【速報中】トランプ氏「私は屈しない」暗殺未遂事件で捜査

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アメリカ東部ペンシルベニア州での選挙集会でトランプ前大統領が演説中に銃撃され、右耳にけがをしました。警護にあたるシークレットサービスは集会の参加者1人が死亡、2人が重傷だと明らかにし、会場の外から発砲した容疑者を殺害したということです。

アメリカ東部ペンシルベニア州で13日午後6時すぎ、日本時間の14日午前7時すぎ、トランプ前大統領がみずからの選挙集会で演説を行っていたところ、複数の発砲音が聞こえました。

トランプ氏は演台の下にしばらく伏せたような格好になったあと、警護にあたるシークレットサービスに支えられながら会場から退避しました。

事件のあと、トランプ氏は自身のSNSに「銃弾が右耳の上部を貫通した。多くの出血で何が起きたか分かった」と投稿しました。

また、トランプ氏の陣営は「トランプ氏は元気だ」としています。シークレットサービスは声明で集会の参加者1人が死亡し、2人が重傷だと明らかにしました。

また、容疑者は集会の会場の外にある高い場所からトランプ氏が演説していたステージに向けて複数回発砲したということで、シークレットサービスによって殺害されたということです。

FBI=連邦捜査局などが詳しい状況について調べを進めていて、アメリカのメディアはトランプ氏に対する暗殺未遂事件として捜査が行われていると伝えています。

また、ABCテレビは捜査当局者の話として、銃撃にはライフル銃が使われ、会場に隣接した建物の屋上から発砲されたとしています。

秋のアメリカ大統領選挙で返り咲きを狙うトランプ前大統領を狙ったとみられる銃撃事件が起きたことで、アメリカ社会に大きな衝撃が走っています。

【ノーカット映像】複数の発砲音 退避するトランプ氏

ペンシルベニア州の選挙集会では、NHKのクルーがカメラ撮影のために設けられた壇上から撮影を行っていました。

トランプ氏の演説が始まってから10分ほど経った時に銃声が断続的に10発ほど聞こえ、トランプ氏はステージで倒れ込みました。

すぐにトランプ氏の警護にあたっていたシークレットサービスが次々と伏せたトランプ氏のもとに周辺を囲むようにして駆け寄ります。

トランプ氏はおよそ1分間演台で伏せましたがシークレットサービスに抱きかかえられるようにして立ち上がりました。

この時、右耳からは血が流れているのが確認でき右ほおにも血がついているのがわかるほか伏せる前はとめられていたワイシャツのボタンは開き、かぶっていた赤い帽子もしていません。

そしてトランプ氏は何かを口にしながら、複数回、拳を上げたり、手を振ったりする仕草をみせると、演説を聴きに来ていた聴衆は歓声に包まれ、トランプ氏はシークレットサービスに支えられながら会場をあとにしました。

トランプ氏は車に乗り込む直前にも聴衆のほうを振り向くようにして拳を上げました。

シークレットサービスの責任者は、SNSにメッセージを投稿し「シークレットサービスがトランプ氏を保護する対応をとった。前大統領は無事だ」と明らかにしました。

また、トランプ氏の陣営は「トランプ氏は元気で、地元の医療機関で検査を受けている」と明らかにしました。

FBI 暗殺未遂事件として捜査 容疑者は20歳の男か

FBI=連邦捜査局とペンシルベニア州の警察は記者会見を開き、今回の事件についてトランプ前大統領に対する暗殺未遂事件として捜査していることを明らかにしました。

会見ではトランプ氏を銃撃した容疑者について男だと明らかにしたものの、名前や年齢などの人定については確認中で、発表できる段階にないとしています。

また、動機やほかに関わった人物がいないかどうかについても捜査中だとしています。

さらに事件に巻き込まれて死亡した1人と大けがをした2人は、いずれも成人の男性だということです。

一方、アメリカの複数のメディアは捜査当局者の話として容疑者は地元ペンシルベニア州に住む20歳の男だと伝えています。

トランプ氏が支持者らにメール「私は決して屈しない」

トランプ氏は、銃撃されて負傷したあと、支持者らに宛ててメールを送りました。メールには「私は決して屈しない」というメッセージが書かれていて、自身の写真と署名が載せられています。

当時の状況は

現場に居合わせたNHKの職員は、およそ50メートル離れた場所からトランプ氏の演説を聴いていました。突然、花火のような音が5、6回聞こえ、音がした方を見ると人々が走って逃げている様子が確認できたということです。

「伏せろ」という声が聞こえたため、うつ伏せの状態で携帯電話での撮影を始めました。

映像には、多くの人が芝生の上にうつ伏せになって身を守ろうとしている様子や、複数の警察官が大きな声を上げながらやりとりをしている様子などが映っています。

警察官とみられる人に現場から出るように言われ、会場を出る際には、救急車や搬送用とみられるヘリコプターが確認できたというとです。

目撃者「ライフル銃の男が屋根の上に」英BBC

イギリスの公共放送BBCは、トランプ前大統領が演説を行う数分前にライフル銃を持った男が集会会場のすぐそばにある建物の屋根の上にはい上っていく姿を見たという男性の話を伝えています。

