超過死亡。インフルエンザ流行の評価で生まれた概念だと思います。

平たく言えば、毎年同じ時期には、概ね同じ様な死亡者が発生する。統計資料をみれば、規則的な波打ちが出ていることが判る。これは日本のように四季がある国では特に目立つ現象。冬は死亡が多く、夏は少ない。インフルエンザの大流行が発生すると、インフルエンザに留まらず、元々持っていた基礎疾患が悪化して無くなる人が増え、大流行のないシーズンと比べれば死亡者が増える。死因報告には載りにくい、インフルエンザ関連死がどのくらい発生しているかの指標として意味が出る。 

広域の異常気象(熱波、寒波)や、地震・津波のような大災害、戦争でも地域限定で超過死亡が発生したりするので、そのような別の因子の除外は必要となりますが。

2020年、2021年と、インフル流行はほぼなく、コロナも小規模に抑制し、超過死亡はこの2年とても少なく切り抜けてきた日本ですが、2022、オミクロン株に切り替わった頃から雲行きが怪しくなりましたね。

さて、普通に疫学研究の基礎知識をもちつつ医療を行っている側の感覚なら、超過死亡増加はコロナパンデミックの産物以外の何ものでも無い、がシンプルな答えだと思います。なによりも、信頼性の高い統計資料に基づく研究報告がその根拠ですね。

が、昨年ワクチン接種開始から暫くしてネットで度々囁かれるミーム。

超過死亡の原因があのmRNAワクチンにあるってヤツ。

いや、何じゃそれ、どうなん?って聞いたときに思いましたよ。

超過死亡の閾値って、基本的に統計でいうところの95%信頼区間なんで、平常時よりもかなりの割合で死亡数が発生していることを意味します。

そんなに大きな変動幅が出るなら、数万人レベルの参加者による無作為化比較対照試験でも超過死亡が出ると考えるのが普通ですが、まずはそこから否定されますね。 

承認後に市販後に世界各地で行われてる、接種者・非接種者のその後を追跡したコホート研究でも、接種者に死亡が多発しているなどという信頼性の高い研究はタダの1つも出ていません。 一方、非コロナ疾患の死亡に有意差なし、との論文報告は多数でていますね。

日本に限らずどんな国でも、接種が盛んに行われた時期に、ほぼ一致して規則的な死亡増加が確認されなければなりません。国内なら都道府県にかかわらず接種が盛んにおなわれた時期はほぼ一致しているので、ワクチン由来だというならば、どの都道府県にも規則的な超過死亡増が見られなければならない。 そんなの直ぐに確認できるのですが、各県の超過死亡に接種時期に一致した明確な規則性などからっきし見えてきませんネ。

ワクチン接種の時期と死亡増加の時期がほぼ同期してるじゃないかなんていっても、流行期の手前から接種がさかんになるのは人情、流行し始めると皆が接種に積極的になるから、一部の流行の激しい地域のグラフだけ切り取っても、それで全てではない。むしろ接種率の高い地域の方が、超過死亡は確実に少ないとする解析が直ぐできます。

もう一ついえば、超過死亡発生が激しいなら、ほぼ確実に寿命短縮が発生するでしょう。 

(新型コロナパンデミック、世界ではマジで寿命が縮む現象が見えてるんですよ)

なら、mRNAワクチンを積極的に展開し、接種率を高めた国の方がひどい寿命短縮が発生しなければなりませんが、これが実データでいとも簡単に否定できます。インターネット万歳です。

2020年、日本よりもはるかに大きな感染爆発に見舞われた代表国、英国、米国、イスラエル、イタリアなど欧州主要国はいずれも明確な寿命短縮が発生しました。これらの国々は2021年にはいってから積極的にmRNAキャンペーンを展開。その結果2021は前年と比べ寿命短縮が低下、もしくは反転していることが判ります。 

mRNAワクチンが、2021年のこれらの国々の新型コロナによる超過死亡減少に大きく寄与していることは間違い無いといえるなによりの根拠でしょう。

life-expectancy (1)


さてさて、mRNAワクチンを積極的に使わずとも2020-2021を寿命短縮をなく乗り切った数少ない国の1つがあの中国ですね。北京の2022冬のオリンピックの時も、中国政府はコロナに勝利宣言を出したりしてましたね(遠い目)。

中国政府は欧米からあったmRNAワクチン援助の申し出を断り、ゼロコロナ政策事実上の撤回の後に、自国の不活化ワクチンでオミクロン株亜種、BA.5.2やBF.7に立ち向かっていますが、冗談抜きに有史以来地上最大規模の感染爆発に見舞われています。 あ、人口規模的にインドの2021年夏に近いか。

まあ、普通に考えれば、2023の中国の人口統計では、過去40年に一度もみられなかった、大きな寿命短縮が出る可能性が極めて高いでしょうね。

その結果が出るのは2年位先の話ですね。是非、思い出して確認してみたいですね。

p.s. ワクチンの集団の利益はさておき、個人では接種をしないほうがいい少数の方が存在することもまた事実です。少なくともワクチンの成分に酷いアレルギー反応を生じる人は、接種を回避しなくてはなりません。 これが、ワクチンは公的に推奨はされていても、強制には決してならない、なりえない最大の理由です。ワクチンの受け入れの最終判断は、個人の手に委ねられています。信頼性の高い情報を元に、自分にとって必要か否かを自己責任で決めるのが大人です。同調圧力など気にする必要はないですね。