開会式で演奏する埼玉栄高の吹奏楽部の生徒ら=11日午前、県営大宮
「音楽の力を信じている」「心の支えになれたら」。開会式でバックネット裏から力強い音を奏でた埼玉栄高の吹奏楽部1年から3年生の149人。顧問の金井良弘教諭(52)は「一体感のある演奏がしたい。貴重な経験」と思いを込める。金井顧問によると同部は1974年に創部し、全日本吹奏楽コンクールに31回の出場経験を誇る。同部主将でバスクラリネットを担当する3年の愛沢創さん(18)は「県内の野球部の皆さんを勇気づけ、元気を与えられるような演奏がしたい。熱い夏を乗り越える心の支えになれたら」と、額に汗をにじませる。
球児が行進し終えるまでの約30分間、ノンストップで演奏し続けた。選手退場と同時に演奏が終わると開場からは大きな拍手が湧き起こった。副将で3年のフルートを演奏した山本優希さん(17)は「集中力を切らさないように、とにかく主役の球児たちを輝かせられるようにと応援する気持ちだった」と笑顔で振り返った。3年のユーフォニアム担当の磯谷美翔さん(17)は「吹いていて楽しかった。みんな頑張ってほしい。甲子園に行ってほしい」とにっこり。3年のフルート担当の新井煌乃香さん(17)は「吹きながら行進している様子を見ていたがその姿に励まされた」とほほ笑んだ。
開会式後に行われた所沢商業高と羽生第一高などの連合チームによる開幕戦では、多くの人が応援に駆け付けた。高校2年生の次男が、羽生第一高の吹奏楽部に所属している三森和行さん(53)は「高校野球の応援は吹奏楽部の子にとっても晴れ舞台」とし、「連合チームだが、応援の機会があってよかった」と笑顔だった。応援の影響は、野球部や吹奏楽部だけでなく、ほかの在校生にもあると話すのは、所沢商業高で教員として勤務していた江川英輔さん(61)。「応援は野球部と、ほかの生徒の交流の懸け橋にもなっている」と話した。