「社会」を上に置いています。
私たちは「エキスパート」(特定分野に詳しい人材)ではなく「プロフェッショナル」(顧客に価値提供する人材)を重視しています。Technical Skill が高くても、それ以外のスキルが不足している場合は「見習い」という扱いになりますのでご注意ください。
3人のマネージャー、3つのマネジメント
プログラミングが得意であっても、スケジュール管理が苦手な場合、「プロジェクト推進のスキルが低い」ということになります。その人が成果を出すためには、苦手な部分を補うために周囲のサポートが必要となります。
3つのスキルのどれが不足しているかによって、必要な支援は異なります。Project Skill が不足している場合はプロジェクトマネージャーによる支援(Project Management)、Technical Skillが不足している場合はシニア専門家による支援(Technical Management)、Human Skillが不足している場合は人事担当や担当マネージャーによる支援(People Management)が必要となります。
「3つのマネジメント」は互いに利害対立することがあります。1人のマネージャーが3種類のマネジメントを同時に担おうとしても、利害調整の難易度が高く、マネージャーに過剰な負担がかかってしまいます。「3つのマネジメント」の担当者を分けることが、持続可能なマネジメント体制構築の鍵です。そこから逆算して「3つのスキル」を分けています。
3人のマネージャーの利害対立
例として、Project Management と Technical Management が利害対立するケースを挙げてみましょう。
プロジェクトの納期が迫っている場合、プロジェクトマネージャーは「システム設計は妥協していいからまずは作業を進めよう」と伝えるでしょう。
反対に、シニアエンジニアは「早いうちに◯◯を考慮しておいたほうが後で絶対にラクになる」「今のうちにやっておいたほう良い」とアドバイスするかもしれません。
次の例は、Project Management と People Management が利害対立するケースです。
プロジェクトマネージャーとの相談の場では「スケジュールに遅延している」「◯◯日までに必ず◯◯を達成しなければいけない」といった会話をしているとしましょう。
一方で、エンジニアリングマネージャーや人事担当との相談の場では「新しいことを一気に勉強して大変だから仕事のペースを落としたい」といった相談になるかもしれません。
プロは自分の仕事をコントロールできる
3つのスキルを身につけていれば、このような利害対立を回避し、自分の仕事をコントロールできるようになります。
Project Skill:早い段階で関係者に相談して、スケジュールの遅延前に軌道修正を行う。
Technical Skill:難易度の高いシステム設計をスムーズに完了させる。
Human Skill:気持ちを切り替えて週末に体力・精神力を回復する。困難を前向きに楽しむ。
スキルが高い人材は、仕事の依頼者から見たときにコミュニケーションコストが低く、安心して仕事を任せることができます。周囲から「まさにプロフェッショナルな人材だ」「この人の提案は積極的に受け入れよう」「この人の相談なら積極的に聞こう」といった評価になるでしょう。いっそう働きやすくなり、いっそう成果を出しやすくなり、いっそう評価を得られるようになり、好循環が回ります。
反対に、これらのスキルが低い場合は、仕事の依頼者にマネジメントコストがかかってしまいます。周囲からは「仕事をお願いしても費用対効果が悪い」「あくまで1人の作業スタッフに過ぎない」「言われたことを言われた通りにやってもらおう」という位置付けになってしまいます。いっそう働きにくくなり、いっそう成果を出しにくくなり、いっそう評価を得にくくなり、悪循環に陥ってしまいます。
実践的なスキルを伸ばすための「5つのスタンス」
3つのスキルを伸ばすための土台となる5つのスタンスとして「Quick Win」「Add Value」「Build Trust」「Deliver Result」「Keep Growth」を掲げています。
1)開始から30分〜遅くとも初日には最初の成果を出し、2)相手に価値提供して感動してもらい、3)コミュニケーションを重ねて信頼を積み上げ、4)目標を達成することで社会の役に立ち、5)フィードバックを踏まえて改善する、という仕事の流れをイメージして番号をつけています。
より良い仕事を行うには、プロフェッショナルとしてのスタンスが必要不可欠です。スタンスが伴っていない場合、小手先のテクニックを身につけても、スキルは伸びません。資格を取得したり、ツールの使い方を知ったとしても、生きたスキルにはなりません。
例えば「成果を出す」(Deliver Result)というスタンスがなければ、ツールの知識(Technical Skillの一部)をいくら学んでも、実践的なスキルは身につきません。覚えたてのツールを使うことばかり考えて、目的と手段が入れ替わってしまうからです。
「ツールを導入したけど誰の役にも立たなかった」という人材と、「ツールを導入して100人に使ってもらえた」という人材がいたときに、どちらの人材に「そのツールをメンテナンスするコツ」を聞きたいと思えるでしょうか。どちらの人材が実践的なスキルを身につけていると言えるでしょうか。
