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2023/05/03

Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(の中間報告)

Seeed XIAO BLE Senseを使ったセンサ端末を雑にエネループで動かしたら悲惨だったのでちゃんと考えたら、2本で1年はもちそうになったというお話です。結論が出るまでかなり時間が掛かりそうなのですが、面白かったので中間報告します。
Senselog1

切手サイズでCircuitPythonやArduinoによるBLEセンサ端末が開発できるSeeed studioのXIAO nRF52840 Senseを愛用しています。以前こちらのブログでAndroid電子書籍ページめくり機の作例を紹介しましたが、その際にリチウムイオン電池駆動における注意点について書きました。簡単にまとめると、電池入力端子VBATに3.6V以上掛けるとSoCの絶対最大定格超えになり得ることを考慮した設計が必要だということです(絶対最大定格は「一瞬でも超えたら保証しない」レベルなので、本来はこれでもNGです)。

長時間駆動させたいセンサ端末を検討していて、電池交換を簡単にするためにNiMH充電池(エネループ)を使いたくなり、とりあえず秋月電子さんの5V出力昇圧DCDCコンバーターを使ってみることにしました。まずは1900mAhのエネループを2本直列にしてDDコンで5Vに上げてXIAOの5V入力(VBUS)に繋いで動かしました(なお、3V3端子は出力なので電池を繋いではいけません)。回路図はこんな感じです。センサはリードスイッチとXIAO内蔵IMUを使っています: Senselog2
すると動作はするのですが、電池が3日しかもちません。5V端子電流を簡単にモニターしたところ、スリープ明けなどに約8mAと結構大きな電流が流れていて、SoCのUSBコントローラなどが動いているようです。また、使ったDDコン(XCL102)のデータシートを見直すと低電流領域の効率がとても悪い。さらに、SoCはXIAO内蔵のドロップダウンレギュレータを通して動いているので効率は高々100*3.3/5.0 [%]と電池駆動には厳しいところです。

ここで、XIAO BLE Senseを買ってすぐにあれこれ確認していた頃のことを思い出しました。VBAT端子を使う場合2.5Vぐらいまで動くのです:
Senselog3
であれば、3Vぐらいの高効率なDDコンがあれば、それをVBATに繋いで動かすと電池寿命を伸ばせそうです。果たして、秋月電子さんにXCL103を使った3.3V出力昇圧DCDCコンバーターがありました(3.3Vなら絶対最大定格問題もありません)。作り替えたものの回路図はこんな感じです:
Senselog4
なお、AE-XCL103の取説に「ピン配置は AE-XCL102 互換です」とありますが、実際には左右反転です:
Senselog6
(写真は秋月電子さんの取説から)

ビフォー&アフターの電池残量ログです。VBATにXCL103の3.3Vを入力した方は、33日経ってもまだエネループの公称電圧(1.2V)まで落ちていません。
Senselog1
(再掲;同一スケールで重ねたもの)
Senselog5a
(横軸を150倍変えて重ねたもの)

ここまでで、150倍ぐらい長持ちしています(1.29Vで0.21:32.0 [days])。電池電圧が下がるにつれてDDコンの効率差が見えてくるなら倍率は増えるでしょうし、時間が経つにつれて自己放電が見えてくるなら倍率は落ちるでしょうし、それ以前にどこかが壊れるかも知れません。楽しみです。

ちなみにXCL102はPWM固定制御、XCL103はPWM/PFM自動制御です。PFMだとスプリアスの立つ場所が変わるのが嫌で無線に使うのを思わず避けていましたが、結果的に問題ありませんでした。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

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