「トランプ」と書かれた赤いサンバイザーをかぶったこの男性は、トランプ氏の演説を聞こうと集会会場の外にいたということです。周囲の人たちとともに近くにいた警察に男のほうを指さしてその存在を知らせたということですが「警察は走り回っていて、『おい、屋根の上にライフル銃を持った男がいるぞ』と伝えても、警察は何が起きているのか分からないようだった」と話しています。そして男性は「なぜトランプ氏は話し続けているのか。なぜ彼らはステージからトランプ氏を降ろさないのかと思っていたところ次の瞬間、5発の銃声が響いた」としています。一連の動きを振り返りながら男性は「屋根の傾斜でおそらく当局は銃を持った男の姿が見えなかったのだろう」とする一方、「なぜすべての屋根にシークレットサービスがいないのか。広い場所ではないのに」と疑問を呈していました。

容疑者はライフル銃で8発を発砲 ABCテレビ

ABCテレビは、捜査関係者の話として、容疑者は会場に隣接する建物の屋上からライフル銃で8発の弾丸を発砲したと伝えています。容疑者はおよそ180から270メートル離れた場所にいたということです。

トランプ氏 SNS投稿「銃弾が右耳を貫通した」

トランプ氏は日本時間の午前9時40分すぎ、SNSに事件後、初めて声明を発表しました。

この中で、トランプ氏は「シークレットサービスやすべての治安当局の迅速な対応に感謝する。亡くなった人や家族に哀悼の意を表する。ひどいけがを負った人と家族にお見舞い申し上げる」としています。

そして「このような行為がわたしたちの国で行われたことが信じられない。死亡した銃撃者について、現時点では何者であるかは分からない」としています。

その上で、トランプ氏は銃撃を受けた当時の状況を振り返り「銃弾が右耳の上部を貫通した。わたしはすぐに何かがおかしいと分かった。なぜならビュンという音が聞こえ、銃弾がわたしの皮膚を裂くのを感じたからだ。多くの出血で何が起きたか分かった」としています。

シークレットサービス「聴衆1人死亡 2人重傷 容疑者1人死亡」

シークレットサービスはSNSを通じて声明を発表しました。

それによりますと会場の外の高い場所からステージに向けて複数の銃弾が発砲され、演説を聴いていた聴衆のうち1人が死亡し2人が重傷だと明らかにしました。

また銃を発砲した容疑者1人が死亡し、事件の捜査が行われているとしています。

米ホワイトハウス “バイデン大統領がトランプ氏と会話”

アメリカ・ホワイトハウスは13日夜、バイデン大統領がトランプ前大統領と話をしたと発表しました。

また、バイデン大統領が13日夜、急きょ予定を変更して東部デラウェア州の別荘から首都ワシントンのホワイトハウスに戻ることも発表しました。

バイデン大統領は引き続きホワイトハウスでトランプ前大統領が銃撃された事件についての報告を国土安全保障省や捜査当局から受けるということです。

バイデン大統領「トランプ氏と話をする予定」

事件を受けてバイデン大統領は日本時間の午前9時すぎ、週末を過ごしていた東部デラウェア州で緊急の会見を行い、「わたしの知るかぎり、トランプ氏は元気だ。まもなく彼と話をする予定だ」と明らかにしました。

そして「現在、徹底的に捜査が行われている」と述べて、事件の全容解明を急ぐ考えを示しました。

そのうえで「アメリカにはこのような暴力はふさわしくなく、不快だ。このようなことを許してはならない。トランプ氏の集会は何の問題が起きることもなく平和裏に行われるべきだった。アメリカにおいてこのような政治的な暴力は前代未聞であり、不適切だ」と述べて事件を非難しました。

記者解説 現地の受け止め 選挙戦への影響は

アメリカ国内の受け止めは?
大変な衝撃をもって受け止められている。事件の動機や背景はまだわかっていないが、政治への暴力を前に、党派に関係なく、共和党支持者も民主党支持者も一様に事件を非難している。
再選を目指すバイデン大統領は緊急の会見を開き、事件を非難しました。また、事件を受けてトランプ氏と話をしたということです。
今は、投票日まで4か月を切った大統領選挙戦はひとまず横に置いて、トランプ氏が無事であったことに皆が安どしているという状況だ。

