マイナ保険証なぜ使わない?不人気の理由を聞いてみた 「便利」の声もあるけれど…<あなた発アンケート>

2024年6月23日 06時00分
現行の健康保険証の廃止まで半年を切ったが、マイナ保険証の利用は進まない。
なぜ、こんなにマイナ保険証は不人気なのか。東京新聞は読者とつながり報道する「ニュースあなた発」で、読者らにアンケートを行った。(マイナ保険証取材班)
厚生労働省によると、病院や診療所、薬局でのマイナ保険証の利用率は5月時点で7.73%にとどまる。つまり、マイナ保険証を使わずに受診したり、薬を受け取ったりするケースが、いまだに9割超に上っている。
今回のアンケートでも、マイナ保険証を使っていると答えた人の割合は低かった。
アンケートに回答した538人のうち、マイナ保険証の使用の有無を回答したのは418人だった。このうち82%に当たる341人がマイナ保険証を使っていないと答えた。
マイナ保険証を使わない理由を複数回答で選んでもらった。
最も多かったのは「情報漏えいが不安」の188人。次いで「従来の保険証が使いやすい」(187人)、「メリットを感じない」(178人)だった。
「登録の仕方が分からない」と答えた人は14人にすぎず、多くの人は、あえて使わない選択をしていることがうかがえた。

◆「紙の保険証を残せばいいだけ」

アンケートでは、マイナ保険証を使うことのリスクを指摘する意見が相次いだ。特に目立ったのは、情報漏えいへの不安だった。
「従来の保険証は急な通院も考慮して常に財布に入れているが、マイナ保険証になったらそういう訳にはいかず面倒。また、マイナカード紛失時にも再発行に長期間かかりメリットを全く感じない」(千葉県50代男性)
「情報漏えいも怖いし将来何に使われるかもわからないものを作りたくありません。紙の保険証を残せばいいだけのことです」(京都府50代女性)
マイナ保険証の情報をスマホで確かめ不安をこぼす女性=東京都町田市で

マイナ保険証の情報をスマホで確かめ不安をこぼす女性=東京都町田市で

茨城県50代女性は、マイナ保険証の普及一辺倒の政府に物申す。
「カード自体を作っていません。保険証や免許証と一体化されれば否応なしに持ち歩かなければならず、特定個人情報を持ち歩くことに不安しかないです。なぜ利用が進まないのか、根本的なところを無視して強行しているとしか思えないのが本音です」

◆今も尾を引くひも付けミス

マイナ保険証を巡っては、昨年、別人の情報がひもづけられるミスが発覚。政府は総点検し、対策を講じたとしているが、国民の不安は払拭できていないようだ。アンケートでは、マイナ保険証を使わない理由に、ひも付けミスによる不信感を挙げる意見もあった。
情報漏れのニュースありマイナ保険証使ってません」(東京都40代女性)
個人情報の漏洩問題や入力間違い問題が発覚してから『使ってください』とアナウンスされても、なかなか難しいと思うのが現状です」(東京都40代女性)

◆「こりごり」利用者からも不満

マイナ保険証を使っている人からは、便利になったという声も寄せられた。
「個人的には処方されている薬が多いので、その管理には便利だと思う」(鳥取県40代女性)
「薬手帳が持参してない場合 便利だと感じた」(埼玉県60代女性)
「私は救命センターで事務をしていますが、マイナ保険証の患者さんは自分で顔認証やパスワードにより保険登録をしてくれるので事務としては楽になりました」(埼玉県10代男性)
ただ、マイナ保険証を使っている人からも不満がこぼれる。
「マイナで受付をやったことがあるが、スムーズにいかずやり直してこりごりだ」(千葉県70代以上男性)
「使うたびに4ケタの暗証番号や個人情報についてなどの承諾ボタンをおさないといけないので、急いでいるときや混雑時に実用的でない」(埼玉県の30代女性)
「利用履歴 薬歴がリアルタイムに反映されない」(埼玉県60代男性)
薬履歴はいちいちマイナカードで面倒な手続きをせずとも、薬局のアプリからいつでも簡単に見られる。薬の記録一つとっても患者にも薬局にも目に見えるメリットはなし」(東京都60代女性)

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