ファンが成長してマウンドに「自分が感動しています」…リアル"フィールド・オブ・ドリームス"のDeNAルーキー石田裕太郎は「緊張しない男」
交流戦中、DeNA苦境の時期に彗星のようにデビューするや、4戦3勝を挙げてチームの復調に大きく貢献するドラフト5位ルーキー、石田裕太郎。「ファンがそのままプロ野球選手になった」青年が、独特な投球哲学とベイ愛を語る(全2回のうち第1回/続きは第2回へ) 【写真】「ほぼ、ただのベイファン?」DeNAドラ5ルーキー石田、指名の喜び爆発から初勝利で三浦番長との感激ツーショットまでを見る 横浜DeNAベイスターズのルーキー右腕・石田裕太郎にとって本拠地である横浜スタジアムは、まさに"フィールド・オブ・ドリームス"だ。 DeNAのお膝元である横浜市中区に隣接する磯子区出身。古くからの横浜ファンである父親から「ベイスターズのファンじゃないと野球をやらせない」と言われたのは、ファンの間では有名なエピソードだ。小学校3年生から野球を始め、同時にハマスタへ足繁く通いベイスターズを応援した。憧れた選手は筒香嘉智と山﨑康晃だ。
「マウンドに立っただけで感動でした」
スタンドで選手たちのプレーを興奮して見つめていたベイファンだった少年は、いつしかハマスタのマウンドに立ち、横浜ブルーのユニフォームを身にまといDeNAの戦力として腕を振っている。なんて夢のある話だろうか。 プロ初登板となった6月9日のソフトバンク戦。舞台は聖地ハマスタだった。そこで見て、感じた光景を石田は感慨深い表情で語った。 「投げる前、マウンドに立つと大歓声が沸いたんです。ファンの方々に対し、すごくありがたいなと思いましたし、自分が目指してきた場所というか、想像してきた舞台で野球をやることができる。そう考えただけで、すごい感動でした」 現在、首位争いをしているDeNAにとってこのソフトバンク戦は、今思えばターニングポイントとなった試合だった。この時点でチームは4連敗を喫し、借金は今季最多の6に膨らんでいた。シーズンを見据える上で非常に厳しい状態にあり、ここで経験の乏しいルーキーの石田の起用は荷が重いと思われた。ましてやパ・リーグ最強のソフトバンク打線が相手であり、過度の期待は禁物だった。 だが、そんな外野の心配はどこ吹く風。石田は泰然自若として、初登板に備えたという。 「連敗していましたし、ここで抑えることができたらすごいなってぐらいの気持ちだったんです。正直、勝てるとは思っていなかったですし、5~6回を3失点ぐらいで行ければいいなって。それぐらいの気持ちで臨めたのが結果的に良かったのかもしれません」