今後への影響は?
大統領選挙の情勢に大きな影響を与える可能性がある。
アメリカ社会の分断がさらに深まることを心配する声もあがっている。
事件がどのような形でアメリカの政治や社会に影響を与えるかは、現時点ではわかっていない。
事件は、トランプ氏が正式に党の候補者に指名される共和党の全国党大会の開幕を2日後に控えたタイミングで起きた。
共和党の上下両院議員の一部は、トランプ氏がシークレットサービスらに囲まれながら退避する際にこぶしを天に突き上げた様子をとらえた写真を次々にSNSに投稿しトランプ氏の下での結束を呼びかけている。
一方、バイデン大統領は、討論会で精彩を欠いたことで、党内からの強い撤退圧力にさらされていた。この事件がきっかけとなり、民主党の側も当面は、バイデン氏のもとでの党の結束を優先すべきだという声が強まる可能性もありそうだ。
共和党は、党大会は予定どおり実施するとしていて、事件の背景の解明と、党大会でのトランプ氏の発言に、国内外の目が注がれることになる。

トランプ氏 共和党大会出席へ

トランプ陣営と共和党全国委員会は共同で声明を出し、トランプ氏は元気だとしたうえで「トランプ氏は第47代アメリカ大統領に向けて指名を受ける党大会への出席を楽しみにしている」として、今月15日から中西部ウィスコンシン州で開催される大統領選挙の共和党の候補者を正式に決定する党大会に出席する予定に変わりはないことを明らかにしました。

過去にも大統領などへの銃撃事件

アメリカでは、過去にも現職の大統領など政治家が銃撃される事件が相次いできました。

大統領などの警護を担当するシークレットサービスなどによりますと、1963年11月、アメリカの第35代大統領のジョン・F・ケネディ大統領が遊説先の南部テキサス州ダラスでパレードのルートを走行中に狙撃され死亡しました。

1968年6月には、弟で司法長官も務めたロバート・ケネディ上院議員が西部カリフォルニア州で大統領選挙の候補者選びに向けたキャンペーン中に銃撃され、死亡しました。

1981年3月には、第40代大統領のレーガン大統領が首都、ワシントンのホテルのそばで銃撃され、胸部に銃弾が命中しましたが、緊急手術を受けて一命をとりとめる事態が発生しました。

ニューヨーク市警が警備を強化

銃撃事件を受け、アメリカのCBSテレビは、ニューヨーク市警が、マンハッタン中心部にある「トランプタワー」などの警備を強化していると伝えています。

「トランプタワー」のまわりには自動小銃で武装した警察官が配備され、ものものしい雰囲気となっています。

バイデン陣営 テレビ広告など一時停止の方針

アメリカのメディアは、バイデン陣営の関係者の話として、事件を受けて秋の大統領選挙に向けたテレビ広告などを一時、停止する方針だと伝えています。

オバマ元大統領「民主主義に政治的な暴力の余地はない」

オバマ元大統領は13日、みずからのSNSに投稿し「われわれの民主主義に政治的な暴力の余地はない。何が起きたのか、正確にはまだわからないが、トランプ前大統領が大きなけがをしなかったことにみな安どしていて、この瞬間をわたしたちの政治における礼節や敬意を再び確認するために使うべきだ。ミシェルと私は彼の早期の回復を願っている」としています。

ブッシュ元大統領「トランプ氏の無事に感謝」

ブッシュ元大統領は声明で「妻のローラとともに、卑劣な襲撃を受けたトランプ氏が無事だったことに感謝する。そして、シークレットサービスの迅速な対応を称賛する」と述べました。

アメリカ政治の専門家「民主主義にとって危機的な出来事」

トランプ前大統領が集会中に銃撃された事件について、アメリカ政治に詳しい慶應義塾大学の渡辺靖教授は「民主党、共和党問わず選挙活動を萎縮させかねない出来事だ」という受け止めを示しました。

そのうえで「トランプ氏が倒れ込んだのちに立ち上がり、そして拳をあげて健在を示す映像がある。かたや先日の討論会などでも非常に弱々しい姿が目立ったバイデン大統領と非常に対照的で、トランプ氏が自らの強さをアピールすることになると思う」と述べ、「トランプ氏はアメリカの治安を改善する、民主主義を守るというメッセージとして今後この出来事を用いていくことも可能だろう」と分析しています。

さらに背景について「今のアメリカは対立と分断が進んでいて話し合いではなく脅しや暴力に訴えるほかないという雰囲気が漂っているため、暴力に訴えるハードルが非常に低くなっている。最近ではペロシ下院議長の自宅が襲撃される事件も起きていて、アメリカの民主主義にとって危機的な出来事だ」と話しています。

一方、犯行に銃が使われたことについて「今回の件が銃規制強化の話につながるとは思われていない。悪いのは銃ではなくあくまで人間で、むしろその犯人を即座に射殺できたのは銃のおかげだという論調になるだろう」と指摘しています。

そして今後の大統領選への影響については「犯人が誰であれ、トランプ氏への同情が集まり共和党は更に結束する。民主党は、今バイデン氏への撤退圧力も強まっていて1つになれていない。今回の事件は民主党と共和党との違いをより際立たせるものになる」と分析していました。

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