5つのスタンスが身についていないと「自分なりに頑張っているはずなのに、スキルを伸ばしているはずなのに、周囲から認められない」といったことが続いてしまいます。精神的な負担がかかり、ストレスで参ってしまうかもしれません。努力の方向性を間違えないためにも、適切なスタンスを身につけることが重要です。
スキルとスタンスを軸にした採用選考や人事評価
人事についてのあらゆる意思決定は、プロフェッショナル・マニフェストにもとづいて行っています。
採用選考(1次面接)で、面接官は「3つのスキル」に点数をつけていきます。
採用選考(2次面接)で、面接官は「5つのスタンス」に沿った質問をしています。
入社後のオンボーディングでは「5つのスタンス」に沿った行動ができているか、毎週チェックシートを記入していきます。
定期的な人事面談では「3つのスキル」をもとに等級(グレード)の評価が行われます。
同じようなことは過去の記事でもお伝えしています。
風音屋では「採用基準」から「給与査定」まで、あらゆる人事面の意思決定が、このマニフェストにもとづいています。プロフェッショナル・マニフェストを意識しながら担当業務を進めることで、仕事の成果も、蓄積される学びの質もまったく異なるものになります。
風音屋では、採用基準も、人事評価も、給料も、このプロフェッショナル・マニフェストに沿って決めています。プロフェッショナル・マニフェストを意識しながら働いてほしいということで、意図的に人事制度に組み込んでいます。
なお、採用募集条件や人事制度は、試行錯誤しながら日々アップデートしています。最新状況についてはカジュアル面談でお問い合わせください。
スキル習得の手引き:112冊の課題図書と実践研修「KDEC」
風音屋では、これらのスキル・スタンスを身につけていただくために、実践研修「KDEC」、112冊の課題図書、OJTメニューといったトレーニングを提供しています。
まだ試行錯誤を続けているフェーズではありますが、参考までにぜひ過去の記事を見ていただければと思います。
■ 112冊の課題図書
■ 実践研修「KDEC」の体験記事
私たちの仕事は沢山の人生を背負っている
なぜ我々がここまで(狂信的とも言える極端さで)「プロフェッショナルであること」を重視するのか。代表ゆずたそ(@yuzutas0)は、これまで同じような話を各所で繰り返してきました。主に「データ分析」について述べていますが、他のあらゆる業種や職種についても同じことが言えるでしょう。
日本社会が災害・事故に対して取り組みを進める中で、我々には何ができるでしょうか。(中略)私たちの仕事によって沢山の人たちを救うことができるかもしれません。 私たちの仕事が巡り巡って10年後に1人の人生を救うかもしれません。
逆も同じです。「数字がズレていた」「リストの抽出条件に誤りがあった」「データ連携が遅延していた」「作業に手戻りがあって見積もり通りに終わらない」「依頼事項と違う作業をしていた」など、私たちが仕事を上手く進められないとどうなるでしょうか。 救えたはずの人を救えなくなってしまいます。1つの小さなミスが、1人の人生を奪うかもしれません。
いざというときにベストを尽くせるのは、普段からベストを尽くしている人だけです。 普段からベストを尽くしている人、いつでも安定して成果を出せる人をプロフェッショナルと呼びます。
私たちもこの社会の一員です。日本中の人たちがデータを見てビジネスを改善できるようにお手伝いをしています。 物件の耐震工事や自動車の走行経路が1つ違うだけで、人の命が救われることだってあります。 そういった意思決定をするために人々はデータを頼りにします。私たちの仕事が意思決定を左右します。 私たちは社会をより良くするために仕事をしています。その貢献の対価としてお金をいただいています。
「データ」というのは意思決定を支える武器です。 意思決定が間違ったら、10万人以上の顧客、100人以上の社員、世界中の投資家、その家族など、沢山の人々の生活に悪影響を与えます。 逆に言うと、良い仕事をすれば、それだけ沢山の人々の生活に良い影響を与えることだってできるはずです。
分析レポートを書いたりプログラムを書くだけなら高校生にだってできます。 わざわざ高いお金を払って仕事をお願いする意味がありません。 沢山の人生に対して責任を持ち、沢山の人生に影響を及ぼすからこそ、その仕事には意味があるのではないでしょうか。
沢山の人生を背負っているから、大変で、つらくて、苦しいわけです。 沢山の人生を背負っているから、期待されて、求められて、評価されるわけです。 沢山の人生を背負っているから、やりがいがあって、楽しくて、面白いわけです。 そういう誇りを持って自分の仕事と向き合い、プロとして振る舞うからこそ、プロとして活躍できるのではないでしょうか。
おわりに
この記事では、風音屋カルチャーの根幹である「プロフェッショナル・マニフェスト」を紹介してきました。「まさに自分が日々大事にしていることだ」といった共感や、「自分のキャリアに足りないのはこれだったのか」といった気付きに繋がればと思います。
風音屋では「3つのスキル」と「5つのスタンス」を身につけられる環境を目指しています。もしこの記事を読んで共感や気付きがあったのであれば、ぜひカジュアル面談をご検討ください。
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